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#93🎬️『ウィキッド ふたりの魔女』|「友情」という名の自己満足と、思考停止への誘導が怖すぎる

1年ぶりに再視聴した。
初めて映画館で見た時は、映像美と俳優の演技や歌に圧倒され、
多くのシーンに嫌悪感を抱きながらも、
確か「面白かった」と思ったはず。

シズ大学で出会った孤独なエルファバと人気者のグリンダは大学の寮で偶然ルームメイトに。
見た目も性格も才能もまるで異なるふたりは反発し合うが互いの本当の姿を知るにつれかけがえのない友情を築いていく。
ある日、偉大なオズの魔法使いに特別な力を見出されたエルファバはグリンダとともに彼が司るエメラルドシティへ旅立つのだが・・・。

公式サイト https://wicked-movie.jp/

だが今回、感じ方にこんなにも差が出るのかと、自分でも驚いたし怖かった。

物語の設定そのものに潜む偏見や差別、排除やいじめ、
そして日々の生活だけでなく、教育の場でのプロパガンダの蔓延に、
見ていて決して気持ちのいいものではなかった。

エルファバは「誰も蔑むべきじゃない」と当たり前のことに静かな怒りを抱く。
対照的に、人が熱中するものを足蹴にし、作者の思いのこもった本を踏みつける人もいれば、物理的に踏み台にする人もいる。

「人間以外をケージに入れ言葉を奪う」の裏にある、主体性の抹消と排除。

​「道を作れば迷わない」という言葉の裏にある、思考停止への誘導。

​「共通の敵」がいれば、自分たちの内なる醜さに目を向けなくて済むという群衆心理。

「何を言われても聞くな。悪者はあいつ」というプロパガンダ。


エルファバとグリンダが友情を育んだように見せていたが、私には友情には見えなかった。
「押し売り」や「自己満足」にしか見えない「人助け」、
「価値観の押し付け」にしか見えない「アドバイス」。
仲良くなったきっかけも、
謝罪すべきところで謝罪せず、「うやむやにする技術」で誤魔化しただけの「搾取的な人間関係の縮図」ように見えた。
周囲の人たちの個人の意志がない群れの動きにも嫌悪を感じる。

​グリンダの「外だけ飾ればいい」という価値観は、ずっと根底にあった。

エルファバの旅立ちの時も、一緒に行けなかったことを正当化できるポジションに、自ら収まったような気さえした。


​「全てを失っても 闇を暴く」と言ったエルファバは、自由を見つけたのではない。
プロパガンダに抗い、思考を止めた人たちの世界を捨て、
真実を明るみに出すために、自ら孤独を選び、皆の敵となった。


「消された声に耳を澄ませること」を終始訴える、
救いがない、とても苦しい物語だった。

だが、これほどまでに観客の心を逆なでし、思考を強いる。
現実世界で起きている残酷な状況を思い出させる。
その意味で、この映画は間違いなく「成功」しているのだと思う。

ともあれ、アリアナ・グランデの振り切り過ぎる演技は、めちゃめちゃ可愛くて大好きです。


⬇️『ウィキッド 永遠の約束』の感想はこちら

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