【問い】人をリスペクトするとは、相手の「両面」を知ることなのか
はじめに
今回は、荒木博行さんのVoicy「相談カフェ#268 人をリスペクトするとはどういうことですか?」を聴いて、職場での出来事と重なる部分があったので、問いとして残しておきます。
放送の中で印象に残ったのが、
「憧れとリスペクトは、似ているようで違う」
という話でした。
憧れは、その人の行動に向かうもの。
一方で、リスペクトは、その人自身に向かうもの。
仕事が早い。
多くの成果を出している。
たくさんの人に影響を与えている。
そんな人を見て「すごい」と感じるのは、憧れに近いのかもしれません。
しかし、リスペクトは、その人の優しさや気遣い、価値観や考え方だけでなく、弱さや不器用さも含めて、その人自身を見ようとすることなのではないか。
そんな話から、職場にいる一人のスタッフを思い浮かべました。
現場を見てほしい人と、未来を見ている人
私の職場には、周りとは少し違う視点で物事を見ているスタッフがいます。
表面上は周りに合わせようとしたり、現場に溶け込もうとしたりしています。
しかし、本当にやりたいことや見ている方向は、周りとは少し違います。
周りのスタッフは、
「もっと今の現場を見てほしい」
と感じている。
一方で、本人は、
「これからどうしていくのか」
「未来のために何を変えていくのか」
を考えている。
現場にいる人は、今日の営業を安定させたい。
本人は、今のやり方の先にある未来を考えたい。
どちらかが間違っているわけではありません。
ただ、見ている時間軸が違うことで、本人の行動が「現場を疎かにしている」ように見えてしまうことがあります。
行動だけを見れば、批判したくなる
現場で必要なことが行われていなければ、周りから不満が出るのは当然だと思います。
今やるべきことをせずに、未来の話ばかりしていたら、
「まず目の前の仕事をやってほしい」
と言いたくなります。
その状態が続けば、現場からリーダーへの愚痴や文句が増え、少しずつ信頼が崩れていく可能性もあります。
未来を考えることが悪いわけではない。
しかし、未来を語ることで目の前の責任が免除されるわけでもない。
反対に、目の前の仕事だけを優先していればいいわけでもありません。
今を守る人と、未来をつくろうとする人。
この二つの視点がうまく共有されないまま、一方の行動だけが見えてしまうと、人への評価や批判に変わっていくのかもしれません。
3年以上一緒にいたから見えるもの
私は、そのスタッフと3年以上、同じ職場で働いてきました。
いい意味でも悪い意味でも、楽しくやってきたつもりです。
その中で、
本人が何をやりたいのか。
どんなことに興味を持ち、何に違和感を覚えるのか。
どんなところが得意で、どんなところが不器用なのか。
表面だけでは見えない部分を、少しずつ知ってきました。
だからこそ、周りがそのスタッフについていろいろ言っていても、すべてをそのまま受け取ることはありません。
もちろん、問題のある行動まで肯定するわけではありません。
ただ、
「そういう人だからな」
と、少し距離を置いて話を聞くことができます。
この「そういう人だから」という言葉は、諦めや無関心にも聞こえます。
しかし、長所だけでなく短所も含めて、その人の一貫した特徴を知ったうえで出てくる言葉であれば、リスペクトに近づくのかもしれません。
人には「その人なりのブランド」がある
今回の放送で、もう一つ響いたのが、
「人にもブランドがある」
というキーワードでした。
ふわっとしているように見えても、少しずつ自分の向かいたい方向へ進んでいる人。
目の前のことをしっかりやり、今を楽しむことを大切にしている人。
周りとのバランスを考えながら、できる範囲で自分のやりたいことを進める人。
周囲を顧みず、自分のやりたいことだけを優先する人。
同じ職場で働いていても、何を大切にするのかは一人ひとり違います。
その人が繰り返し選んできた行動や価値観を、
「この人は、こういうブランドを持っている人なんだ」
と捉える。
そうすると、目の前の一つの行動だけで相手を判断するのではなく、その人の背景や一貫性にも目を向けられる気がします。
ブランドには一貫性も必要になる
一方で、ブランドは毎日まったく違うものに変化していたら、周りを混乱させます。
放送では、ルイ・ヴィトンが明日突然まったく違うブランドになっていたら困る、という趣旨の話もありました。
人も同じなのかもしれません。
昨日は現場を大事にすると言っていたのに、今日は未来だけを語る。
昨日は周りとの共存を大切にしていたのに、今日は自分のやりたいことだけを優先する。
その日の気分によって、あちらへ行ったり、こちらへ行ったりしていたら、周りはどのように関わればいいのか分からなくなります。
だからこそ、自分が大切にしているものを軸に持ちながらも、周りと共存するために目の前のことをしっかり行う。
自分らしさと、周りへの責任。
未来と、現在。
この二つのバランスが、その人のブランドをつくっていくのかもしれません。
リスペクトは、何でも許すことなのか
相手の人柄や背景を知っているからといって、すべての行動を許していいわけではありません。
「そういう人だから仕方がない」
という言葉で、周りへの影響を見ないことにしてしまえば、それは理解ではなく放置になる可能性もあります。
本人らしさを認めること。
現場で果たすべき責任を伝えること。
この二つは、必ずしも矛盾しないはずです。
むしろ、本当に相手をリスペクトしているからこそ、その人が周りから信頼を失わないように、伝えるべきことを伝える必要もあるのかもしれません。
憧れだけでは、自分と比較してしまう
行動だけを見て「すごい」と感じる人は、たくさんいます。
しかし、目に見える成果や行動だけに憧れると、それができない自分と比較してしまうことがあります。
「あの人はできているのに、自分はできない」
「あの人のようにならなければいけない」
そう考えるほど、憧れが自分を苦しめるものに変わる可能性もあります。
一方で、
その人がどのような努力をしてきたのか。
どんな葛藤を抱えているのか。
どのような価値観や不器用さを持っているのか。
内面まで知ったうえで、
「この人は、こういう人なんだな」
と思えた時、比較ではなく理解に変わっていくのかもしれません。
まとめ|人を「評価」ではなく「存在」として見られるか
リスペクトする人を、無理に見つける必要はないと思います。
自分の軸を持ち、自分なりに人生を楽しめているのであれば、それも一つの生き方です。
しかし、自分に劣等感があったり、これから成長したいと感じていたりするのであれば、誰かをお手本にすることは、自分の軸をつくる助けになるかもしれません。
その時に、表面の行動だけを真似るのではなく、その人の考え方や葛藤、長所や短所まで含めて知ろうとする。
いろいろな人の生き方に触れながら、自分に合うものを少しずつ取り入れていく。
その積み重ねが、自分のブランドをつくることにもつながる気がします。
では、人をリスペクトするとは、その人の長所を評価することなのでしょうか。
それとも、ポジティブな面もネガティブな面も含めて、その人を知ろうとすることなのでしょうか。
そして、あなた自身には、周りから見た時に感じられる「自分なりのブランド」があるでしょうか。
あなたの職場では、相手の一つの行動だけを見て、その人全体を判断していないでしょうか。
▼この問いについて、
構造から整理した記事も書きました
摩擦を、構造に。
問いを、資産に。
Yuta
