経理の反乱――数字という言語で未来を照らす 8話:新生への胎動
8話「新生への胎動」
希望退職者の送別会が行われたのは、三月末のことだった。
二十七名の退職者と、残る社員たちが、会社近くの居酒屋に集まった。
「工藤さん、長い間お疲れ様でした」
製造部長の山田が、工藤に杯を差し出した。
「ありがとうございます」
工藤は、杯を受け取った。
「まさか、自分がこんな形で辞めることになるとは思いませんでしたけどね」
「工藤、お前がいなくなると、現場は寂しくなるぞ」
「若い連中に任せてください。この三ヶ月、みっちり鍛えましたから」
工藤は、笑った。
真理子は、少し離れた席から、その様子を見ていた。
工藤は、再就職先が決まっていた。
真理子が紹介した、近隣の製造業。
給与は以前より少し下がるが、経験を活かせる仕事だった。
「森川課長」
中島恵子が、真理子の隣に座った。
「中島さん」
「私、来週から新しい会社で働きます」
「ええ、聞いてるわ。大手の会計事務所でしょう?」
「はい。課長が紹介してくださった転職エージェントのおかげです」
中島は、グラスを傾けた。
「正直、不安もあります。でも、楽しみでもあります」
「中島さんなら、大丈夫よ」
真理子は、微笑んだ。
「簿記一級の実力があれば、どこでも通用する」
「課長から学んだこと、新しい職場でも活かします」
中島は、真理子を見た。
「課長、本当にありがとうございました」
「こちらこそ。一緒に働けて、楽しかったわ」
二人は、グラスを合わせた。
送別会は、夜遅くまで続いた。
笑いあり、涙あり。
去る人たちと、残る人たちが、最後の時間を共に過ごした。
翌朝、会社は静かだった。
二十七人が去った職場は、明らかに人が少なくなっていた。
「おはようございます」
経理課に出社すると、中島の席が空席になっていた。
その隣で、小林健太が資料を整理していた。
「おはようございます、課長」
「おはよう。中島さんの仕事、引き継ぎは大丈夫?」
「はい。中島さんが、丁寧にマニュアルを作ってくれたので」
小林は、分厚いファイルを見せた。
「これを見れば、誰でもできるようになってます」
「さすが中島さんね」
真理子は、微笑んだ。
そのとき、内線電話が鳴った。
「森川課長、社長がお呼びです」
秘書の声だった。
「分かりました。すぐに伺います」
社長室に入ると、高橋誠一郎と田中CFOが待っていた。
そして、見知らぬ女性が一人、座っていた。
四十代半ば。スーツ姿で、知的な雰囲気を漂わせている。
「森川課長、紹介しよう」
高橋が言った。
「新しい営業本部長、相沢麻衣さんだ」
「初めまして、相沢麻衣です」
相沢が立ち上がり、真理子に名刺を差し出した。
「森川真理子です。よろしくお願いします」
真理子は、名刺を受け取った。
名刺には、「前職:大手電機メーカー 営業企画部長」と書かれていた。
「相沢さんは、今月から当社の営業本部長として着任される」
田中CFOが説明した。
「桜井前本部長の後任だ」
真理子は、驚いた。
桜井が辞めることは、聞いていなかった。
「桜井さんは…」
「自ら退職を申し出た」
高橋が、重い口調で言った。
「責任を取る、と」
「…」
「関東産業との価格交渉は成功した。だが、桜井は自分の限界を感じたそうだ」
高橋は、窓の外を見た。
「『これからの営業は、データドリブンの時代だ。自分には、その感覚がない』と言っていた」
真理子は、複雑な気持ちになった。
桜井とは、何度も対立した。
でも、最後は協力してくれた。
「桜井さん、どちらに?」
「関連会社に移った。営業顧問として、若手の指導をする」
「そうですか…」
「そして、相沢さんに来ていただいた」
高橋は、相沢を見た。
「相沢さんは、前職で営業改革を成功させた実績がある。データを活用した営業戦略のプロだ」
「高橋社長、褒めすぎです」
相沢が、謙遜して笑った。
「森川課長」
相沢が、真理子を見た。
「あなたの作った経営改善計画、読ませていただきました」
「ありがとうございます」
「素晴らしい分析でした。特に、取引先別の収益性評価。あれは、営業戦略を考える上で、非常に有用です」
相沢は、真理子に近づいた。
「ぜひ、協力させてください。経理と営業が手を組めば、この会社をもっと良くできると思います」
真理子は、相沢の目を見た。
そこには、確かな決意と、前向きなエネルギーがあった。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
真理子は、相沢と握手を交わした。
翌日、相沢が経理課を訪れた。
「森川課長、お時間よろしいですか?」
「もちろんです。どうぞ」
真理子は、相沢を応接スペースに案内した。
「実は、お願いがあります」
相沢が、資料を広げた。
「現在の営業体制を見直したいと思っています。そのために、もっと詳細なデータが欲しいんです」
「どのようなデータでしょうか?」
「営業担当者別の詳細分析です」
相沢は、リストを見せた。
担当者別の売上高・利益率
顧客別の訪問回数と成約率
製品別の販売傾向
新規顧客開拓の実績
顧客満足度(可能であれば)
「これらのデータがあれば、誰がどの顧客を担当すべきか、最適化できます」
相沢の目が、輝いていた。
「営業は、感覚だけじゃダメです。データに基づいて戦略を立てる必要があります」
真理子は、感心した。
相沢の考え方は、真理子と同じだった。
データドリブン。数字に基づく判断。
「相沢本部長、喜んで協力します」
真理子は、パソコンを開いた。
「実は、既に営業担当者別の分析は、ある程度できています」
真理子は、ファイルを開いた。
以前、人員削減の基準を作るときに作成した、営業担当者別収益性評価表。
「これは…」
相沢が、画面を見て驚いた。
「素晴らしい。まさに、私が欲しかったデータです」
「ただ、少し古いので、最新データに更新する必要があります」
「ぜひ、お願いします」
相沢は、真理子を見た。
「森川課長、あなたのような経理担当者がいる会社は、強いです」
「ありがとうございます」
「これから、一緒に働けることを楽しみにしています」
相沢が帰った後、小林が真理子に言った。
「課長、新しい営業本部長、いい人そうですね」
「ええ」
真理子は、頷いた。
「桜井さんとは、また違うタイプね。データを理解してくれる人が営業のトップになったのは、大きい」
「これで、改革が進めやすくなりますね」
「そうね」
真理子は、窓の外を見た。
工場の煙突から、煙が上がっている。
会社は、少しずつ変わり始めていた。
一週間後、相沢が営業部員全員を集めて、方針説明会を開いた。
真理子も、オブザーバーとして出席していた。
「皆さん、改めまして、営業本部長の相沢です」
相沢が、壇上に立った。
「今日は、これからの営業戦略について、お話しします」
スクリーンに、資料が映し出された。
「データドリブン営業への転換」
「これまでの営業は、個人の経験と勘に頼る部分が大きかった」
相沢は、営業部員たちを見渡した。
「それが悪いわけではありません。経験は、貴重な財産です」
「…」
「しかし、これからはデータも活用します。なぜなら、データは客観的で、嘘をつかないからです」
相沢は、次のスライドを表示した。
営業担当者別の売上高と利益率のグラフ。
真理子が作成したデータだった。
「これを見てください。売上高と利益率は、必ずしも比例していません」
グラフには、売上は多いが利益率が低い担当者と、売上は少ないが利益率が高い担当者が、明確に分かれていた。
「山本さん、あなたは売上高トップです」
相沢が、ベテラン営業の山本を指名した。
「はい」
「素晴らしい成績です。しかし、利益率を見ると、平均以下です」
「…」
「これは、あなたが無能だという意味ではありません」
相沢は、優しく言った。
「恐らく、大口顧客を担当していて、価格交渉が厳しいのでしょう」
山本が、頷いた。
「その通りです。大口顧客は、値引き要求が厳しくて…」
「分かりました。では、こうしましょう」
相沢は、別の資料を見せた。
「山本さんには、引き続き大口顧客を担当していただきます。ただし、価格交渉には、私も同席します」
「本部長が?」
「はい。大口顧客との価格交渉は、担当者一人に任せるには荷が重い。組織として対応します」
相沢の提案に、山本は驚いた表情を見せた。
「それから、田辺さん」
相沢が、若手営業の田辺を指名した。
「はい」
「あなたは、利益率が非常に高い。素晴らしいです」
「ありがとうございます」
「ただ、売上高が少ない。つまり、優良顧客を少数担当している状況です」
「はい…新規開拓が、なかなかできなくて」
「では、山本さんと組んでください」
「え?」
「山本さんのネットワークを活かして、新規顧客を紹介してもらう。そして、田辺さんの高い利益率を実現する営業スタイルを、山本さんに教える」
相沢は、二人を見た。
「お互いの強みを活かし合う。それが、チームです」
会場が、どよめいた。
これまでのタカハシ製作所の営業は、完全に個人プレーだった。
担当顧客を持ち、それぞれが独立して営業活動をしていた。
チームとして動く、という発想はなかった。
「これからは、データに基づいて、最適な担当配置を考えます」
相沢は、次のスライドに移った。
「顧客セグメンテーション戦略」
「顧客を、四つのカテゴリーに分けます」
顧客分類
A: 高売上・高利益率(最重要顧客)
B: 高売上・低利益率(価格交渉要)
C: 低売上・高利益率(拡大余地あり)
D: 低売上・低利益率(関係見直し要)
「そして、各カテゴリーに応じた戦略を立てます」
相沢の説明は、明快だった。
論理的で、データに裏付けられていて、具体的だった。
真理子は、感心しながら聞いていた。
これこそ、真理子が理想とする経営だった。
説明会が終わった後、相沢が真理子のところに来た。
「森川課長、ありがとうございました。あなたのデータが、非常に役立ちました」
「いえ、相沢本部長の戦略が素晴らしかったです」
「これから、定期的にデータを共有させてください」
相沢は、真理子に提案した。
「月次で、営業データと経理データを突き合わせる会議を開きませんか?」
「ぜひ、お願いします」
真理子は、嬉しかった。
ついに、経理と営業が、対等なパートナーとして協力できる。
「それから、もう一つお願いがあります」
相沢が、声を落とした。
「実は、中部商事との取引拡大を考えています」
「中部商事…」
真理子は、以前の分析を思い出した。
高収益顧客。粗利率三十二パーセント。
「あの顧客は、非常に優良です。もっと深い関係を築きたい」
「賛成です」
「そのために、先方のニーズを詳しく調査したいんです」
相沢は、資料を見せた。
「中部商事が、どの製品を、どのくらいの量、どのタイミングで必要としているか。過去のデータから、パターンを分析できませんか?」
「できます」
真理子は、即答した。
「発注履歴、納品データ、請求データ。全部あります」
「素晴らしい。では、来週までにお願いできますか?」
「分かりました」
その日から、真理子と相沢の協働が始まった。
真理子は、中部商事の過去三年分のデータを分析した。
発注パターン、季節変動、製品別の需要。
全てを、グラフとレポートにまとめた。
「課長、中部商事の分析、できました」
小林が、資料を持ってきた。
「ありがとう。どうだった?」
「面白いパターンが見えました」
小林は、グラフを見せた。
「中部商事の発注、四半期ごとに波があります」
グラフには、明確な周期性が見られた。
中部商事 四半期別発注パターン
第一四半期:低(月平均1,500万円)
第二四半期:高(月平均2,300万円)
第三四半期:低(月平均1,600万円)
第四四半期:高(月平均2,200万円)
「どうして、こういう波が?」
「恐らく、中部商事の顧客の生産サイクルに合わせているんだと思います」
小林は、別のデータを見せた。
「中部商事は、自動車部品メーカーに納品しています。自動車業界は、新車の発売サイクルがあるので、それに連動しているのでは」
「なるほど…」
真理子は、感心した。
「じゃあ、第二・第四四半期の前に、先回りして提案すれば、受注が増やせるかもしれない」
「その通りです」
小林が、嬉しそうに言った。
「それに、中部商事、最近Cシリーズの発注が増えてます」
「Cシリーズ?」
「はい。過去三ヶ月で、前年同期比二・二倍です」
小林は、グラフを指差した。
「恐らく、中部商事の顧客が、Cシリーズを使った新製品を開発しているのでは」
「だったら、Cシリーズの増産体制を整えておく必要があるわね」
真理子は、メモを取った。
「製造部門と、相談しないと」
翌日、真理子は相沢、製造本部長の山田を交えて、会議を開いた。
「中部商事の分析結果を報告します」
真理子は、資料を配った。
「発注パターンに周期性があること、Cシリーズの需要が急増していることが分かりました」
相沢が、資料を見て頷いた。
「これは、使えますね。第二四半期に向けて、早めに提案活動を始めましょう」
「山田本部長」
真理子が、山田を見た。
「Cシリーズの増産、可能ですか?」
「うーん」
山田が、考え込んだ。
「現在のラインでは、月産二万個が限界だな」
「中部商事の需要予測では、月産二万八千個必要になる可能性があります」
「二万八千か…」
山田は、資料を見た。
「第二ラインを閉鎖した分、人員には余裕がある。設備をCシリーズ用に転換すれば、可能かもしれない」
「コストは?」
「設備転換に、約一千八百万円」
「投資対効果を試算します」
真理子は、電卓を叩き始めた。
設備投資効果試算
設備投資:1,800万円
Cシリーズ粗利率:33.2%
月産増加分:8,000個
売上単価:11,500円
月間粗利益増加:8,000個 × 11,500円 × 33.2% = 約305.4万円
年間粗利益増加:305.4万円 × 12ヶ月 = 約3,665.2万円
投資回収期間:1,800万円 ÷ 305.4万円/月 = 5.9ヶ月
「投資回収期間、約六ヶ月です」
真理子が、計算結果を見せた。
「これは、やるべきですね」
相沢が、即断した。
「山田本部長、設備転換、お願いできますか?」
「分かった。やろう」
山田も、頷いた。
会議が終わった後、相沢が真理子に言った。
「森川課長、素晴らしい分析でした」
「ありがとうございます」
「経理、営業、製造。三部門が連携すれば、こんなにスムーズに意思決定できるんですね」
相沢は、感心した様子だった。
「これまで、各部門がバラバラに動いていたのが、もったいなかったです」
「そうですね」
真理子も、同じことを思っていた。
部門の壁を越えて、データを共有し、協力する。
それができれば、会社はもっと強くなれる。
二週間後、中部商事への提案が実施された。
相沢が、営業担当の田辺と共に、中部商事を訪問した。
そして、データに基づいた提案を行った。
「御社の発注パターンを分析したところ、第二四半期に需要が増加する傾向があります」
相沢が、プレゼンテーションを行った。
「そこで、弊社から提案です。第二四半期に向けて、事前に生産計画を立て、スムーズな納品体制を構築しませんか?」
中部商事の購買担当者は、驚いた表情を見せた。
「よく分かりましたね。確かに、第二四半期は需要が増えます」
「それから、Cシリーズの増産体制も整えました」
相沢は、続けた。
「月産二万八千個まで対応可能です」
「二万八千個?」
購買担当者が、目を丸くした。
「実は、ちょうど相談しようと思っていたんです。新規プロジェクトで、Cシリーズが大量に必要になりそうで」
「タイミングが良かったですね」
相沢が、微笑んだ。
その日、中部商事から大型の発注を受けることができた。
中部商事 新規契約
年間契約金額:3億2,000万円
これまでの取引:年間約1億円
増加額:約2億2,000万円(+220%)
相沢から報告を受けた真理子は、喜びを隠せなかった。
「三億二千万円…」
「ええ。森川課長のデータ分析のおかげです」
相沢が、感謝の言葉を述べた。
「これで、関東産業への依存度を下げることができます」
真理子は、すぐに試算を始めた。
中部商事との取引拡大により、売上構成比が変わる。
売上構成比の変化(年間ベース)
関東産業:14億円(28%) → 14億円(22%)
中部商事:1億円(2%) → 3.2億円(5%)
全体売上見込:50億円 → 64億円
そして、利益率も改善する。
営業利益率の改善予測
現状:▲1.0%
改革後予測:+2.8%
「これは…大きいですね」
小林が、試算結果を見て驚いた。
「営業利益率が、プラス二・八パーセントまで上がる」
「ええ」
真理子は、頷いた。
「会社が、確実に良い方向に向かっている」
その夜、真理子は一人、データを見直していた。
希望退職によって二十七人を失った。
その痛みは、まだ癒えていない。
でも、残った人たちは、確実に成長している。
小林は、高度なデータ分析ができるようになった。
田村は、在庫管理のプロフェッショナルになった。
中村は、設備投資分析のエキスパートになった。
そして、経理課全体が、会社の戦略パートナーとして認められるようになった。
営業部門は、相沢の下で、データドリブンな組織に変わり始めた。
製造部門は、山田の指揮の下、効率化と品質向上を両立させている。
会社は、確かに変わっている。
新生への胎動。
それを、真理子は肌で感じていた。
「課長、まだいたんですか?」
佐々木光男が、経理課に戻ってきた。
「佐々木さんも」
「ちょっと、資料の確認を」
佐々木は、真理子の隣に座った。
「課長、最近、会社の雰囲気が変わってきましたね」
「ええ」
「希望退職のときは、どうなることかと思いました」
佐々木は、遠い目をした。
「でも、残った人たちが頑張っている。新しい人も入ってきた」
「相沢本部長のことですね」
「ええ。あの人、本当に優秀です」
佐々木は、頷いた。
「データを理解してくれる営業トップがいるのは、心強い」
「本当にそうね」
真理子は、窓の外を見た。
夜の工場に、明かりが灯っている。
Cシリーズの増産準備が、進んでいるのだろう。
「佐々木さん」
「はい」
「私たちの戦いは、間違ってなかったと思いますか?」
真理子が、尋ねた。
「二十七人を犠牲にして、会社を変えた。それは、正しかったんでしょうか」
佐々木は、しばらく考えた。
「正しかったかどうか、私には分かりません」
「…」
「でも、必要だったとは思います」
佐々木は、真理子を見た。
「あのまま何もしなければ、二百五十人全員が沈んでいた。それよりは、ずっとマシです」
「そうですね」
「それに、森川課長、覚えてますか?」
「何を?」
「工藤さんの言葉」
佐々木が、言った。
「『若い連中を守る』って」
「…ええ」
「彼らの犠牲を無駄にしないこと。それが、私たちの責任です」
佐々木は、立ち上がった。
「だから、これからも頑張りましょう。この会社を、本当に良い会社にするために」
真理子は、頷いた。
「ええ。そうね」
真理子は、パソコンを閉じた。
今日は、もう帰ろう。
明日も、戦いは続く。
でも、今は少しだけ、希望が見えている。
新生への胎動。
会社は、確実に変わり始めている。
そして、その変化の中心に、経理がいる。
数字という言語で、未来を照らしながら。
森川真理子の反乱は、新たな段階に入っていた。
破壊から、創造へ。
犠牲から、再生へ。
その道のりは、まだ半ばだった。
でも、真理子は諦めない。
最後まで、戦い抜く。
数字という武器で、会社を救うために。
(8話 了)
次回予告:
9話「管理会計革命」では、真理子が全社的な管理会計システムの構築に乗り出します。
各部門がリアルタイムで自部門の収益を把握できる仕組み。それは、組織文化を根底から変える試みだった——。
