ライブに行くだけなのに、荷物が一泊旅行みたいになった
推しに会うまで、あと26日。
美容予算を決めた。グッズ代も整理した。ライブ全体でいくら使うのかも計算した。
かなり進んでいる。
30日前には美容家電を検索して「なにこれ?」と言っていたポムが、今では予算まで管理している。推しに会うという目標があるだけで、人間はここまで成長できるらしい。
そこで次に、ライブ当日のことを考えることにした。
まだ26日もある。
でも今回は本気である。直前になって慌てる必要はない。
ポムは部屋から、ライブに持っていきそうなものを集め始めた。
そして十分後。
「……多くない?」
床の上に、かなりの量が集まっていた。
まず絶対にいるもの
スマホ。
財布。
チケット関係。
モバイルバッテリー。
ここまでは分かる。
ハンカチやティッシュも持っていく。必要なら身分証明書も確認する。
問題はここからだった。
双眼鏡。
ペンライト。
推しグッズ。
飲み物。
メイク直し用品。
ヘア用品。
予備のマスク。
折りたたみ傘は天気次第。
さらにライブによって必要なものが変わる。
一個ずつ見れば、どれもおかしくない。
しかし全部並べると、明らかに「ちょっとライブへ行ってきます」の量ではなかった。
バッグに入れてみる
とりあえず、いつも使っているバッグを持ってきた。
スマホ。
財布。
モバイルバッテリー。
ポーチ。
双眼鏡。
「あ」
すでにかなり埋まった。
まだペンライトがいる。
グッズもある。
飲み物も入れたい。
ポムはバッグの中を見た。
「無理では?」
まだ26日前なのに、ライブ当日の収納問題が発生した。
大きいバッグにすれば解決する
簡単である。
大きいバッグを使えばいい。
ポムは別のバッグを出した。
入る。
かなり入る。
「これでいいじゃん」
解決した。
と思った。
鏡の前で持ってみる。
「……でかいな」
ライブへ行く服と合わせると、急に存在感がすごい。
せっかく服も髪もメイクも考えているのに、最後に巨大な荷物が追加される。
もちろん荷物が必要なら仕方がない。
しかし、本当に全部必要なのだろうか。
メイク直し用品が増殖していた
ポーチを開けた。
ファンデーション。
リップ。
アイメイク用品。
鏡。
その他いろいろ。
「こんなに直す?」
ライブ会場でフルメイクを最初からやり直す予定はない。
だったら、全部持っていく必要はなさそうだった。
リップ。
最低限の直しに使うもの。
鏡。
まず減らしてみる。
かなり軽くなった。
「いける」
美容を本気でやり始めた結果、美容用品を全部持ち歩こうとしていたらしい。
家で使うものと、会場へ持っていくものは別だった。
当たり前である。
推しグッズは減らせるのか
次。
ここが難しい。
アクスタ。
写真。
その他のグッズ。
全部持っていく必要はない。
分かっている。
ポムは一つ手に取った。
「これはいる」
次。
「これもいる」
次。
「これは……写真撮るかもしれない」
残った。
全然減らない。
美容用品は冷静に減らせたのに、推しが関係すると急に判定が甘くなる。
いつものことである。
双眼鏡は絶対に残った
双眼鏡を見る。
これは迷わなかった。
残す。
席によってはかなり重要である。
推しを見るためにライブへ行くのだから、ここを削ってバッグを小さくしても意味がない。
ポムは気づいた。
荷物も予算と同じだった。
全部を小さくする必要はない。
自分にとって重要なものは残して、優先度の低いものを減らせばいい。
美容用品は減らせる。
推しグッズも、もう少し考えれば減らせるかもしれない。
双眼鏡は残す。
「なるほど」
最近、何でも優先順位で考えるようになっている。
そしてバッグ問題へ戻る
荷物を一度整理して、もう一度最初のバッグへ入れてみた。
さっきより入る。
でも、まだ少し厳しい。
ポムは考えた。
バッグを変えるか。
荷物をもう少し減らすか。
サブバッグを使うか。
グッズを買うなら、帰りは荷物が増える可能性もある。
「行きだけ考えたらダメじゃん」
新しい問題が出た。
会場でグッズを買えば、帰りは確実に増える。
遠征ならさらに荷物がある。
ライブのバッグ問題、思っていたより奥が深い。
推しに会うまで、あと26日
美容を始めた。
美容家電を調べた。
予算を決めた。
そして今度はバッグの中身を床に並べている。
推しに会う準備は、なぜこんなに広がっていくのだろう。
でも、まだ26日ある。
今ならバッグ問題も解決できる。
ポムは床に並んだ荷物を見た。
そして、推しグッズをもう一度見た。
「……これ、本当に全部いる?」
ようやく二回目の審査が始まった。
推しに会うまで、あと26日。
次に整理するのは、ポムのバッグである。
