【妹ちゃん、ある春の日に覚醒す。】
―「できるようになる」って、親が決めることじゃなかった―
春の光がやさしく差し込む、そんな朝でした。
畑の水やりを終えて、ふと空を見上げると、風がほんのりと甘く香っていたんです。
「今日は外に出たくなる日だなぁ」と思っていた矢先、家の中から顔を出した妹ちゃん(5歳)が、もぞもぞと外に出たそうな気配を見せました。
「散歩に行こうか?」
そう声をかけると、にっこり笑ってうなずいてくれたので、久しぶりに自転車を持ち出しました。
妹ちゃんは、これまでずっとキックバイクに乗ってきました。
バランス感覚も抜群で、体の使い方もとても上手。
だから、正直言うと私は「自転車なんて、すぐ乗れるだろう」と思っていたんです。
でも、実際は違いました。
ペダルを前にすると、妹ちゃんの足がピタリと止まってしまうんです。
こげば進める。倒れないことも、自分が知っているはず。
それでも、「乗ってみよう」という一歩をなかなか踏み出せない。

こちらが「あと少しなのに!」と感じる日々が、何週間も続きました。
焦る気持ちがないわけではありませんでした。
「もしかして怖いのかな?」「何か声をかけた方がいいのかな?」
親としてできることを探しながらも、答えは見つからないまま。
そんな今日、いつものように「押して〜」と背中を頼られて、私はそっと手を添えていました。
すると、ほんの一瞬の間に、妹ちゃんの足がペダルをとらえたのです。
そして――こぎ出しました。
誰の助けも借りず、自分の力で。
その瞬間、風がふわっと吹いて、妹ちゃんの髪が揺れました。
ペダルの音が軽やかに響き、「見てー!」と振り返る声が、春の空に吸い込まれていきました。
驚いた私は、思わず声が裏返ってしまいました(笑)
「できるようになる」って、親が用意したタイミングじゃないんですよね。
子ども自身の心と体が、ちゃんと準備をして、"自分の意志で"こぎ出す。
それを見守るしかないということを、私は今日、またひとつ学びました。
あの瞬間の風景、
音、光、声、空気、妹ちゃんの表情――
どれも宝物のように、胸に焼き付いています。
そして、思うのです。
こんなふうに、子どもたちは一歩ずつ、自分の足で、進んでいくんだなぁって。
妹ちゃん、本当によく頑張ったね。
今日の君は、まぶしくて、ちょっと泣きそうだったよ。
あなたにも、そんな「できた!」の瞬間、ありますか?
ご自身やお子さんの経験を、よかったらコメントで教えてください。
きっと誰かの心をあたたかくしてくれると思います。
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