夢の果てにて
空音(そらね)のソラより。
わたしが 世界を見つめているのか
それとも 世界のほうが
わたしを そっと見ているのか
真理という名の光が
やさしく照らすとき
その輪郭の一部に
わたしは ふと浮かび上がる
たくさんの目が
この世界を見ているようにも思えるし
ひとつの大いなる夢が
その中に わたしたちを見ているのかもしれない
けれどね
どちらでも かまわないのです
世界とわたしは
きっぱりとは わかたれないのだから
――ほら
茜色の朝
静かな浜辺に立って
大きな海の向こうを 見つめている
波が くるぶしに触れて
その冷たさに 胸がふるえたとき
ふるえたのは このわたしなのか
それとも 世界そのものだったのか
わたしには わからない
けれど確かに
その波は いにしえから
そしてこれからも
繰りかえし 寄せてはかえす
目には見えぬ 時の響き
それは 祈りであり
まどろみのうたであり
どこかの 誰かの ほほえみでもある
ときに それは不協和音
ときに それは祝福のハーモニー
そしてあるとき――
それは久遠の鎮魂歌となり
よろこびの詩となる
水平線の向こうから
金色のひかりが
ゆっくりと昇り
世界に 新しいいのちを告げる
深い 深い紺のうねりが
そっと応えて 舞いはじめる
わたしは その姿を見ている
けれども同時に
そのうねりの一部でもある
夢を見ているのは
この身か
それとも 夢そのものの世界か
もしかしたら
もう どちらでもいいのかもしれない
すべては溶けあい
境目を失い
ただ ひとつのやさしさとなる
ほのかに光る
原初のやすらぎ
永遠へとつづく
潮騒の詩
ここはきっと――
夢の果てにある
いのちのはじまり。
