初秋の候
透明な手紙の香りかたは、少しずつ変わってゆくのかもしれません。
書くよろこびに包まれた春を過ぎて、何もかもをやみくもに書きつけずにはいられなかった夏を過ぎて、書くことでほんとうに出会ったような気がした秋を過ぎて、そのすべてを手放したくなった冬を過ぎて、
あまやかさも、
みずみずしさも、
おくぶかさも、
そこしれなさも、
その香りから、わたしはその意味を覚えました。
かたちある言葉でかたちある物語を書いては、書いた覚えのない透明な手紙の香りを知りました。
透明なのに、だれにも見えないのに、わたしはこの手紙にいったい何を書き続けているのでしょうか。
だれにも見えないのに、わたし自身も見ることができないのに、なぜ透明な手紙は「手紙」のかたちをしているのでしょうか。
ことしも香りかたが変わってきました。秋はあなたを思い出す。透明な手紙が、強く香る季節です。
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シロクマ文芸部の企画に参加させていただきました。
