美容の欲しいものリストを作ったら、合計金額を見たくなくなった
推しに会うまで、あと28日。
30日美容計画を始めたポムは、一つ成長した。
気になる商品を見つけても、すぐには買わない。
必要かどうか考えて、とりあえず保存する。
昨日もちゃんとできた。
「ライブが終わってから見よう」
我ながら大人である。
そして今日。
ポムは保存した商品を見返していた。
美顔器。
電子ブラシ。
スチーマー。
EMS。
ドライヤー。
ヘアアイロン。
まだある。
「……多くない?」
買ってはいない。
そこは偉い。
ただし、欲しくなくなったわけでもなかった。
一回、全部計算してみよう
ポムは思った。
買うかどうかは別として、全部買ったらいくらになるのだろう。
別に全部買うつもりはない。
本当にただの興味である。
計算するだけ。
電卓を開いた。
一個目。
入力。
二個目。
入力。
三個目。
入力。
まだ大丈夫。
四個目。
「……」
五個目。
「待って」
六個目。
ポムは電卓を閉じた。
見なかったことにした
何も起きていない。
計算もしていない。
ポムはスマホを伏せた。
しかし数字は見た。
しっかり見た。
美容家電は一個だけなら、
「長く使うならありかな」
と思える。
ドライヤーも毎日使う。
ヘアアイロンも使う。
美顔器だって使うならいい。
EMSも家で使える。
一個ずつ見ると、それぞれに購入理由がある。
問題は、購入理由のあるものを全部足すと普通に高いことだった。
「そりゃそうか」
ようやく気づいた。
でも、買えないわけではない
ここで話が終われば簡単だった。
高い。
じゃあやめよう。
終わり。
しかしポムの場合、少し違った。
推し活を始めてから、遠征もするようになった。
服も増えた。
グッズも買う。
美容にも使う。
それでも、何もかも諦めなければならないほどではない。
だから余計に困る。
買おうと思えば買えてしまう。
「これが一番危ないな」
買えないなら悩まない。
買える。
でも全部買う必要はない。
この間が難しい。
高い順に諦めればいい?
簡単な方法を思いついた。
高いものから外す。
これなら予算は下がる。
でも、すぐに問題が出た。
毎日使うドライヤーを外して、使用頻度の低い安いものをいくつも残したら、それでいいのだろうか。
逆に、高くても何年も使うものなら、そちらへお金をかけたほうが満足するかもしれない。
「値段だけじゃ決められないじゃん」
美容家電を調べすぎたせいで、単純に安いものを選ぶこともできなくなっていた。
知識が増えた結果、悩みも増えている。
だったら「何回使うか」で考える?
ドライヤーなら、ほぼ毎日。
ヘアアイロンもかなり使う。
美容家電は商品によって使用頻度が違う。
EMSも使い方による。
だったら、価格だけではなく、
どれくらい使うのか。
ライブ後も使うのか。
今持っているもので代用できないのか。
そこまで考えたほうがよさそうだった。
ポムは保存リストをもう一度開いた。
さっきより少し冷静に見える。
「これは毎日使う」
残す。
「これは今あるのでいいかも」
保留。
「これは欲しい」
残す。
「これは……お母さんも使える」
残す。
家族共有が出てきた。
急に判定が甘くなった。
家族共有という危険な言葉
ポムは実家暮らしである。
つまり、美容家電によっては家族も使える。
「お母さん、一緒に使わない?」
これが成立する。
さらに誕生日などが近ければ、
「これ欲しい」
という手もある。
自分だけで買う必要すらなくなる可能性がある。
「……予算の問題、解決できるのでは?」
していない。
購入者が変わっただけである。
でもポムの中では、かなり大きな発見だった。
結局、欲しいものは減らなかった
一時間後。
保存リストを整理した。
不要なもの。
今はいらないもの。
ライブ後でもいいもの。
毎日使うから優先したいもの。
家族でも使えそうなもの。
かなり分類できた。
「よし」
ポムは満足した。
そして保存件数を見る。
ほとんど減っていなかった。
分類しただけだった。
推しに会うまで、あと28日。
美容計画を始めたポムは、少しずつ賢くなっている。
ただし、欲しいものの数にはまだ成果が現れていない。
