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家に帰ったらスズメバチの巣があった――「へっぴり腰」と言われながら、現実のボス戦でLP-1を避けた話

※画像はイメージです。実際の光景ではありません。

今日は普通に仕事から家に帰ってきた。

その時の僕の頭にあったのは、スズメバチでも殺虫剤でもない。

「とりあえずCodexにアセット生成の続きを指示させて、それからお風呂に入ろうかな」

そんな、ごく普通の予定だった。

最近ずっと進めているゲーム制作のアセット生成がある。帰宅したらまず続きをCodexに投げて、作業を走らせている間に風呂にでも入れば効率がいい。

そんなことを考えながら、いったん2階の自分の部屋まで上がった。

そして少しして、1階へ降りてきた。

そこで予定が全部吹き飛んだ。

父が、蜂の巣と戦っていた。


帰宅後いきなり始まった「緊急イベント」

母屋の脇の下あたりに、スズメバチの巣ができていた。

父は虫を捕まえる時に使うような網を持っていて、それを下から巣に押し当てるようにしていた。

蜂が外へ出てこないよう、出口を塞ごうとしていたのだと思う。

この時点では、まだ祖母はいなかった。

僕は状況を見て、近くに置いてあったキンチョールをとっさに手に取った。

ただ、いきなり近づいて噴射したわけではない。

まず巣の様子を見る。

蜂がこちらへ出てきていないことを確認する。

それから、

「近すぎない。でも、キンチョールはちゃんと届く」

くらいの位置を取って、巣へ向けて噴射した。

ほんの少し前まで、

「Codexに続きをやらせてから風呂入ろう」

なんて考えていたのに、突然リアルタイムアクションが始まってしまった。

しかも、ゲームと違ってロードはできない。

父の作戦は「とにかく先制攻撃」

父の考え方はかなり明快だった。

「とにかく先制攻撃しないと刺されるよ」

というものだった。

蜂が出てきてこちらを攻撃する前に、先に殺虫剤を浴びせて動けなくする。

理屈として何を考えていたのかはよく分かる。

実際、蜂がこちらへ向かって飛び回れる状態になってから対応するより、巣にいる間に殺虫剤を効かせたい、という発想だ。

ただ、僕は途中から少し違うことを考えていた。

攻撃することだけ考えていたら、逆に危なくないか?

ということだった。

祖母も加わり、だんだん戦闘が激しくなっていく

途中から祖母もやってきた。

そこからは父が巣を押さえ、僕と祖母が殺虫剤をかけるような形になった。

殺虫剤が効いているのか、蜂が弱っているようには見えた。

だから僕としては、

「ある程度かかったし、一度待って効くのを見てもいいんじゃないか」

という気持ちもあった。

ところが、周囲はかなり焦っている。

「早くかけろ!」

「もっとかけろ!」

という感じになる。

そして、その最中だった。

一部の蜂が外へ逃げ出した。

その瞬間、

「これはちょっとやばい」

と思った。

「早くかけろ」と言われても、僕はいったん下がった

蜂が外へ出てきた。

それまで成立していた、

「巣の中に蜂がいるから、そこへ殺虫剤を当てる」

という状況が崩れた。

だから僕は少しずつ距離を取った。

もちろん、全部放り出して逃げたわけではない。

離れながら蜂の動きを見る。

危険そうならさらに離れる。

逆に、

「今なら大丈夫そうだ」

と思える場面では、届く距離からまた噴射する。

そんな感じだった。

つまり僕としては、

攻撃できる時には攻撃する。
でも、危ない時には防御に切り替える。

という戦い方をしていた。

後から考えてみると、これがかなり重要だった気がする。

スズメバチ相手に必要なのは、どれだけ勇敢に前へ出られるかではない。

最終的に駆除できても、自分や家族が刺されてしまったら意味がない。

駆除に参加する。

でも、自分の安全も取る。

攻撃だけではなく、防御も意識する。

結果的には、それでよかったのだと思う。

そして言われた。「へっぴり腰」

そんな僕の動きを見ていた家族から、

「へっぴり腰」

みたいなことを言われた。

最初は、

「あー、またそういうこと言われたわ」

と思った。

ただ、僕にはこういう時にたまに出る反応がある。

傷つきそうになった言葉を、そのまま自分で巨大化してしまうのだ。

「はいはい! へっぴり腰ですよね!!」

みたいな感じで。

しかも、安全になってからは完全に緊張の反動もあって、自分で爆笑しながらギャーギャー騒いでいた。

さっきまで蜂の動きを見ながらジリジリ後ろへ下がっていた人間が、安全になった瞬間だけ突然元気になる。

自分で考えてもなかなかひどい絵である。

でも、これは自分自身を全部否定しているわけではない。

「へっぴり腰」と言われたなら、その「へっぴり腰」という言葉だけをネタにする。

そこから、

「自分は何をやってもダメだ」

みたいなところまでは広げない。

あくまで、その場で飛んできた一言を拾って、巨大化させて、笑って終わらせる。

家族だからできるやり取りでもある。

もし職場で本当に嫌なことをされたなら、おそらく僕はこんな処理はしない。

「普通に嫌です」

「なんでそういうことするんですか?」

と伝えると思う。

今回は家族の中の出来事だから、「へっぴり腰」を自分からコントにしてしまった。

でも、実際に一番危なかったのは誰だったのか

後から冷静になって考えてみると、今回の家族3人はかなり違う戦い方をしていた。

父は完全に攻撃型だった。

巣のかなり近くで網を押し当て、

「先制攻撃しないと刺される」

という思想で、とにかく蜂を封じ込めようとしていた。

祖母も途中から殺虫剤を持って攻撃へ加わった。

そして僕は、

攻撃には参加するけれど、状況が崩れたら一度下がる。

というタイプだった。

ゲーム風に言えば、

父は火力重視。

祖母は火力支援。

僕は回避と生存を見ながら攻撃。

そんな感じだったと思う。

「へっぴり腰」と言われるくらいでちょうどよかったのかもしれない。

相手はスズメバチなのだから。

駆除が終わっても、頭の中の戦闘が終わらない

最終的には、駆除は成功したようだった。

そして何より、

誰も刺されなかった。

これは本当によかった。

ところが、全部終わった後も、すぐにはいつもの生活へ戻れなかった。

頭が燃えさかっているような感じがした。

もちろん、本当に頭が熱で燃えていたという意味ではない。

とにかく興奮している。

頭が冴え切っている。

まだ周囲に蜂がいないか気になる。

さっきの場面が頭の中で再生される。

そんな状態だった。

「じゃあ風呂入るか」

とは、とてもならなかった。

結局、30分くらい頭を冷やす時間が必要だった。

夕方までの僕は、

「Codexにアセット生成の続きを指示して、風呂入ろう」

だった。

それが突然スズメバチ戦に突入し、戦闘終了後はしばらく何もできない。

予定というものは本当に突然壊れる。

これ、ロマサガ2リメイクのボス戦じゃないか

そして落ち着いてきた頃、妙なことを思った。

これ、最近ずっと見ている『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』で考えると、かなり分かりやすいのではないか。

難易度オリジナルのボス戦。

敵は強い。

攻撃もしたい。

でも、無茶をしてキャラクターが倒れれば、

LP-1

が出る。

だから、できるだけLPを減らさずに勝ちたい。

今回、自分が現実でやっていたこともかなり似ていた。

攻撃できる場面では攻撃する。

危険な挙動が出たら下がる。

安全を確認する。

また攻撃できそうなら攻撃する。

つまり、

「いかにLP-1を出さずにボスを倒すか」

を現実でやっていたのである。

蜂に刺されたら、まさに現実の「LP-1」

もちろん現実の蜂刺されはゲームではない。

実際には刺された時の影響も人によって違うし、場合によっては深刻なことになる。

だから本物の危険をLPというゲーム用語だけで軽く扱うつもりはない。

ただ、あの瞬間の自分の判断を説明する比喩としては、驚くほどしっくりくる。

「もうちょっと近づけば、もっと殺虫剤を当てられる」

と思ったとしても、その少しの火力のために被弾率を上げる必要があるのか。

ゲームなら、

DPSを取るか、LPを守るか。

現実なら、

駆除効率を取るか、刺されないことを優先するか。

今回の僕は後者を選んだ。

駆除にも参加する。

でも、危ないと思ったら下がる。

それでいい。

全員LP-0で戦闘終了

今回の結果をロマサガ風にまとめると、

父:LP減少なし。

祖母:LP減少なし。

僕:LP減少なし。

スズメバチの巣:駆除成功。

だった。

つまり、

全員LP-0でボス戦突破。

こう考えると、「へっぴり腰」と言われたのもどうでもよくなってくる。

むしろ、へっぴり腰だったからLPが減らなかったのなら、それでいい。

現実にはセーブもロードもない。

格好よく戦う必要もない。

危ないと思ったら下がる。

安全なら参加する。

攻撃と防御を切り替える。

そして全部終わったら、

「へっぴり腰って言われたわ!」

と大げさに叫んで、自分で爆笑すればいい。

少なくとも今日、我が家には赤字の

「LP-1」

は表示されなかった。

それだけで十分な勝利だったと思う。

そして、最初に指示しておいたCodexはというと……

30分ほどしてようやく頭も冷えてきた。

そういえば僕は帰宅した直後、

「Codexにアセット生成の続きを指示して、その間に風呂に入ろう」

と思っていたのだった。

スズメバチ騒動ですっかり忘れていた。

現実世界では突然ボス戦が始まり、家族3人で何とかLPを減らさずに突破した。

なら、その間にCodexは着々とアセットを生成してくれているはずだ。

そう思って画面を確認した。

スロット16。

修正。

採用。

スロット17。

修正。

採用。

そしてスロット18――。

ネットワークエラーで止まっていた。

……お前も止まってたんかい。

僕が庭でスズメバチ相手に、

「ここは危ない、いったん下がろう」

「今ならいける、キンチョール噴射!」

なんて現実のボス戦をやっている間、

Codexもまた、スロット18で静かに戦闘不能ならぬ通信不能になっていたのである。

結局その日の夕方、

現実のスズメバチ戦はLP-1なしで突破。

Codexのアセット生成はスロット18で停止。

そして僕は、予定よりだいぶ遅れてようやくお風呂へ向かった。

家に帰ってきた時には、

「Codexを動かして、その間に風呂に入ろう」

ただそれだけのつもりだった。

まさかその間に、現実世界のボス戦まで挟まるとは思わなかった。

予定通りにいかなかった一日だったけれど、

とりあえず一番重要なところだけは達成できた。

本日のLP減少――0。


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