魂が立ち止まった場所
朝の道を歩いていると、
名も知らない花のそばに
淡い光が降りていました。
空は広く、
鳥の声も、雲の流れも、
世界には数えきれないほどの
気配が満ちていたのに、
わたしの心は
そこに咲く小さな花の前で
ふいに足を止めました。
風が触れるたび、
細い茎は静かに傾き、
また何事もなかったように
空へ向かって戻っていきます。
抗うこともなく、
流されて消えることもなく、
ただ風とともに
自分の場所で咲いていました。
その姿を見ているうちに、
胸の奥で固まっていたものが
少しずつほどけていきました。
もしかすると魂は、
言葉よりも先に
必要な光を見つけるのかもしれません。
花を見つけたのではなく、
あの花に呼び止められたのでしょう。
「揺れても大丈夫です」
そんな声が
風に紛れて届いた気がして、
わたしはしばらく、
静かな奇跡のそばに立っていました。
