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Ronnie Montrose率いるGammaの奇跡の1枚——『Gamma 2』だけが振り切れていた

アルバム名: Gamma 2
アーティスト: Gamma(ガンマ)
収録曲: Mean Streak / Four Horsemen / Dirty City / Voyager / Something in the Air / Cat on a Leash / Skin and Bone / Mayday
リリース年: 1980年
主要メンバー: Ronnie Montrose・ロニー・モントローズ(ギター)/ Davey Pattison・デイヴィ・パティスン(ヴォーカル)/ Jim Alcivar・ジム・アルシヴァー(キーボード)/ Glenn Letsch・グレン・レッチ(ベース)/ Denny Carmassi・デニー・カルマッシ(ドラムス)
プロデューサー: Ronnie Montrose・ロニー・モントローズ / Gary Lyons・ゲイリー・ライオンズ

ロニー・モントローズはうまいギタリストです。ハードロックからフュージョン的なソロ作まで弾きこなせる器用さは確かにあります。ただその器用さが、長いあいだ店長には引っかかっていました。どこに向かいたいのかが見えにくい。モントローズ名義のアルバムも、悪くはないけれど吹っ切れていない感触がずっとありました。Gammaもそうで、1は曲想が散漫、3はキーボードが前に出すぎて全体が軽く平坦になってしまい、メロディーもいまひとつ。4に至っては聴こうという気にもなれませんでした。そういう文脈の中で、Gamma 2だけが奇跡的に振り切れてハードロックしています。なぜこの1枚だけ、こうなったのか。

Gamma 2

1980年、Elektra Recordsからリリース。録音はサンフランシスコのThe Automatt、ミックスはニューヨークのMediasoundで行われました。前作からベースのアラン・フィッツジェラルドとドラムのスキップ・ジレットが去り、グレン・レッチとデニー・カルマッシが加入しています。カルマッシはモントローズ・バンド時代の同僚であり、このリズムセクションの刷新がアルバム全体の重心を決定的に変えています。

「Mean Streak」の最初のリフを聴いた瞬間から空気が違います。前作とは音の粘りとウェイトが別物で、バンド全体に圧力がかかっています。捨て曲がない、どころか、捨て曲なんていう言葉を使うのがけしからんくらいの完成度です。

「Four Horsemen」のリズムの跳ね方、「Dirty City」でゲストヴォーカルのGenya Ravanと絡むデイヴィ・パティスンの声の質感、「Voyager」でキーボードとギターが作り出す空間——どの曲もアルバムの緊張を緩めません。パティスンはスコットランド出身で、叫ばず押しつけず、しかし確実に届く声を持っています。このアルバムでのシンセの入り具合も完璧で、1のように散漫でもなく、3のように重くのしかかることもなく、あくまでギターとリズムの補強として機能しています。

BサイドはThunderclap Newmanの「Something in the Air」(3分17秒)から始まります。1969年にJohn "Speedy" Keenが書いたこの曲は、原曲では時代の空気を纏った切迫感が主役でした。Gammaのカヴァーはそこに肉体的な質量を加えていて、デイヴィ・パティスンの声が原曲の持つ高揚感をそのまま別の次元に引き上げています。叫ばずに届く、あの声質がここで最も際立っています。

続く「Cat on a Leash」(4分3秒)は、このアルバムでもっともリズムが面白い曲です。デニー・カルマッシのドラムが独特のずれを持った重心で刻み、グレン・レッチのベースがそれにぴたりと張り付く。モントローズのギターはここでもソロを誇示するのではなく、リフとフィルで曲の骨格を作ることに徹しています。ファンク的な跳ね方とハードロックの圧力が同居している稀有な曲です。

「Skin and Bone」(4分48秒)はリズムの刻みに独特のスタッター感があって、曲全体がのしかかってくるような圧力を持っています。アルシヴァーのキーボードがここでは完全に縁の下に回っていて、ギターとリズム隊だけで空間を埋めきっています。

そしてクローザーの「Mayday」(5分37秒)。このアルバムで最も長い曲でありながら、一秒も弛緩しません。シンセが螺旋を描くように絡みながら、バンド全体がゆっくりと圧力を高めていく構造は、Gamma 2というアルバムの縮図です。

このBサイドの密度は、Iron MaidenのPiece of Mind(1983年)あたりと同じ棚に並べて語れるテンションです。昔のDeep Purpleなどとはそもそも比較する次元が違いますし、する必要もありません。

なぜ半世紀近くGamma 2をヘビロテし続けているのか。ロニー・モントローズの全キャリアの中で、この1枚だけが完全にハードロックに振り切れた瞬間だからです。

器用さが邪魔をしなかった唯一の記録と言ってもいいでしょう。だからこそ、One - The Essentialはこれ一択です。まずGamma 2を聴いてください。ロニー・モントローズへの入口はここからです。

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