ククノチ神とは何か

古事記において、久久能智神は伊邪那岐と伊邪那美から生まれた木の神とされる。
また久延毘古は、カカシと言われる。

歩き巫女が携帯していたククノチ神は、弓を持った案山子(カカシ)像である。
弓は梓弓だろう。
梓弓は、古くから霊を招くために使われた巫具(採物、呪具)である。
弦には麻糸や樹皮などが用いられ、これを叩いて音を出すことで霊を招くそうだ。

では「案山子」は何を意味するのか。
この案山子の形状が、古代の数と関わる。

案山子はただの獣払いの人形ではないのである。
非常に重要な役割を持つ。

カカシの語源は「嗅がし」とされる。
また、カカシではなくソメ(あるいはシメ)という地方もあり、これは「占め」に連なる語であろうという。
民間習俗の中では田の神の依代(山の神の権現とも言われる)であり、霊を祓う効用が期待されていた。

カカシは占め、占め縄(注連縄)に通じていくのだ。

稲の禾は、イネの形または軍門の形とされる。
一字にして両義のある字。
軍門の字は、標木(しめぎ)に袖木をつけた形。
説文では「二月始めて生じ、八月にして熟す。時の中を得たり」とし、中和の義をもって解す。
「旗をもって左右和の門となす」とある。

カカシの形は、この禾の象形によると思う。
軍門とは何か。
標木は何を示すのか。
星の位置だろう。
軍門とは、東西の門。
軍は、車上に立てている旗がなびいている形。
旗は方形である。
北斗七星を象徴している。
北斗七星は舟や車の乗り物に見立てられてきた。

現在の北斗七星は周極星であるが、白鳥座デネブが北極星であった14000年前ではほぼ東から昇り西に沈む。
袖木の角度も重要なサインだった。
袖木の延長から昇り沈む北斗七星の位置を確認した。
時を知らせる役割があった。
これも発酵の時期を知らせるサインであったかと思う。
2月に寒仕込み、8月に熟し、10月に発酵を終える。
夕方東の空から登ってくるのが2月
夕方西の空に沈むのが10月
匂いと関係するのはこの為だろう。
腐敗していないか、芳香漂わせているか、確認する。
イネの形と同一とされるのは、麹菌と発酵との関係性によるものだろう。

ククノチ神に話しを戻す。
梓弓は、角度を計る道具であった。
袖木の角度。
弓はキュウ(9)
弓は霊を招いた。0(レイ)をもつ九の輪。円。
案山子は標木、木の神ー九の神である。
木には年輪がある。小さな輪から大きな輪が波紋のように連なる。
案山子が霊を祓うとは、0を払う。
同じ円を循環するのではなく、円が大きくなっていく。

占め縄(標縄)や弓が曲がっているのに対し、案山子は直線である。
0(レイ)を払い、十という形を生み出した。
久延毘古は、九を延長する意味だろう。
十は数の10ではない。重ねる意味。イチレイ。
つまり乗数の桁である。
弓とカカシが、拡大循環する九進法を生み出した。
九に九を重ねる。
それがククノチ神の正体である。
















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