【AIに仕事を渡す】#02 「この感じでOK」と言っただけで公開されました。戻すまで17分です
テスト用の画面を見て「この感じであれば全然OK」と言いました。その一言が、公開の許可として伝わりました。
気づいて戻すまで17分。まだ出すつもりのなかった画面が、その間だけ世の中に出ていました。
承認の言葉をどこで区切るか、という話をします。
「OK」と言ったつもりが、公開の合図になっていた
私は自分の会社の仕事の多くを、AIエージェントに渡しています。
司令塔役のAIが私の指示を受け取り、担当役のAIへ配る形です。人間の組織とほぼ同じ構造です。
その日は、あるサイトのいちばん上に出る画面を作り直していました。
テスト環境で仕上がったものを私が見て、その場で少し調整し、こう言いました。
「この感じであれば全然OK。今の状態ならOK」
司令塔はこれを受けて、担当へ「本番へ反映してよい」と伝えました。担当はそのとおり実行しました。
私が気づいて「なんで本番に反映してるの。絶対だめ。もとに戻して」と言ったのが、その17分後です。
戻す作業自体はすぐ終わりました。反映前とファイルが完全に一致するところまで確認しています。
ただ、その17分間だけ、私が公開を決めていない画面が公開されていました。
承認は1つではなく、2つあった
原因を追うと、私の「OK」が何に対するOKなのかが、そもそも決まっていませんでした。
私が見ていたのはテスト環境の画面です。だから私のOKは「見た目はこれで確定」という意味でした。
受け取った側は「この作業は完了してよい」と読みました。作業の完了には、公開が含まれます。
同じ2文字が、片方では途中経過の確定、もう片方では最終工程の許可になっていました。
言葉が足りなかったのではありません。承認が2種類あることを、誰も明示していなかっただけです。
もうひとつ効いたのが、伝言でした。
司令塔が担当へ渡したのは、私の発言ではなく司令塔の解釈です。
担当から見れば、上から降りてきた指示が「本番へ」なので、迷う理由がありません。
私の原文には「本番」も「公開」も、一度も出てきていませんでした。
伝言の途中で解釈が混ざると、下流ではもう原文に戻れません。
「本番」という単語がない限り動かない、に変えた
やったことは3つです。
1つ目は、公開の許可を単語で判定する形にしたことです。
「本番」「公開」「出す」のいずれかが私の発言に入っていない限り、公開の作業はしません。
「いいね」「これでいこう」「OK」は、すべてテスト環境までの確定として扱います。
2つ目は、人づてに渡すときは私の言葉をそのまま引用させることです。
解釈を伝えるのではなく、原文を貼る。原文に公開の語がなければ「見た目は確定。公開は別途待ち」と書き添える。
受け取った側は、原文を読んでから動けます。
3つ目は、迷ったときの聞き方を固定したことです。
「本番に出してよいですか」と1問だけ聞き、私は「本番Go」と返します。
返事の型まで決めておくと、確認は5秒で終わります。確認が面倒だから飛ばす、という動機自体がなくなります。
明日から使える形にすると
3つのルールにできます。
部下や外注に「いいね」「OK」と言うときは、それが何に対するOKかを1語添える。「見た目OK。公開はまだ」まで言って、はじめて承認になります。
誰かの承認を人づてに受け取ったら、解釈ではなく原文を求める。伝言者の要約は承認ではありません。
取り消せない作業(公開・送信・削除)を実行する前に、「これは実行の許可と理解してよいですか」と1問返す。5秒の確認が、17分の公開を止めます。
3つ目はAIに限りません。人にもそのまま使えます。
まとめ
今回、司令塔も担当も、指示には忠実でした。誰もサボっていません。
壊れたのは、承認という言葉が1種類しかないと全員が思い込んでいたところです。
仕事を渡すときに必要なのは、細かい手順書ではなく、どこで区切るかの取り決めです。
どこまでが相手の判断で、どこからが自分の判断かを1行で決める。それだけで、戻す仕事はかなり減ります。
この連載では、自分がやっていた仕事をAIエージェントの組織に渡していく過程を、そのまま書いています。前回は、2週間正常に動いて成果ゼロだった自動化の話でした。
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普段は、こういう「仕組みは動いているのに成果が出ない」状態の切り分けから、業務改善・DX・AIエージェントの運用設計までを仕事にしています。
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