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魔歳児はいつ終わる

10万と4歳の娘は時折
「フハハハハハハ!」
と邪悪な高笑いをあげる。

父は、まだ娘が幼き日、小さな手に人差し指をいれた時のか弱き力を思い出し、淡いパステルの記憶の中、娘のまだ小さな手に指を伸ばす。

その小さな温もりに手を伸ばした私の指は、五月の蠅のように払われ、代わりに、蛇のような鋭い目つきと、罵詈雑言が容赦なく降りかかる。

それは天使であった時を知る私からすると、まさに豹変というに相応しい変貌ぶりであった。

そして、私の温もりの記憶を覆いつくすように、その高笑いが部屋の中にこだまする。

世間には魔のうん歳児というような表現で溢れている。

父として未熟であった私は、素直にそれを信じた。

魔の1歳児。
人の形をした天使は次第に世界を覚え、縦横無尽に狭い部屋を歩き回り、ただでさえ睡眠不足でイライラしている妻を挑発する。
その様はまるで小さな悪魔であった。

魔の2歳児。
1歳の時を悪魔と表現したことを後悔させるほど、手を焼いた。
時折見せる寝顔は天使であったが、「イヤッ」という名のトライデントを構える様は好戦的で、この時は既に、まごうことなき悪魔だった。

魔の3歳児。
2歳の悪魔は進化を遂げた。
お昼寝の頻度が減少するのと反比例するように、その狡猾さは増していき、言語と知能という名の毒を得た異形のものは、プリンセスのドレスを身に纏い、その破壊の欲求と、生まれもった残忍さをいかんなく発揮した。

そして4歳。

世間では天使の4歳児と呼ばれることもあるようだが、すぐに迷信だとわかった。

我が家では、前世の記憶が蘇った悪魔が降臨した。
それは、人間の欲求を具現化したような存在で、我々と同様の言語を操り、他人から見られる自己というものを明確に認識している。

悪魔の存在を信じない者に対しては、朗らかでか弱い一面を見せる。
しかし、悪魔は、それが人を欺き、自分の欲求を満たすのに十分な物品をもたらすことを知っているのだ。

騙されてはいけない。
それは世を忍ぶ仮の姿なのだ。

哀れ、祖父祖母、叔母や甥などは、その魔術にかかり、蝋人形に変えられてしまった。
今では、悪魔の傀儡となり、会う度に供物を収めるようになっている。

私も・・・そろそろその邪気にやられ、正気を失いそうだ・・・。
悪魔は今日も、リビングで笑っている。
自分の傀儡が寄こした人型や光る玩具、その他たくさんの供物を眺めながら。
「フハハハハハハ!」と。

私はこの人の形をした悪魔を、人間に戻さなければならないのだろうか。

再び閣下の高笑いがリビングにこだました。

よし、そろそろ行かなければ。

お人形遊びの…時間だ。