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『モモの古道具屋さん』第4話 おばあちゃんの貝釦 第四走者 枝本幸が担当します!

エルフィアの森にあるモモの古道具屋に女の子がやってきた。

高校生くらいだろうか。

「いらっしゃい!買いに来たの?売りに来たのかな?」

店番のモモが、天使の笑顔で出迎えた。

「探しているものがあって」

「へえ、何かなー?」

モモは白い羽をパタパタさせる。

貝釦シェルボタン、置いてますか?このブラウスのボタンなんですけど」

女の子は、鞄からたたまれたブラウスを取り出す。
ひとつひとつが違う色合いの輝きを持つ、綺麗な貝で作られたボタンのブラウス。

だが、ひとつボタンが足りないようだ。

モモは、うーんと首をかしげて言った。
「ボタンだけってのはないよ。ここは古道具屋だし、手芸店の方がいいんじゃない?」

女の子はため息をつく。
「そうですよねえ。でも、古い貝釦シェルボタンだからか、どこにもこれと同じものがなくて。おばあちゃんはもういいって言うんだけど、このお店には伝説の英雄の品物もあるって聞いたから、もしかしてと思って」

「おばあちゃんのブラウスなの?」
モモは聞いた。

「これ、おばあちゃんがおじいちゃんとの初デートで着たブラウスで、おじいちゃんが似合うって褒めてくれた思い出のブラウスなんですって。デートの度に着て、大事にしてたんだけど、ボタンをひとつなくしてしまって見つからずにそのまま」

モモは羽を広げて、一瞬ふわっと浮き上がって言った。
「それこそこの前来た、忘れもの屋のおじいちゃんの『失せ物探しの眼鏡』の出番だよー!なくした品も迷子も探せるんだってー」

女の子は前のめりになる。
「その人は今どこに?」

モモは天使の笑顔で答えた。
「地球の反対側ー♪」

女の子はがっくりと肩を落とした。

おじいちゃんが亡くなって1年が経ち、ようやく家の片づけを始められるようになったおばあちゃん。

女の子も手伝う中、久しぶりに出てきたブラウスの思い出を語ってくれたおばあちゃんに、女の子はなんとかして元通りボタンを揃えてあげたかった。

ふと、店の売り物の中に、古びたアコースティックギターを女の子は見つけた。

「へえ。古いけどかっこいいギターですね」

モモは言う。
「それはねー、『おじさんの青春』がつまってるよ!」

「おじさんの青春??・・・思い出ってこと?」

「うん、若い時の大切な思い出なんだって」

「それを売ってよかったんですかね?」

「うん、戻らないし戻りたくない『あの日』なんだって。それで、今は今の相棒がいるんだよ!プピーっていうやつ」

(プピー??)

プピーは謎だったが、女の子は思った。

きっとその大切な思い出は大切なままだけど、そのおじさんは、今の自分に合った新しい相棒とともに、自分らしく今を生きているんだろうな、と。

おばあちゃんの言葉を思い出す。

「いいのよ。おじいちゃんが褒めてくれた思い出も、楽しかったデートの思い出も、ちゃんと私の中にあるから。貝釦シェルボタンが揃っていなくても、もう私は大丈夫よ」

ずっとふさぎ込んでいたおばあちゃんだ。
たぶん少し、無理して元気を出しているとは思う。
でも。
少しずつ前を向こうとしているんだなと思った。

考え事をしている女の子に、モモが提案する。

「そうだ!モモが最近買った『何でも出来るおじいちゃん』に電話しようか?」

「え?『何でも出来るおじいちゃん』??」

「うん、『聞いたら大体何でも答えてくれる』んだって。貝で作ったボタンのことも知ってるかもしれないし、ひょっとしたら似たものを作ってくれたりするかもよ?出来高払いだって」

「へえ」
女の子はちょっと興味がわく。

モモは続けた。
「そのおじいちゃんを売りに来たおばあちゃんが、たぶんお金は要らないよっておじいちゃんは言うって」

女の子は考える。
仕事を定年退職したおじいちゃんが、それまでの経験を活かして誰かの役に立とうとしているんだろうか。

(セカンドライフの新たな挑戦?もしかしたら私のおばあちゃんにも、そういうものがあるのかもしれない)

女の子は、古びたアコースティックギターに目をやる。

(新しい相棒、か)

女の子は思いついた。
残っている貝釦シェルボタンを全部外して、シンプルなボタンにつけかえて、貝釦シェルボタンはブラウスの飾りにしたらどうかな。

(おばあちゃんがいいって言ってくれたら、私、リメイクしてみたい)

おばあちゃんが新たなものに挑めるような、新しい相棒になるブラウスに。

(きっと、おじいちゃんの思い出が力になってくれるはず)

女の子は顔を上げて言った。

「モモさん、せっかく提案してくれたのにごめんなさい!電話はしなくてもいいです」

モモは目をパチクリする。
「そう?大丈夫?」

女の子は笑顔で答えた。

「はい、大丈夫です。何も買わずに本当にごめんなさい!でも、このお店に来てよかったです!」

モモは不思議そうに女の子を見ると、いつもの天使の笑顔で言った。
「そっか。また来てねー!」

女の子がモモの古道具屋を出ると、優しい風が吹いている。

女の子は、丁寧にブラウスをたたんで鞄にしまうと、おばあちゃんの家に向かって歩き出した。


おしまい


……🏃‍♂️‍➡️…🏃🏻‍♀️‍➡️…🏃🏻‍♀️‍➡️…🏃🏻‍♀️‍➡️(KoKoRo物語リレーの、第五走者は出来次第どうぞ! お待ちしております!)

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