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精霊の物語 |いかりのぬくもり

いぶきの胸の中は、

まだ、ざわざわしていました。

おさまらない。

どうしても、

おさまらない。

「……いやだ」

ぽつり、と。

その気持ちは、

消えません。

さっきよりも、

少しだけ強く、

胸の奥に広がっていました。

コスミアは、

困ったように

いぶきを見つめます。

どうしたらいいのか、

すぐには言葉が見つかりません。

だから——

ただ、そっと。

いぶきの手を、

にぎりました。

やさしいぬくもり。

でも、それでも。

いぶきの中の感情は、

まだ揺れたままでした。

そのとき——

ふわり、と。

やわらかな光が、

ふたりを包みこみます。

それは、

まぶしすぎない、

あたたかな光。

そして——

大きな、

やさしい気配が、

そっと寄り添いました。

「はじめまして」

やわらかな声。

「わたしは、ソレイア」

その声は、

まるで心に、

そっと触れるようでした。

「その気持ちも、

 きみの大切な感情だよ」

いぶきは、

はっとしました。

「怒っても、いいんだよ」

ソレイアは、

やさしく微笑みます。

「でもね——」

「ひとりで抱えなくていい」

いぶきの目に、

すこしだけ、

光が戻りました。

「いぶき」

「きみは、

ひとりじゃないよ」

その言葉は、

あたたかく、

静かに、

胸の奥へと広がっていきます。

「もう、

ひとりで怒らなくてもいい」

「……がんばったね」

その瞬間——

いぶきの中で、

固く結ばれていた感情が、

すこしだけ、

ほどけました。

まだ、

全部じゃない。

でも——

たしかに、

変わりはじめていました。

いぶきは、

ぬくもりの中で、

少しだけ、

深く息をしました。

そして、

あたたかさを、

思い出しはじめたのです。

🌙 精霊の物語は、つづきます。



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