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エピソード2-47 ケセランパセラン

2-47 ケセランパセラン

ケセランパセランは、江戸時代以降の民間伝承上の謎の生物とされる物体。
白い毛玉のような物体で、空中をフラフラと飛んでいると言われる。
東北地方では嵐の前などに雷とともに降ってくるという伝承がある。
一つ一つが小さな妖力を持つ妖怪とも言われるが、植物か動物かは判然とせず、未確認動物として扱われることもある。
ケセランパセランを見つけると幸運になるという伝承がある。
ケセランパセランを持っているということはあまり人に知らせないほうがいいと言われているため、
代々密かにケセランパサランを伝えている家もあるという。
穴の開いた桐の箱の中でおしろいを与えることで飼育でき、増殖したり、持ち主に幸せを呼んだりすると言われている。


2-47 ケセランパセラン オリジナルストーリー

智子は空を見上げていた。凍えるような厚い雲の寒空から雪が降って来た。何も聞こえない中、しんしんと降り始めた雪。
すると雪よりもゆっくりと智子の前に落ちてくるものがあった。智子は手袋を広げその落ちてきたモノを受け止めた。
それはまるで何かの動物の毛玉を広げタンポポの綿毛にしたようなモノだった。

智子:
ミイ?ミイなの?

18年前、智子は近くの公園でミカン箱に入れられたまだ小さな子供の三毛猫を見つけた。
箱の中には「この子はミカンといいます。どなたか幸せにしてしてやってください。」と書いてあった。
家に連れて帰って家族に話すと夫も幼い娘も喜んでくれ、我が家で育てようと賛成してくれた。

夫:
でも、ミカンか...。金魚のみかんの方が先輩だから、ミカンじゃないほうがいいな。

智子:
じゃあ、ミイにしましょう。良かったね今日から君は「ミイ」だよ。

それがわかったのか子猫は小さく鳴いた。

それから季節が過ぎ、ミイもどんどん大きくなっていった。やんちゃだけど甘えん坊のミイはずっと家族の誰かの後をついて回った。
でも怖がりのミイはドアが開いていても外には絶対出なかった。家族の帰りが遅くなるといろいろといたずらをして怒っていることをアピールした。

さらに年月が過ぎ猫のミイはゆっくりと歳をとっていった。
一昨年、ミイと姉妹の様に仲良しだった娘は結婚してこの家を出ていった。ミイは数日間ずっとお姉ちゃんを探し回っていた。
そして智子を見つめる目が「お姉ちゃんどこに行ったの?」と訴えていた。でもミイは猫であるそれもゆっくりと忘れていった。

昨年、智子の夫が急な病で帰らぬ人となった。まわりの話や智子の涙をみたミイはお父さんはもういなくなったのだと悟った。
そしてミイはずっと智子に寄り添っていた。「大丈夫だよミイがずっとそばにいるからね!」そう言っているようだった。
そうしてこの家は智子とミイの二人だけとなった。娘が一緒に住もうと申し出てくれたが他の家はミイが嫌がるからと住み慣れた家から出なかった。

しかし18歳になったミイにも残された時間が迫って来ていた。
ある朝ミイは食べた物を全部吐いてそれから固形物は食べられなくなった。
智子は必死でミイにジェル状の食べ物や動物病院に連れて行き点滴を受けさせた。
そして次第に寝たきりの日が続くようになった。

ある朝智子が起きるとミイが立ち上り、智子の顔をまじまじと見つめたあと力いっぱいの声で一声鳴いた。
倒れたミイはもう動かなくなっていた。智子は大声で泣いたしかしミイは何も返してくれなかった。

9ヶ月が過ぎた。
今、智子の手の上にはミイをブラッシングしてあげた後のような毛玉のような綿毛のようなモノがのっていた。
智子はそれを大事に両手で抑え自宅に帰って来た、そしてそれをミイがいつものっていたクッションの上に置いた。

智子:
やっぱりミイなのね。クリスマスが近いのに一人で寂しいだろうからって戻って来てくれたのね。ありがとう。

智子がニコニコしてその綿毛のようなモノを見つめていた。
するとなぜか風も無いのにその綿毛のようなモノはふわりと浮き、開けていた窓から外に出て行ってしまった。

智子:
いや~ミイ!もう私を一人にしないで、お願いおいて行かないで!

智子もあわてて家を飛び出し綿毛を追いかけた。綿毛は智子を待つようにゆっくりと空を飛んでいった。
智子がやっとその綿毛に追いついた時、そこは18年前ミイを拾った公園であった。
【ニャー...】どこからか子猫の声が聞こえた。智子がその声に振り返ると公園のすべり台の下に段ボールが置いてあり声はその中から聞こえていた。

智子:
え、まさかミイ?ミイなの?

智子は急いで段ボールを開けた。...段ボールの中には真っ白な小さな子猫が入っていた。白猫か...でも智子を見つめる目はミイにそっくりだった。
もう公園まで智子を連れてきてくれた綿毛はどこにも見えなくなっていた。

智子:
ミイ、さあ寒いから家に帰りましょう。お腹減ってるでしょミルク温めてあげるわね。......ミイありがとう。

智子は白い子猫をセーターに入れてあげ、自宅に帰って行った。
また空からは雪が落ちはじめてきていた。

………この物語をわが家に14年間癒しと幸せをくれた「みい」に捧ぐ


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