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komaki_kousuke
『生きる絵』 【シロクマ文芸部】
みなさん、こんばんは。
今週もやってまいりましたシロクマ文芸部。
お題は「夜桜と」から始まる創作です。
連日の陽気であっというまに桜が開きましたね。
ほんの短いこの時期が毎年待ち遠しく、あと何回見られるのかと考えてしまいます。
私は桜の花の清廉な薫りが好きなので、この頃に発売されるバスグッズをついつい買ってしまいます。
本日ロクシタンの桜ソープが届きました🌸
さて、さて。
小牧部長、今週もよろしくお願い致します。
『生きる絵』
夜桜と唐獅子とは、なんと奇抜な構図であるか・・・。
はじめてこの絵を見た時にそう思った。
夜桜を見上げる唐獅子。
「普通は唐獅子と牡丹、だよねぇ」
「それは普通だしな」
彼は煙草に火をつけた。
アタシは彼の長い指が好きなのだ。
「この獅子は俺なんだ。儚い桜を愛でてるのさ」
「夜桜がよかったの?」
「だって俺は陽の下を歩けるような男じゃないだろ。でも綺麗と感じるものは大切にしたいんだ」
「西行法師がさ、詠んだ歌を知ってる?」
「いや・・・」
願はくは花の下にて春死なむ
その如月の望月のころ
(もしも叶うことならば、桜の花が咲くのを眺めながら死にたいものだ。できれば釈迦が入滅したとされる陰暦2月15日の満月の日に)
「西行は念願通りに満開の桜の下で満月を眺めながら死んだんだって。アンタを見てるといつも死に目を向けているようでアタシは恐い」
「まぁ、カタギじゃないからな」
「アタシを遺して逝く気?」
彼の背中にそっと触れると、唐獅子はほんのりと色づいた。
艶やかな躍動的な獅子に変わる。
時に夜桜に噛みつくような獅子になり、渇望するようなせつない表情も見せる唐獅子は、彼そのもの。
その背中で血潮を感じながら生きているのだ。
「キレイだね」
その刺青が愛しくて、アタシは口吻をした。
〈了〉
