こわいおばあちゃんのトイレの話
父方の、ばーちゃんが好きだった。
あまり会ったことは無いが、手紙のやり取りをして仲良しだった。
私が幼稚園生の時に、亡くなった。
ばーちゃんが亡くなっても、田舎には泊まりに行った。
母方の、おばあちゃんには6人の子供がいた。
孫は12人。私が一番年下だった。
みんな、私のことを、
「めんこいのぅ」と言うから、
めんこいって何?と聞いたら、可愛いって事だよ、って
母が教えてくれたので、
それは、大変だ、精一杯、可愛くしていよう、と思った。
同じ年のまたいとこが、すぐ近くに住んでいたので、遊んだ。
私とは違う、ちゃきちゃきしたタイプで、
「めんこい~っ。」と言われる雰囲気の女の子では無かった。
おばあちゃんはちょっと怖かった。
亡くなる直前まで、
お店の番頭さんをしていたような、気丈な人だった。
「おばあちゃんと同じの欲しいな。」と言ったら、
ダハハと笑って、
「これはお酒だよ水じゃないよ。」と、言ったらしいが
方言なまりが強くて、よくわからなかった。
お店にアイスとジュースがあるから、
食べたいものをとっておいでと、言われた。
ちょっとずつ聞き取れるようになった。
祖父は私が生まれる前に他界していて、
父方の祖父も亡くなって、
私が最後だから、仲良くしよう、と、言われた。
祖母なりに、
子供達にも、孫達にも、公平にしなくては、
と、気を使っていたらしい。
それから、
「内緒だよ。」と、いとこの目を盗んで、私だけ呼ばれる事が増えた。
お菓子の空き缶を見せてくれた。
シールや、カードや、お土産の小銭入れ、年をとってもお店を頑張ったから勲章を貰ったんだよ。宝物だよ。
と、いろんな物が入っていた。
大きくなったら、全部あげるからね。
その数年後に、祖母も急に他界した。
私には、ちょっと幼すぎる物もあったが、
その宝物の缶を、大切にした。
祖母は、店舗に一番近い部屋を、独りで使っていて、
「ここに入れるのは、よんちゃんだけだよ。いつでも、おいで。」と、言った。
テレビを一緒に見た。
「この時間は西部警察を見ているよ。」と、私が言うと、
「面白いのかい?」と、聞いてきたので、
「父と母が見てるから。」と、答えた。
「後は、何を見るんだい?」と、聞かれて、
「刑事コロンボ」と。答えた。
「ずいぶんと大人っぽいテレビばかりだね。」と、言いながら、
「女同士で話しをするのは楽しいね。」と、笑った。
すごく、優しくて無邪気な笑顔だった。
祖母の足が悪くなり、
トイレが遠くて間に合わないので、
祖母専用の「洋式トイレを作って貰ったんだよ。」と、
自慢気だった。
「よんちゃんも、こっそり、使っていいからね。内緒だよ。」
と、言っていた。
