顔を整える順番の最後にするのがメイク
ヘアメイクをしていると、「最初に何からメイクをするんですか?」と聞かれることがあります。
そのたびに、少し困るんです。だって、私が最初にするのは、メイクじゃないから。
撮影の日も、いきなりメイクから始めません。まずは、その人の様子を見ます。
「今日は少し緊張しているのかな」「疲れているのかな」。そんなことを感じながら、精油の香りを手に取って、肩や首まわりを軽くほぐしていきます。
「リラックスしてくださいね」。そんな言葉も、言いません。何気ない話をしながら、少しずつ力が抜けていくのを待ちます。
すると、不思議なくらい表情が変わることがあるんです。
呼吸が深くなって、顔がやわらぐ。
その瞬間を見てから、私はメイクを始めます。
30年以上、この仕事をしてきて、そんな場面を何度も見てきました。だから私が最初に整えるのは、メイクではありません。
姿勢。呼吸。髪。肌。そうして最後に、メイクをします。
この順番は誰かに教わったわけではありません。気づいたら、自然とこうなっていました。
私はメイクのオンライン講座を主宰していますが、そこでは肩に触れることも、香りを届けることもできません。だから、「一度、深呼吸してみましょう」。そう声をかけます。やっていることは、現場もオンラインも同じです。
メイクをする前に、その人自身を整えること。

まずは鏡や画面に映る自分を見てもらって、そこから始めます。
メイク講座の受講生から、「メイクが変わりました」よりも、「なんだか顔が変わりました」と言われることが多いのは、そのせいかもしれません。
昔の私は、メイクが顔を変えると思っていました。でも今は、少し違います。顔は、メイクをする前から少しずつつくられている。だから今日も、私はいきなりブラシは持ちません。
姿勢を整えて。呼吸を整えて。髪を整えて。肌を整える。そうして最後に、メイクをします。
実際に撮影の現場でも、いきなりメイクはせず、こんなふうに始まります。
イスに座ってもらって、まずは他愛もない話をします。「今日は早かったですね」「昨日はよく眠れました?」。そんな何気ない話をしながら、精油を手に取って、肩や首まわりをほぐします。
髪に触れると、その日の髪の状態がわかります。肌を見ると、「昨日より調子がいいな」とか、「今日は少し疲れが出ているな」とか。そんなことを感じながら、その日の顔を見ています。
すると、さっきまで少し緊張していた表情が、ふっとやわらぐ瞬間があるんです。
「あ、もう大丈夫そう」
そう思ったら、そこで初めてブラシを持ちます。
そうして最後に、メイクをします。
30年この仕事をしてきて、自然とたどり着いた順番です。
私が書いた本、『なんとなく自己流から抜け出す 今の自分に合うメイクの正解』でも、ヘアメイクとしての30年以上の活動からわかった「シャレる(年齢に抗わず自然体で、今を自分らしく輝いている)メイク」についてもお伝えしています。よかったら読んでみてくださいね。
これからのnoteでも、そんな「大人のための現実的なメイクや美容のヒント」をお届けしていきますね。
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