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「独自の認知チャンク」とは何かAI時代のレポートに、概念を生み出す力をどう評価するか


「独自の認知チャンク」とは何か

AI時代のレポートに、概念を生み出す力をどう評価するか

こんにちは、ぜっとです。

前回の記事では、「自分の言葉」とは、単に語尾を変えたり、既存文章を言い換えたりすることではない、という話を書きました。

レポートの中に「書いた本人」が残る場所は、文章表現だけではありません。何を問いとして選んだのか。何と何を比較したのか。どの違いを重要だと考えたのか。どんな基準で結論を選んだのか。そうした判断の積み重ねにも、その人自身が現れます。

今回は、その先を考えてみます。

複数の資料を読み、比較し、自分なりに考えた結果、

「この問題は、こう整理すると分かりやすいのではないか」

という新しい考え方のまとまりが生まれることがあります。

私は、こうした再利用可能な認識のまとまりを、今回の記事では、

「独自の認知チャンク」

と呼んで考えてみます。

なお、「独自の認知チャンク」は、既に確立された大学教育の正式な評価用語として紹介しているわけではありません。複数の知識を統合して新しい比較軸や概念を作る力を考えるために、ここでは実践的な言葉として使っています。




情報を集めることと、知識を作ることは少し違う

レポートを書くために、十本の文献を読みました。

内容を正確にまとめました。

引用も付けました。

参考文献一覧も整えました。

もちろん、これは重要な作業です。

ただ、それだけなら、既に存在していた知識を回収して並べた段階とも言えます。

ここから一歩進むと、

「文献Aと文献Bは、同じ問題を扱っているようで、評価しているものが違う」

「この三つの研究は別の分野に見えるが、共通している構造がある」

「今まで一つの問題として語られていたけれど、二つに分けた方が理解しやすい」

といったことが見えてきます。

このとき学生は、情報を受け取るだけではなく、情報と情報の間に新しい関係を作り始めています。

私は、この変化が重要だと思っています。

AIは大量の情報を集め、要約し、分類することができます。

だからこそ、人間側には、

「集めた情報から、何を新しく見えるようにしたのか」

という問いが、これまで以上に重要になるのではないでしょうか。




認知チャンクとは「考えるときに再利用できるまとまり」

ここでいう「チャンク」は、情報を一つのまとまりとして扱うイメージです。

例えば、「りんご」「みかん」「バナナ」を毎回三つの独立した物として考えるより、「果物」というまとまりを持っていた方が、頭の中では扱いやすくなります。

研究や仕事でも似たことがあります。

例えば、

「AIを使ったか、使っていないか」

という二択でしか考えていなかった問題を、

「問いを立てる」
「情報を集める」
「比較する」
「判断する」
「文章化する」

という工程に分けたとします。

すると、

「AIを使ったかどうか」

ではなく、

「どの工程までAIへ渡したのか」

という別の見方ができます。

さらに、

「判断主体が人間側に残っているか」

という基準も作れるかもしれません。

この考え方は、大学レポートだけでなく、企画書、採用試験、経営判断などにも使えます。

一つの問題だけで終わらず、別の場面でも使える。

そこまで整理されたものを、私は「認知チャンク」と捉えています。




ただ新しい言葉を作ればよいわけではない

ここはかなり重要です。

「独自の認知チャンクを作ろう」と言うと、変わった名前や新しい造語を作ればよいように聞こえるかもしれません。

しかし、それでは意味がありません。

例えば、

「AI時代型超統合思考モデル」

という格好のよい名前を付けたとしても、何を説明する概念なのか分からなければ、研究上の価値はほとんどありません。

反対に、名前を付けていなくても、

「AI利用を有無ではなく、思考工程ごとの判断主体で評価する」

という整理があり、その考え方によって複数の事例を説明できるなら、かなり強い概念になります。

つまり、重要なのは名前ではありません。

その考え方によって、

「今まで見えなかった何が見えるようになったのか」

です。




独自性は「世界初」でなくてもよい

学生が「オリジナリティを出してください」と言われると、かなり困ると思います。

世界中の誰も考えたことのない理論を作らなければならないように感じるからです。

しかし、通常の学生レポートで、そこまで求める必要はありません。

私は独自性を、少なくとも三つの段階に分けて考えるとよいと思っています。

第一段階は、自分自身の中で新しいことです。調べる前には区別できなかったものを、調査後には区別できるようになった。これは十分な学習です。

第二段階は、その課題の中で独自の整理があることです。授業で与えられた資料をそのまま並べるのではなく、自分で比較軸を作り、新しい分類や関係を示した。ここには学生自身の知的な仕事があります。

第三段階になると、既存研究に対して新しい概念やモデルを提示する、研究上の独自性になります。卒業論文や大学院研究では、この段階がより重要になってきます。

したがって、すべての学生に世界初の発見を求める必要はありません。

大切なのは、その人の学習段階に応じて、

「既存知識をそのまま再生するところから、どこまで自分で再構成できたか」

を見ることだと思います。


ここまでは、「独自の認知チャンクとは何か」という考え方を整理してきました。

ここから先では、もう一段実践へ進みます。

実際に、どのような場所から独自の認知チャンクが生まれやすいのか。
既存知識の単なる言い換えと、自分で作った概念をどう区別するのか。
AIをどのように使えば、自分の考えを代替させずに概念生成を支援できるのか。
具体例と確認方法まで分解していきます。

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独自の認知チャンクが生まれやすい六つの場所

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