【AI時代の企業境界と差別化】AIを使うほど「自社らしさ」が問われる時代へ|新しいnote連載の構想がまとまりました
【AI時代の企業境界と差別化】
AIを使うほど「自社らしさ」が問われる時代へ
新しいnote連載の構想がまとまりました
こんにちは、ぜっとです。
ここしばらく、生成AIと会社の関係について考えていました。
最初に考えていたことは、もっと単純でした。
生成AIやCanvaのようなツールが進化すると、これまで外注していた仕事を社内でできるようになる。
文章も作れる。
画像も作れる。
資料も作れる。
デザインも、以前よりずっと身近になる。
だったら、これから会社は、
「何を外注し、何を社内に残すのか」
を考え直さなければならないのではないか。
そんなところから始まりました。
ところが、考えているうちに、この話は単純な「AIによる内製化」では終わらなくなりました。

AIを使って社員が作れば、それは本当に「内製」なのか
例えば、社員が生成AIを使ってチラシを作ったとします。
制作会社には頼んでいません。
企画も社内。
AIへの指示も社内。
最終判断も社内。
一見すると、完全に内製したように見えます。
でも、その仕事を成立させているAIそのものは、自社で作ったものではありません。
AIモデル。
巨大な計算設備。
サーバー。
保守。
アップデート。
セキュリティ。
サービスそのものの継続。
その多くを、外部企業に依存しています。
もしサービスが止まれば。
料金体系が変われば。
仕様が変われば。
昨日までできていたことが、明日も同じようにできるとは限りません。
そう考えると、
「社員が作業している」ことと、「会社がその能力を持っている」ことは、同じではない。
ということに気づきます。
ここから、私の中で話が変わっていきました。
生成AIは「新しい外注先」なのではないか
もちろん、法律上の業務委託という意味で、そのまま生成AIを外注と呼ぶわけではありません。
私が考えたいのは、経営上の構造です。
クラウド型生成AIを使うということは、
自社で持っていない知的処理能力を、外部サービスから借りている
とも考えられます。
そう考えると、別の問題が出てきます。
AIへ仕事を渡すとき、
その仕事に必要な情報まで、どこまで外へ渡してよいのか。
顧客情報。
原価。
人事情報。
契約条件。
販売データ。
社内のノウハウ。
未発表の商品。
経営上の判断材料。
作業そのものは簡単でも、触れている情報の価値が高い仕事があります。
そこで私は、
「作業を外へ出してよいか」と、「情報を外へ出してよいか」は別問題なのではないか
と考えるようになりました。
この辺りから、AI活用の話というより、
「会社の境界線とは何なのか」
という話になってきます。
そして、もう一つ気になったことがあります
生成AIが今よりもっと一般化したら、どうなるのでしょう。
文章を書く。
画像を作る。
デザインを作る。
企画案を考える。
ある程度の品質までなら、多くの人が簡単に到達できるようになると思います。
これは、とても便利です。
一方で、別の現象も起こるはずです。
同じようなAI。
同じような学習データ。
同じような指示。
同じような「良い文章」「良いデザイン」の基準。
それを多くの人が使えば、
出来上がるものも、少しずつ似てくるのではないか。
実際に私自身、生成AIを長く使っていると感じることがあります。
きれいなのだけれど、どこかで見たことがある。
正しいのだけれど、誰が言っても成立する。
読みやすいのだけれど、その人である必要がない。
AIは平均点をものすごい勢いで引き上げます。
だからこそ、その先では、
平均点ではないものを作れる人の価値が上がる。
そんな逆転が起こるのではないかと思うようになりました。
手で作れる人の価値が、逆に上がるかもしれない
例えば、デザインです。
AIを使えば、かなり高度な画像を短時間で作れるようになりました。
もしそれが当たり前になり、自分で線を描く人、自分で構図を考える人、自分でゼロから形を作る人が少なくなれば、
今度は、
AIがなくても作れる人
そのものに希少性が生まれるかもしれません。
大量生産が一般化したあとに、手仕事や工芸品へ別の価値が生まれたことと、少し似ています。
ただ、私はもう一つのタイプも強くなると思っています。
AIを使う。
でも、他の人とは似ない。
同じAIを使っているはずなのに、その人が作るものだけ何かが違う。
会社で言えば、
同じChatGPTを使っている。
同じ画像生成AIを使っている。
同じCanvaを使っている。
それでも、
「あの会社らしい」
と分かる。
これから重要になるのは、こちらの能力ではないか。
そんなことを考え始めました。
私はこれを「AI差別化能力」と呼んでみたい
現段階では、私なりの実務的な概念整理です。
AI差別化能力。
簡単に言えば、
AIを使っても「みんなと同じ」にしない能力。
もう少し正確に言えば、
生成AIを利用しながら、
AIが生み出しやすい平均的・共通的な表現や思考に埋没せず、
自分や組織が持つ固有の経験・情報・判断基準・感性・目的を、
区別可能な成果へ変換する能力。
というものです。
ここで大切なのは、
「AIを上手に操作すること」
とは少し違うという点です。
優れたプロンプトを書ける。
AIの機能をたくさん知っている。
大量の画像を短時間で作れる。
もちろん、それも大切です。
でも、それだけでは競争相手も同じことができます。
むしろAIが一般化するほど、
AIそのものは差別化要因ではなくなっていく。
そうなったとき、最後に残るのは、
その人が何を見てきたのか。
会社が何を経験してきたのか。
どんな失敗をしてきたのか。
何を大切にしているのか。
顧客をどう理解しているのか。
どんな判断基準を持っているのか。
という、
AIの外側にある差分
なのだと思います。
AIを使うほど、「自社らしさ」を持っている会社が強くなる
これは企業に置き換えると、かなり大きな問題です。
生成AIを導入すれば、生産性は上げられます。
文章制作も速くなる。
デザイン制作も速くなる。
資料作成も速くなる。
分析も速くなる。
でも競合企業も同じAIを使います。
すると、
「AIを使ったから強い」
という期間は、それほど長くないかもしれません。
その先では、
AIへ何を接続できる会社なのか
が問われる。
顧客との長い関係。
現場でしか分からないこと。
商品を見る目。
社員の暗黙知。
失敗した経験。
何年も蓄積してきたデータ。
会社独自の判断基準。
ブランドとして譲れないこと。
こうしたものを持っている会社は、AIを使うことで、その違いをより速く外へ展開できます。
逆に、それが曖昧な会社は、
AIを使えば使うほど、
他社と似てしまう可能性があります。
ここは、かなり面白いところだと思っています。
今回、このテーマを一つの連載として整理することにしました
最初は、
「会社に残す仕事と、外注する仕事」
という一本の記事を考えていました。
でも、問いを重ねていくうちに、それだけでは収まらなくなりました。
そこで今後、「AI時代の企業境界と差別化」という一つのテーマとして、何本かに分けて書いていこうと思います。
予定しているのは、こんな内容です。

生成AIは「新しい外注先」である
会社の情報をAIに預ける前に考えたい境界線。AIを使えば、本当に内製化なのか
作業は社内でも、能力基盤を外部へ依存しているという問題。AIが普及するほど、人間の技能は希少になる
「誰でも作れる時代」に起こる価値の逆転。AIを使っても「AIっぽくならない人」は何が違うのか
私が考える「AI差別化能力」の定義。AI差別化能力は、プロンプト力と何が違うのか
AIを使えることと、AIで差を作れることを分けて考える。会社はAI差別化能力をどう育てるのか
AI研修を操作方法だけで終わらせず、自社固有の能力へ変えていく方法。
最後には、
個人や会社が持っている独自性をどう発見し、
どうAIへ接続し、
どう他社と似ない形へ編集し、
どう会社の資産として残していくか。
そこまで考えてみたいと思っています。
この連載で考えたいのは、「AIを使うべきか」ではありません
私は生成AIを毎日のように使っています。
便利だと思っていますし、これからさらに仕事の中へ入ってくると思っています。
だから、
「AIは使わない方がいい」
という話をしたいわけではありません。
むしろ逆です。
AIが当たり前になるからこそ、
何をAIへ任せるのか。
何を会社に残すのか。
何を外部へ出してよいのか。
AIを使っても失ってはいけないものは何なのか。
そこを考えたい。
そして最後には、
「AIを上手に使える会社」
から、もう一歩進んで、
AIを使うほど、その会社らしさが強くなる会社
とはどんな会社なのか。
そこまで考えてみたいと思っています。
AIがまだ珍しかった頃は、
「AIを使っている」
こと自体が差になりました。
でも、その時代は少しずつ終わっていくのでしょう。
みんながAIを使う。
みんなが一定水準のものを作れる。
そのとき、
何を持っている人が強いのか。
何を持っている会社が強いのか。
私は、その答えの一つが、
「他人とは違うものを持ち、それをAIによって消さず、むしろ増幅できること」
ではないかと思っています。
まだ考え始めたばかりの部分もあります。
書きながら、また新しい問いが出てくるかもしれません。
それも含めて、
AI時代の企業境界と差別化。
ここから何回かにわたって、少しずつ考えていきます。
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