猫と暮らし続けたい利用者さん…その想いに、どう関わるか
私は、大のネコ好きです。
だからなのかもしれません。
利用者さんとペットの話になると、
なんだか他人事に思えなくなる。
「寂しいだろうから」と、
家族が子猫(犬)を迎えようとしている場面。
自分のことだけでも精一杯なのに、
ペットのお世話を続けている利用者さん。
そして——
入院や施設入所が現実になったとき、
ペットの行き先に悩む家族。
どの選択にも、理由があって、想いがある。
だからこそ、簡単に「こうすべき」とは言えない。
実際に、こんなケースがありました。
今、担当しているAさん。
一人暮らしで、猫を5匹飼っています。
もともとは
野良猫を1匹家に入れたことがきっかけで、
それから間もなく4匹の子どもが生まれ、
今の生活になったそうです。
Aさんとの関わりは、
包括支援センターからの相談がきっかけでした。
「ケアマネを変えたい」と、
ご家族から相談があったとのこと。
前任のケアマネとはあまりうまくいっておらず、
家族への報告が少ないまま、
本人とサービス内容を決めているように見えていたそうです。
市外に住むご家族は、
状況が見えないことに不安を感じていました。
そんな中で、
「〇〇さん(私)、
猫が5匹いる家なんだけど、
お願いできないかな」
と、声がかかりました。
私は、その依頼を引き受けることにしました。
前任のケアマネに、
引き継ぎのときに言われたのは、
「すごく汚い家ですよ」
「ヘルパーや訪問看護を提案しても受け入れない」
「家族とも連絡が取りづらい」
そんな言葉でした。
初回訪問では、
Aさんとご家族、両方と一緒に話をしました。
Aさんは、
「猫との生活が一番大事」
「猫の世話をしていることが生きがい」
そう話していました。
一方でご家族は、
「自分のことも大変なのに正直心配」
「でも命を預かっている以上、
世話ができるよう元気でいてほしい」
と話されていました。
それぞれの思いは違うようでいて、
どちらも“猫のことも大切にしている”
という印象でした。
前任のケアマネについて、
Aさんはこう言っていました。
「なんか家に来るんだけど、
ベッドを売ろうとするのよね」と。
だから、
体調不良を理由にして、
訪問を断ることも多かったそうです。
実際に家の中は、
お世辞にもきれいとは言えない状態でした。
でも——
猫のご飯はきちんと用意されている。
お水も替えられている。
トイレの掃除もされている。
その様子は、はっきりと分かりました。
サービスとして入っていたのは、
ベッドサイドに置き型手すりが一つ。
でも、私の評価では
それは必要なものではありませんでした。
なぜなら——
ベッドサイドの手すりがなくても、
寝起きは問題なくできていたからです。
その手すりは、
服をかけるだけのものになっていました(笑)
そこで相談し、
その手すりは返却することにしました。
代わりに、
Aさんの動きを見て必要だと感じた玄関に、
手すりをレンタルすることにしました。
Aさんは庭に出る頻度が多く、
靴の脱ぎ履きや出入りの動作に
不安定さがあったからです。
そうやって
“今の生活に本当に必要なもの”を、
一つずつ見ていくことにしました。
過去には訪問看護を
入れたこともあったそうです。
でも——
生活環境を見て
「衛生的によくない」と言われたことが、
とても嫌だったと話してくれました。
ヘルパーの提案もあったそうですが、
「衛生的に良くないと言われるかもしれない」
「人が来るなら、きれいにしなきゃいけない」
その思いが強く、
かえって負担になると感じていたようです。
だから私は、
いきなりサービスを増やすのではなく、
まずは“今の状態”から始めて、
本人にとって何が必要かを一緒に考えていくことにしました。
Aさんの一日は、
ほとんど猫のお世話で過ぎていきます。
要介護1で、身の回りのことはおおむね自立。
ただ一つ気になったのは——
ご自身の食事が、
おろそかになっていることでした。
食材があっても調理はできず、
ご家族が週末に訪れて準備したものも、
ほとんど手がつけられていない状態でした。
Aさんは、こう言っていました。
「猫と暮らしたいから、施設には絶対入らない」
「この子たちの世話をする人がいなくなるから」
だから私は、こう伝えました。
「猫のお世話を続けるためにも、
Aさん自身が元気でいられるように、
一緒に考えていきましょう」
そこから、
少しずつ変化が見られるようになりました。
毎月のモニタリング訪問にも応じてくれるようになり、
今ではヘルパーを導入し、
ヘルパーと一緒に食事を作り、
食べる支援を行っています。
猫の世話については、
ヘルパーが直接関わることはできません。
だからこそ——
Aさん自身に、
できる範囲で続けてもらうことを
大切にしています。
この支援が正解かどうかは、分かりません。
でも、
Aさんの望む生活を叶えるために、
どうすればいいのか。
それを考えながら、
毎月、関わり続けています。
毎月のモニタリングの内容は、
ご家族にもメールで共有し、
意見をもらうようにしています。
いつ何が起きるかは分かりません。
それでも——
Aさんが、
大切な猫たちと一緒に、
自宅での生活を続けていけるように。
猫たちも安心して
Aさんと過ごしていけるように。
そんな支援を、続けていきたいと思っています。
あなたなら、この状況でどう関わりますか🌿
