天王星とホームレス中学生
天王星は土星が作り出したものを壊します。その時代ごとに作り出される<価値観、社会構造、政治的枠組み、働き方、スタンダード、風潮>などが土星にあたります。個人においては<キャリア、資産、ライフスタイル、個別の価値観>などが土星にあたります。土星はこの世的な普遍性を持ちますが、宇宙的な普遍性は天王星が持っています。
わざわざ作り出してきたもの、苦労して築き上げた地位や財産、生き方のスタイルと生活基盤・・・そういったものをなぜ壊す必要があるのか。壊される人間もたまったものではありません。でも、天王星は必ずどこかに働きかけ、何かを壊すのです。その理由は<壊さないと腐るから>です。進化とは真逆の方向へと堕落していくからです。
細胞が常に分裂しているように、全てのものは変化を繰り返す。変わらないものは呼吸を失い、やがて深部から腐敗していくからです。いつも新しい風と息吹を取り込まなくてはならない。権力が一極集中すると必ず腐敗していくように。頑なに変化を拒む個人は自然とのリズムが狂い、取り残されていくように。新陳代謝を促して腐敗を避けるために、宇宙と生命が成長進化していくために、天王星は壊します。台風一過のごとく、破壊の後に澄んだ空気と晴れ渡る青い空を持ってくる。
7月に天王星が双子座に入りました。直前に天王星が双子座にいた期間は1940年〜1948年です。日本も激しい戦火の只中に置かれていた時期であり、そして、戦争が終わった直後にあたります。戦争が終わると、一夜にして軍国主義は資本主義に変わりました。鬼畜米英的なスローガンの下から一転、「今日からはアメリカと同じ資本主義になりました」と言われましても、「はい、わかりました」とはならないでしょう。(どっから突っ込んでいいのかわからん)
米国に忠誠を誓う姿を見せるためか、国の指導の下、子どもたちは「教科書に炭を塗らされた」そうです。(はあ?)こういったコペルニクス的変換を天王星は引き起こします。「ホームレス中学生」で有名な田村さんの体験も、天王星的変換だったのかもしれません。ある時、中学生の田村さんが帰宅すると、家が抵当に入れられていた。全財産が差し押さえられ、中に入ることもできない。
兄弟姉妹が家の前で呆然としていると、父親がやってきて「そういうことになりましたので。はい、解散」と告げる。「今日からは各々で頑張ってください」と言い残して去っていく。(いやいやw信じられないことが起こるんだよ、地球では)田村君を取り巻くこれまでの世界が崩壊した瞬間です。土星的なものがガラガラと崩れ去った瞬間。
でも、田村さんはその体験ゆえに「明るく生きること、笑いの凄さ」に気づいたと言います。そして、芸人さんになり、現在の田村さんが出来上がっていったとしたら、まさに天王星はそういう星なのです。何かを壊すことで「もっと良いもの、もっと可能性のあるもの」を持ってくるのです。壊された時の苦しみは耐えがたいものがあります。
田村さんはその後、とんでもない苦境を経験します。この時、何が田村さんを救ってくれたのかと考えると、笑いでありユーモアだと思うのです。天王星が持ってくるものは大抵、「理不尽な出来事」です。これをまともに受け取ったらどうなるでしょうか。ふざけんな!となるでしょう。中学生でホームレスなんて境遇に置かれたら、私は天を呪いたくなります。どんだけ無責任なんだよと父親を怒鳴りたくなります。
でも、この壮絶な体験が「ホームレス中学生」という映画になり、そして、この悲惨な体験が「どうにも笑えてしまう」のは、田村さんが俯瞰した視点を持っているからです。こんなに苦労した、こんなに理不尽な目に遭った、父はこんなにひどい人間なのだーーという被害者目線で語られたなら、聞く方は苦しくなります。同情する以外の出口がなくなります。
でも、田村さんは違ったのです。俯瞰した視点、受け入れる視点、自我を離れたユーモアの視点を持っていたからこそ、真っ直ぐに苦境を乗り越えて、それを糧にすることができた。笑いに変えることができた。海外の占星術師さんが仰っていました。「天王星はユーモアの星である」と。確かにその通りなのです。
命まで捧げた戦争が終わり、いきなり「今日からは資本主義になりました」って、究極のコメディでしょうよ。俯瞰した視点から見たら、もう笑うしかないじゃないですか。怒りも何もかもを通り越して、脱力するしかない。中学生なのにホームレスとか、どないせいっちゅうねん。一周して笑うしかない。
天王星をルーラーに持つ水瓶座の人が頑固で極論を展開するのも、そこに独特のユーモアがあるからこそ、受け入れられます。シニカルで天才的な視点がある。シャープな辛辣さも不思議なユーモアと同胞に向けた愛情となって魅力的に映る。でも、水瓶座が「なんでわからないんだ、絶対に自分が正しいんだ」とシリアスになると、痛々しささえ漂うわけなのですw
天王星は愛ゆえに壊しにかかります。天王星が双子座にいる期間、私たちの「考えや価値観」を壊していく可能性が高いと思います。「右が正しい、左が正しい」という議論ほど逃げ出したくなるものはないです。右でも左でもどっちでもいいですw「右が正しい、左が正しい」という極性に立っていると、人はとんでもなくシリアスになります。価値観や考えがまるで人間の価値そのものであるかのように振る舞い出し、相手を攻撃し始める。
でも、右になり、左になることが必要なのです。右も左も理解してみる視点。極から極へと振り切ってみて、はじめて私たちは「第三の視点」が存在していたことに気づきます。それが俯瞰した中庸点であり、ユーモアのある場所です。双子座天王星は、それぞれが「自分で考え抜き、自分の考えを持つこと」を促します。やがて「その考えが次元を上げていくため」です。俯瞰した第三の視点に上昇するためです。
