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【ネタバレあり】赤い本を閉じた月曜日の朝、僕は工場という現実(DQ3)へ向かう。〜『DQ11S』が僕に遺した究極のパラドックス〜

あの壮大な夢から覚めて、数日が経った。
今日(木曜日)も僕は工場で働き、モノを生産している。

今週の月曜日の朝。いつものように出社し、工場の持ち場についた時、僕の胸には祭りの後のような静かな虚無感と、それ以上の深い満ち足りた思いが広がっていた。
「ああ、本当に僕の冒険は終わったんだな」と、月曜日の圧倒的な現実の中で、僕は確かに実感していた。

日曜日の16時半。僕は『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』の真エンディングを見届け、ゲームをアンインストールした。

これは、一人の社会人ゲーマーが、絶望に涙し、理不尽な罠に笑い、哲学的なパラドックスに苦悩し、そして「ディスガイア」のようにレベルを上げて神話を完成させるまでの、濃密すぎる週末の記録だ。

※ここから先にはドラクエ11Sに関するクリア後や真エンドに関するネタバレがございます。未プレイで内容を知りたくない方はここでブラウザバックしてください。

↓まもなく


第1章:絶望と覚醒〜ショートヘアのセーニャと流した涙〜

物語の折り返し地点、命の大樹の落下は、シナリオライターが仕掛けた「希望の拷問」の始まりだった。
世界は崩壊し、仲間は散り散りになり、そして何より、ベロニカが死んだ。
あの衝撃は忘れられない。だが、僕を一番泣かせたのは、真実を知った直後、セーニャが自らの長い髪を切り落とし、ベロニカの力を宿して覚醒したシーンだった。

このゲームが神がかっているのは、その悲壮なまでの決意を「スキルパネル」というプレイヤーが直接操作するシステムで表現したことだ。
メニュー画面を開いた瞬間、回復特化だったセーニャのパネルに、ベロニカの「両手杖」や「まどうしょ」のパネルがガチャン!と融合して広がっていた。プレイヤーの手でパネルを開放していくたび、「ああ、ベロニカの命と意志は、本当にセーニャの中で生きているんだ」と痛いほど実感させられた。守り続けた妹から、戦う賢者への決意。あそこで僕はボロボロに泣いた。

……しかし、ドラクエは容赦がない。
その感動の余韻のまま「天空の古戦場」を探索していた数十分後、僕は真顔になった。
宝箱が開かない……ガタガタ……バァーン!と現れたパンドラボックス。そして放たれた「ザラキ」。
見事に仲間が2人即死し、覚醒したばかりの大賢者セーニャも死んでしまった。ロウのザオラルは何度やっても失敗。結局MPが0になり、ぜぇぜぇ言いながら泥沼の蘇生劇を繰り広げる羽目になった。
「お姉さまの力をこんな箱に!」とバギマを連発するシュールさ。涙はすっかり乾いていたが、これこそが「僕がコントローラーを握っているからこそ生まれる、僕だけの冒険」だった。

第2章:天空魔城の死闘〜勇者不在のウルノーガ討伐〜

土曜日の夜。ヒノノギ火山で、世界中の人々の希望を乗せて「勇者のつるぎ」をカンカンと打ち上げた時のカタルシスは最高潮だった。
いざ天空魔城へ。しかし、ラストダンジョンの過酷さは想像を絶していた。最初のボス戦から、4人がHP「1」で踏みとどまるという綱渡りの死闘。

そして迎えた、魔王ウルノーガとの決戦。
それは、思い描いていた「勇者の剣で魔王を華麗に打ち倒す王道RPG」の姿ではなかった。
苛烈な猛攻を前に、勇者である僕が倒れ、回復の要であるセーニャも倒れた。ザオラルをかける余裕すらない絶望的な状況。
最後に立っていたのは、カミュ、マルティナ、シルビアの3人だった。回復を捨てた物理特化の殴り合い。やられる前に、持てるすべての力で魔王をぶん殴る泥試合。
結果的に、勇者への思い入れが特に強いこの3人が、ボロボロになりながら魔王にトドメを刺した。勇者が倒れても終わらない。仲間たち全員で困難に立ち向かい、泥臭く掴み取ったこの勝利は、少年漫画の最終回のような完璧なエンディングだった。

第3章:「過ぎ去りし時を求めて」〜僕が抱えた究極のパラドックス〜

しかし、物語は続く。「To Be Continued」の文字。僕は、ベロニカの命を救うため、時を遡る決断をした。
過去に戻り、大樹での悲劇を未然に防いだ。ホメロスを圧倒し、ウルノーガを討ち取った。

そして、デルカダール城での平和な宴。皆が底抜けに明るく喜んでいる中で、僕だけが「素直に喜べない猛烈な違和感」を抱えていた。
なぜなら、目の前で笑っているセーニャは、おっとりした長い髪のままだったからだ。姉を守れなかった絶望を乗り越え、自ら髪を切り落として覚醒した「あの気高く美しいセーニャ」は、もうこの世界のどこにもいない。
僕だけが、HP1になりながら魔王を倒したあの泥沼の死闘の記憶を持っている。

この平和は、本当に「現実」なのだろうか?
命の大樹が落ちた後、ロウがバクーモスに見せられていた「ユグノアが滅びていない都合の良い夢」。今の僕の状況は、あれと全く同じではないか。
痛みを伴わない、都合が良すぎる平和。もしかすると、第3部全体が「僕が見ている死に際の幻(希望の拷問)」なのではないか?

「ショートヘアのセーニャがいたあの絶望の世界こそが現実で、今のこの世界は夢なんじゃないか」。
この哲学的なパラドックスに、僕はめまいがするほど深く囚われてしまった。

第4章:社会人ゲーマーの最適解〜さらば死闘、ようこそディスガイア〜

忘れられた塔で真実を知り、ケトスが覚醒し、ついに真の黒幕である「邪神」の存在が明らかになった。
しかし、邪神は強い。攻略サイトには「推奨レベル80」とある。僕のレベルは50台。
「もう、あんな死闘はしたくない」
社会人ゲーマーである僕は、そう決断した。ネルセンの試練の全クリや面倒なおつかいクエストは、すべて笑顔でスルーすることに決めた。

平日の夜、仕事で疲れた頭には、重厚なストーリーや全滅の恐怖はカロリーが高すぎる。
だから僕は、ドラクエを『ディスガイア』のように遊ぶことにした。
全員の作戦を「ばっちりがんばれ」にし、ネルセンの試験の賢者の試験と勇者の試験の敵とひたすら戦闘し、メタルハンド強やメタルキング強が出るのを待ちながら、ゾーンに入ったキャラはすかさず控え(スタンバイ)に下げて保存する。4人のゾーンが揃ったら、連携技「スーパールーレット」と「スペクタクルショー」を発動し、確定で出現するメタルキングを乱獲する。
脳死の反復作業。しかし、画面の中の勇者たちは爆発的に強くなっていく。数日の平日の夜を費やし、僕はレベルを87まで引き上げた。
面倒な作業をチート級の裏技でスキップし、圧倒的な「数字の暴力」で解決する。これこそが、大人のゲーマーにとって最高の癒やしだった。

第5章:真のエンディング〜赤い本が閉じる時〜

日曜日。準備は整った。
レベル87の圧倒的なステータス暴力と、「勇者のつるぎ・真」で邪神のバリアを剥がすギミックの知識。
死闘になるはずだった邪神戦は、完全にストレスゼロの「公開処刑(オーバーキル)」へと変わった。ヒリヒリした戦いではなく、無敵の勇者として物語の結末を見届けるための、最高のカタルシスだった。
ひたすらグレイグがにおうだちで邪神の攻撃を受け、勇者は覇王斬連打し、ベロニカがイオナズンまたはメラガイアー連打。

そして、真のエンディング。
セニカは過ぎ去りし時を求めて過去へ飛び立ち、新たな歴史が始まった。
場面は変わり、一人の母親が「赤い装丁の本」を本棚にそっとしまうシーン。
僕が村を追われ、絶望し、パンドラボックスに殺されかけ、泥臭く魔王を倒したあの冒険は、後世において『ロトの勇者の伝説』という一冊の神話として昇華されたのだ。
僕のプレイは無駄じゃなかった。幻でもなかった。僕がコントローラーを握って経験したすべての感情が、この神話(本)を完成させたのだ。

本をしまった母親は、2階へ上がり、眠っている赤ん坊を起こす。
「起きなさい。今日はお前が初めてお城に行く日だったでしょ」

『ドラゴンクエストIII』の始まりの瞬間。
僕が守り抜いた世界で育ったこの子が、僕の神話に憧れ、新しい勇者として旅立つ。
終わりは始まり。誰かが物語を終わらせることで、必ず誰かの新しい物語が始まる。
日曜日の16時半。僕は深い感動と余韻の中で、DQ11Sをアンインストールした。

終章:月曜日の朝、工場という「現実(DQ3)」へ

そして月曜日の朝、僕は目を覚ました。
「今日はお前が初めてお城に行く日だったでしょ」という言葉に背中を押されるように、僕は作業着(しょぼい装備)を着て、会社という名の城へ向かった。

ロトゼタシアは一つの物語として完結し、僕は夢から覚めたのだ。
メタルキングとの戦いは終わった。しかし、今日からは「工場での生産」という現実世界の戦いが始まる。
上司(王様)から振られる無茶なクエスト、部署(ルイーダの酒場)にいる同僚たち。魔法も勇者の剣もない等身大の現実世界は、時に地味でしんどい。

それでも、月曜日に工場の持ち場についた時、僕の胸の奥には確かに「昨日まで、俺は世界を一つ救ってきたんだ」という誰にも奪えない誇りがあった。
ゲームという夢は、現実という城(会社)へ向かうための活力を養うためにある。

ありがとう、カミュ。ありがとう、ショートヘアのセーニャ。
伝説の勇者の冒険はこれで終わるけれど、僕の現実(DQ3)の冒険は、今日も工場で続いている。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

もしあなたが、ショートヘアのセーニャに涙したことがあるなら。
パンドラボックスのザラキに絶望したことがあるなら。
そして、現実世界という名の「城」で今日も戦っている勇者なら。

ぜひ「スキ(♡)」を押して、あなたの冒険の痕跡を残していってください。
また、あなたが『DQ11』で一番心を揺さぶられたシーンがあれば、ルイーダの酒場感覚でコメント欄に書き込んでくれると嬉しいです。

現実世界(DQ3)のクエスト、お互い頑張ってクリアしていきましょう!

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