Judas Priestの究極の1枚として『Killing Machine』を選ぶ——ギターの歪みが完成した瞬間
アルバム名: Killing Machine
アーティスト: Judas Priest(ジューダス・プリースト)
収録曲: Delivering the Goods / Rock Forever / Evening Star / Hell Bent for Leather / Take on the World / Burnin' Up / Killing Machine / Running Wild / Before the Dawn / Evil Fantasies
リリース年: 1978年10月9日、CBS Recordsからリリース(一部資料ではNovemberと表記)。Stained Class(同年2月リリース)に続く、1978年内の2枚目のスタジオアルバムです。
主要メンバー: Rob Halford・ロブ・ハルフォード(ヴォーカル)/ Glenn Tipton・グレン・ティプトン(ギター)/ K.K. Downing・K.K.ダウニング(ギター)/ Ian Hill・イアン・ヒル(ベース)/ Les Binks・レス・ビンクス(ドラムス)
プロデューサー: James Guthrie・ジェームス・ガスリー(バンドとの共同プロデュース)

Judas Priestのディスコグラフィーを通して聴くと、初期の作品はギターのエッジが丸い。Sad Wings of Destiny(1976年)、Sin After Sin(1977年)、Stained Class(1978年)と進むにつれて硬質になっていくのがわかります。そして、Killing Machineで、音が決定的に変わりました。奥歯に響く深くてメタリックな歪みが、ここで初めて完成しました。この1枚だけを選ぶのは、そのためです。

Killing Machine
1978年10月、CBS Recordsからリリース。録音はロンドンのUtopia、Basing Street、CBSスタジオの3か所で行われています。プロデューサーはJames Guthrie、バンドとの共同プロデュースです。同年1月リリースのStained Classに続く5枚目のスタジオ作で、わずか同年中に2枚のアルバムを出したことになります。Stained Classもそこそこいいんですけどね。やっぱり、Killing Machineしかないかな。
オープニングの「Delivering the Goods」が始まった瞬間から、前作とは別のバンドが現れます。チェーンソーのようなリフ、2本のギターが絡み合う密度、Les Binksのドラムの切れ味、そしてあの歪みの質感。金属がぶつかり合うような硬さです。Rob Halfordの声もここで初めてその硬質なギターの音と対等に向き合っている気がします。「Rock Forever」「Evening Star」「Hell Bent for Leather」「Take on the World」と続く流れは、このアルバムを聴くたびに「ちょうどいい」としか言いようのない温度があります。
近年のメタルからすると音は信じられないくらいスカスカです。しいかし、ギターのディストーションの深さ、音数の詰まり具合、アルバム全体を支配する重量感等々、ジューダス・プリーストがデビュー以来一本気にやってきた路線の集大成のような気が勝手にしているわけです。
重く畳み込むリズムにのって、ロブ・ハルフォードは、従来の脳天つんざき型のシャウトに留まらず、重低音域も取り入れてみたりなどして、迫力を増して、いい感じに歌っていますし、K・Kとグレンのツイン・リードも裏ジャケの写真さながら、ハイテンション&ハイスピードでぐいぐいとキテます!
一方、次のアルバムBritish Steel(1980年)は店長には合いませんでした。カバーアートはカッコいいんですけどね。正直に言えば、あれはメタルに聴こえません。ソロが聴こえてこない。リフも淡白すぎる。なぜ、みんな、あれが好きだったのでしょうね?????Killing Machineで完成したあの歪みの質感が、すっかり削ぎ落とされてしまい、私的には「糞」、超駄作です。
Screaming for Vengeance(1982年)以降はソロのパワーが戻ってきて、それ自体は嬉しいのですが、今度は音が厚すぎるというか、帳の中のギターソロって感じですね。Killing MachineのKKの指先が見えるかのような「ちょうどよさ」に慣れた耳には、前も後もどこかはまりきれないのでした。
ついでに言っとくと、Killing MachineのUS盤「Hell Bent for Leather」とその後のCDに追加収録されたFleetwood Macのカヴァー「The Green Manalishi (With the Two-Pronged Crown)」は、ライブでは評判がいいようですが、店長には合いません。Fleetwood Macのブルースロックの文脈がJudas Priestのサウンドと馴染むわけがない。Killing MachineのB面に挿入された盤は特に聴く気になれません。したがって店長が聴くのはUK原盤又は初期の国内盤の10曲だけです。
US盤ではタイトルがHell Bent for Leatherに変更されています。「殺傷的な響き」を嫌ったColumbia/CBSの米国支社の判断ですが、Killing Machineの方が鋭く正確にこのアルバムの本質を指しています。
このアルバムのもう一つの渋い点は、バラード「Before the Dawn」です。抒情性で、このアルバムが単なる鉄塊ではないことを証明しています。
何年経ってもこのアルバムを取り出すのは、「これ以前」と「これ以後」の境界線がここに刻まれているからです。British SteelやScreaming for Vengeanceはこのアルバムなしには存在しない。その起点としての価値が、完成度という尺度を超えています。だからOneはKilling Machineです。
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