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①【石田三成×明智光秀】 ―「俺たち、何がまずかったんやろな」

――ようこそ、黄泉トークラジオへ。

この番組は、時代も国も超えて、歴史に名を残した人物たちが“あの世”で繰り広げる、まさかのトーク番組です。

背負いすぎた責任、すれ違った信念、報われなかった理想―― あの世だからこそ話せる本音を、笑いとツッコミを交えながらお届けします。

さて、今夜のゲストは、
戦国を駆け抜け、そして“敗者”となったふたりの男
―― 石田三成と明智光秀。

この世では交わらなかったふたりが、黄泉の茶屋で、今宵初めて語り合います。

「俺たち、何がまずかったんやろな」

三成: はじめましてっす。石田三成と申します……あっ、初対面なのにこんな馴れ馴れしくてすみません。 でも今日はもう、遠慮なしでいかせてもらいますんで――光秀兄さん!

光秀: ほほう、「兄さん」ときたか。いやいや、そう言われると悪い気はせんな。 三成くん、よろしく頼むわ。

三成: こちらこそっす!あ、光秀兄さんって、たしか美濃の出身でしたよね?

光秀: そうそう。生まれは美濃の明智の里。あのころはまぁ……色々あったんだけど、縁あって足利将軍に仕えて、その後、信長にスカウトされたんや。 言うたら、転職みたいなもんやな(笑)

三成: へぇ∼、やっぱ兄さんはキャリアが華やかですわ。 あ、僕は近江の出身です。今で言うと滋賀ですね。最初はお寺で勉強してたんすけど、たまたま秀吉公が立ち寄ったときにお茶を出したのがきっかけで……

光秀: ああ、あの有名な「茶のエピソード」か。 たしか最初は、大きめの茶碗でぬるめの抹茶を出して、次は少し熱めのを中くらいの茶碗で、最後は小さな茶碗に熱くて濃いお茶を少量……っていう、あれやろ? あんな心遣い、当時の小姓にしては見事すぎるわ。あれ、実話なんか?

三成: あれね、実話です(笑) って言っても、そこまで計算してたわけじゃなくて、たまたまそうなっただけなんすよ。でも秀吉公はそういうの、すぐ気に入ってくれて。そこから一気にトントン拍子で出世した感じです。

あれね、実話です(笑)


光秀: なるほどなぁ……人生、どこで誰と出会うかって大きいよな。

三成: ほんまそれですわ。 でも兄さんこそ、人生どこで“思い切った”んすか? 本能寺ですよね……あれ、どのタイミングで決めたんですか?

光秀: ……あれはな。 もともと、信長のやり方にずっと疑問は感じてたんや。 部下には厳しいし、冷酷やし。自分だけが正しい、みたいな感じでな。 四国攻めのときもそう。信長が突然方針を変えたのには、正直カチンときた。 俺が何とか長宗我部元親との友好関係を取り持っていたというのに、突然強攻策に変更と来た。面目丸つぶれだ。

三成: それは腹立ちますわ……現場で積み上げてきたもんが、トップのひと言で全部ひっくり返されるって、やるせないですもんね。兄さんの気持ち、めちゃくちゃ分かります。自分も、似たようなこと何度も経験してきましたから。

光秀: おまけに中国の毛利攻めをしている秀吉の応援に行けって言われて、何で俺が秀吉の応援にいかなあかんねん、しかもろくに準備もさせんと「今すぐ行け」って。 ああ、もうこれは見限られとるなって。 そこで腹を括った。

三成: 兄さん、ほんま覚悟決めはったんやなぁ……でも、十三日で……。

光秀: ……あれは早すぎたわ(笑) しかも、後世には「三日天下」って言われるしな。十三日間はこの俺が天下とってたんだよ。なのに、なぜか勝手に縮められて……それもまた屈辱やわ(笑)

あれは早すぎたわ(笑)


三成: こっちは関ヶ原で負けてからが地獄でしたよ。 落ちのびる暇もなく捕まって、斬られる前に吊るされて、挙げ句には晒し首。しかも“嫌われ者”ってレッテルまで貼られて―― あの時代って、「勝った者が正義」ってルール、めっちゃ強かったっすよね。

光秀: あぁ、ほんまそれ。 俺たち、どうも後世の人々からはあまり良く思われてへんわけやけど…… いったい、何がまずかったんやろな?

「理想が強すぎた?」

三成:やっぱ僕ら、“正しさ”を優先しすぎたんちゃいますかね。

光秀:うん。信長にしても家康にしても、正しいかどうかより、「どう動くか」「誰と組むか」ってとこで天下取ったやろ。

三成:僕、いまだに思うんですよ。あのとき、大谷吉継さんと一緒に家康を討ちにいかず、他の武将にもうちょい頭を下げてたら――って。

光秀:頭、下げられん性格やったんやろ?それ、俺も一緒や(笑)

三成:そうなんすよ……。 自分、不器用ですから。まっすぐしか行けなかった。

光秀:ほんまな。人望って、理屈じゃない。「こいつとなら戦ってもええかな」って思わせる空気というか、魅力がないとあかん。

三成:あれ、家康は持ってましたわ。あのジジイ、腹黒いけど懐が深そうに見せるの上手かった(笑)

光秀:うんうん、あれは才能やな。俺は……カリスマというより、堅物の学者タイプやったからなぁ。

「勝てない戦をしてしまった」

三成:戦略的にも、光秀兄さんも俺も、ちょっと無理ゲーでしたよね。

光秀:ああ……。俺のときは、周りがまだ信長の勢力圏で、援軍も来えへんし。 しかも秀吉、動くの早すぎやろ。中国大返し、聞いたとき笑うしかなかったもん。

三成:確か、備中高松城から京都までを1週間で戻ってきたってやつですね。あれはヤバいです(笑)僕のときも、兵力じゃ勝ってたけど、西軍のまとまりのなさがひどかった。 寝返り、裏切り、日和見のオンパレードで、戦う前から気持ち折れそうでしたわ。 極めつけは、小早川秀秋の寝返りっすよ。あれで完全に流れが変わった。

光秀:最初から負け戦だったんやろか……。

三成:でも、負けるって分かってても、やらなきゃならん時ってありますやん。

光秀:せやな。俺は、信長を討たな後悔すると思った。やらんで一生後悔するより、やって十三日で終わった方がまだええわって。

三成:僕の正義は、主君・豊臣家を守ることにあったんです。 でも、あのとき家康を止められへんかったことで、「理屈より武力」が通る世の中になってしもた。 それが、ほんまに悔しいんですわ。

光秀:……俺ら、あのとき自分の“信念”を通してしまったんやな。

「此処は、あの世」

(茶釜の湯が、ことことと音を立てる)

三成:でも兄さん、こうして語り合えて、ちょっと気が楽になりましたわ。

光秀:俺もや。こんな話、あの世でしかできへん(笑)

三成:じゃあ……今度、主君筋たちを誘って一杯やりましょか? 家康とか、秀吉公とか、信長公とか。

光秀:ええな。それぞれの“天下”が、どんなもんやったか、聞いてみたいもんや。

三成:そのときは、またお茶、僕がいれますわ。
(ふたりの笑い声が、静かな茶屋にひびいた――)


――おわり。



今夜の黄泉トークラジオ、いかがでしたか?

三成:「こうして語り合えて、ちょっと気が楽になりましたわ」
光秀:「俺もや。」

この最後の三成と光秀のやりとりになんだかグッときましたね。

後世の人々からは、“敗者”と呼ばれることの多いふたりだけど、 彼らにもちゃんと伝えたい思いがある。
いわゆる勝ち組とか負け組とかじゃなくて、 どんな人の思いにも耳を傾けられる世の中になったらいいなと思いました。

さて、あなたはどんなことを感じましたか?

「なんか分かるなぁ」とか、「自分だったらどうしただろう?」とか、
そんな気持ちが浮かんできたら、ぜひ気軽にコメント欄で教えてくださいね。

それでは、次回の黄泉トークラジオも、どうぞお楽しみに。


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