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【生成AIを仕事で使う前に、現場を知らなければならない理由】AIの性能が上がるほど、「何が抜けているか」を見抜く人間の経験が重要になる

生成AIを仕事で使う前に、現場を知らなければならない理由

AIの性能が上がるほど、「何が抜けているか」を見抜く人間の経験が重要になる

こんにちは、ぜっとです。

生成AIを仕事で使いこなすためには、何が必要でしょうか。

良いプロンプトを書くこと。

役割や条件を細かく指定すること。

新しい機能を覚えること。

自分の仕事に合うAIを選ぶこと。

もちろん、どれも役に立ちます。

しかし私は、生成AIを実際の仕事で使い続けるなかで、それ以前に必要なものがあると感じるようになりました。

それは、

自分が扱おうとしている仕事の現場を知っていること

です。

生成AIは、文章を整えられます。

情報を分類できます。

問題の原因を推測できます。

改善策も、かなり速く出してくれます。

けれど、その答えが本当に現場で使えるのか。

前提が抜けていないか。

実行すると、別の場所に負担が出ないか。

AIが結びつけた原因と結果は、本当に事実なのか。

ここを判断するには、プロンプトの技術だけでは足りません。

現場を観測してきた経験が必要になります。




AIは、渡された情報からしか現場を見られない

例えば、ある店舗で次のような出来事があったとします。

売上が前年より下がった。

廃棄率は先月より下がった。

夕方になると、売場の商品が少なかった。

担当者は、廃棄を出さないために製造数を減らしたと話していた。

お客様から、

「夕方は、もう商品がないのですか」

と聞かれた。

この情報を生成AIへ渡して、

「問題の原因を分析してください」

と依頼したとします。

すると、AIはこのような説明を作るかもしれません。

廃棄を削減するために製造数を抑えた結果、夕方に欠品が発生し、販売機会を失ったことが売上低下の原因と考えられます。

筋は通っています。

読みやすく、問題の構造も分かったように見えます。

ですが、現場を知っている人は、ここで少し立ち止まります。

本当に、製造数を減らしたことが売上低下の原因なのでしょうか。

夕方の客数自体が減っていた可能性はないでしょうか。

欠品したのは、売上への影響が大きい主力商品だったのでしょうか。

一部の商品だけが欠品していたのではないでしょうか。

追加製造ができなかったのは、製造計画ではなく、人員不足が原因かもしれません。

製造数を増やせば、閉店時の廃棄が再び増える可能性もあります。

AIの説明は、間違っているとは限りません。

しかし、まだ答えではありません。

考えられる因果関係の一つです。




もっともらしい答えほど、疑うのが難しい

生成AIの怖さは、明らかにおかしな回答を出すことだけではありません。

むしろ、

かなり自然で、筋の通った説明を作れること

にあります。

文章がきれいに整っている。

原因と結果が矢印でつながっている。

改善策まで書かれている。

そのため、読んだ側は、

「なるほど、そういうことか」

と納得しやすくなります。

しかし、自然に読めることと、現実に合っていることは別です。

先ほどの店舗事例で確認できているのは、

売上が下がったこと。

廃棄率が下がったこと。

製造数を減らしたこと。

夕方に商品が少なかったこと。

お客様から声があったこと。

ここまでです。

その情報をつないで、

「製造数を減らしたため、販売機会を失い、売上が落ちた」

と説明した部分は、まだ仮説です。

AIが作った矢印は、真実ではありません。

次に確認すべき関係の候補です。

この違いを見抜けるかどうかが、仕事でAIを使うときの分かれ道になります。




現場を知らないと、「書かれていない情報」に気づけない

AIは、渡された情報を整理します。

ですが、文章に書かれていない事情までは、自動的には分かりません。

売場が混み始める時間。

商品の製造に必要な時間。

追加製造してから陳列するまでの工程。

担当者の技量。

厨房設備の処理能力。

商品の消費期限。

閉店までの残り時間。

スタッフ同士の連携。

天候や地域行事。

競合店の特売。

その日に来店したお客様の層。

こうした情報は、現場にいる人にとっては当たり前すぎて、文章に書かれないことがあります。

ところが、AIにとっては、

入力されていない現場は、存在しないのとほぼ同じ

です。

AIは現場を知らないのではありません。

渡されていない現場を知らないのです。

だから、人間が現場を観測し、必要な情報を切り出して渡す必要があります。



現場経験とは、「答えを知っていること」ではない

現場経験という言葉を使うと、

「長く働いたベテランだけがAIを使えるのか」

と思われるかもしれません。

そういう意味ではありません。

長く働いていても、思い込みだけで判断することはあります。

反対に、経験が浅くても、丁寧に現場を見ている人はいます。

ここでいう現場を知るとは、

すべての答えを持っていることではありません。

何を見るべきかを知っていること。

何を確認しなければならないかを知っていること。

誰に聞けば事情が分かるかを知っていること。

どこで作業が詰まりやすいかを知っていること。

一つを改善すると、別の場所にどんな影響が出るかを想像できること。

そして、

まだ分からないことを、分からないまま残せること

です。

現場経験の価値は、正解を即答できることだけではありません。

AIの回答を見たときに、

「何かが抜けている」

と気づけることにあります。




AIが作った改善策は、現場の制約を知らない

例えばAIに、

「夕方の欠品を防ぐ方法を考えてください」

と依頼すると、次のような案が出るかもしれません。

製造数を増やす。

時間帯別の販売データを分析する。

夕方限定商品を作る。

スタッフを増員する。

製造計画を最適化する。

予約販売を導入する。

どれも、それらしい提案です。

しかし、実際の現場では、

製造設備が空いていない。

夕方に作業できる人がいない。

材料の解凍に時間がかかる。

追加製造すると閉店時に廃棄が出る。

販売データを細かく記録する仕組みがない。

スタッフを増やすだけの利益がない。

ということがあります。

提案そのものが悪いのではありません。

現場の制約を通していないのです。

AIが示すのは、候補です。

採用できる案。

条件を変えれば使える案。

今は実行できない案。

むしろ別の問題を増やす案。

それらを分けるのは、人間の仕事です。




良いプロンプトより先に、良い観測材料が必要になる

生成AIの活用法では、プロンプトの書き方が注目されます。

もちろん、指示の出し方は大切です。

ですが、どれほど上手なプロンプトを書いても、材料が曖昧なら、回答も一般論になります。

例えば、

「売上が悪いので改善策を考えてください」

という入力だけでは、AIは一般的な案しか出せません。

しかし、

どの部門の売上が下がったのか。

客数と客単価のどちらが変わったのか。

どの曜日、どの時間帯に変化したのか。

どの商品が欠品したのか。

製造計画と実績にどれだけ差があったのか。

人員配置はどうだったのか。

お客様からどんな声があったのか。

自分は何を原因だと感じているのか。

何がまだ確認できていないのか。

ここまで渡せば、AIはかなり強い補助者になります。

AIの性能差より先に、

人間が現場から、どの情報を持ち帰れるか

が問われます。




現場の感情も、消してはいけない

現場を整理するとき、数字や事実だけを残そうとすることがあります。

しかし、人間の感情も重要な情報です。

例えば管理者が、

「スタッフが消極的になっている」

と感じていたとします。

これは、確認済みの事実とは限りません。

管理者の解釈かもしれません。

売上が落ちた焦りから、スタッフを否定的に見ている可能性もあります。

だから、この感情や解釈を、そのまま事実として扱ってはいけません。

一方で、完全に削除してしまうのも違います。

管理者がどこへ注意を向けているのか。

誰を原因だと考えているのか。

どこに苛立ちや不安があるのか。

それ自体が、組織の状態を知るための情報だからです。

大切なのは、感情をなくすことではありません。

事実、感情、解釈、仮説を混ぜないことです。




AIを使うほど、人間の観測力が必要になる

生成AIは、情報を分けられます。

関係する項目をまとめられます。

原因候補を出せます。

改善案も作れます。

しかし、

何を重要とするのか。

どの情報を疑うのか。

何を事実として採用するのか。

どの仮説を現場で確かめるのか。

最後にどの行動を選ぶのか。

ここは、人間が決めなければなりません。

AIに全部を任せるのでもない。

人間が全部を抱えるのでもない。

役割を分けるのです。

AIが情報を分ける。

AIが関係候補を示す。

人間が意味を選ぶ。

現実が答え合わせをする。

この往復によって、生成AIは単なる文章作成ツールから、仕事の判断を助ける道具へ変わっていきます。




AI時代には、現場経験の価値がむしろ上がる

AIが進化すると、経験の価値がなくなる。

そう言われることがあります。

私は、逆の面もあると考えています。

一般的な文章。

平均的な企画案。

きれいな要約。

無難な改善策。

こうしたものは、AIで作りやすくなりました。

だからこそ、その先にある、

現場では本当に実行できるのか。

お客様は実際にどう反応するのか。

数字の裏で何が起きているのか。

誰がどこで困るのか。

何を変えると別の問題が起きるのか。

という判断の価値が上がります。

AI時代に強いのは、

経験だけを持つ人でも、

AIだけを使える人でもありません。

現場の経験を、AIへ渡せる情報へ変換できる人

です。

そして、AIの答えを現場へ戻し、検証し、修正できる人です。

AIが普及するほど、現場の知識、失敗の記録、改善の履歴、その人にしか見えない違和感が重要になります。一般的な成果物が作りやすくなる一方、実務で検証された経験や判断には価値が残るという考え方です。




では、現場の情報をどうAIへ渡せばよいのか

ここで、次の問題が出てきます。

現場には、情報が多すぎます。

数字。

出来事。

お客様の声。

スタッフの発言。

管理者の感情。

過去との違い。

まだ確認できていないこと。

それらを全部AIへ渡して、

「整理してください」

と頼んでも、話題ごとに分類しただけの回答や、きれいな要約で終わることがあります。

しかし、仕事で必要なのは、文章を短くすることだけではありません。

何が事実なのか。

何が自分の解釈なのか。

何がまだ仮説なのか。

どの情報同士が関係しているのか。

次に何を確認するのか。

どの数字を見れば、仮説を検証できるのか。

ここまで戻れる構造が必要です。

私は、このように、

複数の情報を、判断に使える一つのまとまりへ変えた思考単位

を「認知チャンク」と呼んでいます。




要約から、判断できる構造へ

要約は、長い文章を短くするために役立ちます。

しかし、

要約したから、仕事の問題が整理された。

短くなったから、原因が分かった。

とは限りません。

必要なのは、

事実と解釈を分ける。

仮説と確認済み情報を分ける。

複数の情報を意味ある関係でまとめる。

短い名前から、具体的な数字や行動へ戻れるようにする。

そして、AIが作った関係を現実で検証する。

という処理です。

生成AIを外部脳として使うには、ただ情報を保存したり、要約したりするだけでは足りません。

人間が判断に使える構造へ変える必要があります。

その方法を、次の記事で詳しく整理しました。




続きはこちら

『生成AIを外部脳にする―認知チャンク実践法―』第2章

要約しても、頭が整理されるとは限らない

AI時代に必要な「認知チャンク」という考え方

シリーズをお得に読むならマガジンがオススメ


第2章では、実際の店舗事例を使いながら、

要約と認知チャンク化は何が違うのか。

なぜ短くまとめても、次の行動が見えないのか。

事実・感情・解釈・仮説をどう分けるのか。

大きすぎる分類と、細かすぎる情報をどう調整するのか。

AIが作った、もっともらしい因果関係をどう疑うのか。

認知チャンクから、数字・質問・判断・行動へどう戻るのか。

を整理しています。

AIに答えを作ってもらうためではありません。

AIと一緒に、現実をもう一度見に行くための記事です。



生成AIを外部脳にするー認知チャンク実践法

AI時代のライフプランニング大全集

AI時代の中小店舗販促大全 現場で使う実践マニュアル





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AIに考えてもらう人から、AIとともに自分の思考構造を育てる人へ。 自分にしか見えなかった一次情報を、判断、構文、公式、仕組みへ変え、他者も使える共有知として残す。 そのための思想と実践を、更新しながら積み上げていく成長型マガジンです。全十五章で完結予定

生成AIに相談しているのに、なぜか頭の中は整理されない。 長い回答を読んで納得したはずなのに、何から始めればよいか分からない。 気づけば…

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