小さな灯りを持って帰る
夜明け前、
心だけが迷子になることがあります。
何を欲しがっていたのかも忘れて、
ただ静かな道を歩いていると、
ふいに胸の奥で
小さな灯りがともる。
それは誰かがくれたものではなく、
ずっと自分の中で
待っていてくれた光。
ほんとうは、
特別な奇跡が欲しかったわけじゃない。
ただ、
大切な人に
もう一度やさしく笑いかける勇気が
ほしかっただけ。
言葉にならなかった寂しさも、
飲み込んできた涙も、
朝の気配にほどけていく。
帰り道、
ポケットの中は空っぽなのに、
なぜか手のひらだけが温かい。
きっと魂は知っている。
愛は、
探しに行くものではなく、
思い出すものなのだと。
