Unitreeだけを見ていては中国ロボット産業を読み間違える~Deep Robotics上場準備から見える「B向けロボット実装」の現実
中国ロボット産業を見るとき、日本ではUnitreeに視線が集まりやすいです。低価格の四足歩行ロボット、ヒューマノイドロボットの量産、春節番組での演出、SNSで拡散される動画。どれも分かりやすい。Unitreeは、中国ロボット企業が「研究開発の展示物」から「買える製品」へ移ったことを示す企業です。
実際、Unitreeは2026年3月に上海証券取引所スター市場へIPO申請を行い、42億元超の資金調達を計画しています。目論見書ベースの報道では、2025年の営業収入は17億800万元、前年比335%増、純利益は674%増。
2025年1〜9月には、ヒューマノイドロボットが主業売上の51.5%を占め、2024年の27.6%から急伸しています。Unitreeを見る価値は十分にあります。むしろ、見ない方が不自然です。

ただし、Unitreeだけを見ていると、中国ロボット産業の別の勝ち筋を落とします。それがDeep Robotics。同社は同じ杭州発のロボット企業ですが、見せ方も売り先も異なります。Unitreeが量産、価格、研究教育市場、ヒューマノイドロボットで目立つ企業だとすれば、Deep Roboticsは電力巡検、消防、トンネル、鉱山、建設、危険環境といったB向け現場に寄せた企業です。ロボットが踊れるかではなく、雨の日に変電所を回れるかを問う会社です。
この違いは、中国ロボット産業の見方を変えます。中国企業の強さは、安価なハードウェアを大量に作る力だけではありません。産業顧客の現場に入り、ロボットを点検、警備、救助、データ取得の道具として組み込む力も競争軸になっています。Deep Roboticsの上場準備は、その実装型の競争が資本市場の審査対象になり始めたことを示しています。
Deep Roboticsの上場準備と資本市場の入口

Deep Roboticsは2026年5月1日、IPO前の証券会社による指導手続きの完了報告を浙江省の証券監督当局に提出。手続き開始は2025年12月23日で、期間は約5カ月です。支援した証券会社は中信建投証券です。これは上場が決まったという意味ではありません。財務、内部統制、株主構成、情報開示、関連取引などを上場企業水準に近づける事前プロセスを終えた段階です。
杭州のロボット企業DeepRoboticsが、科創板上場に向けたIPO指導を完了。同社はDeepRoboticsは浙江大学発の四足ロボット企業で、電力巡検、消防、災害対応などのBtoB現場に強く、日本の参考になる会社ともいえます。… pic.twitter.com/hG6FUB3FoH
— 吉川真人🇯🇵深セン (@mako_63) May 3, 2026
同じ報道では、創業者の朱秋国氏が直接16.39%を保有し、従業員持株の仕組みを通じて10.74%を間接的に支配しているとされています。
創業者と経営陣の支配構造は、上場審査で確認される項目です。Deep Roboticsは大学発の研究開発企業として始まりましたが、ここからは研究成果だけでなく、上場企業としての統治能力も問われます。
Deep Roboticsは2017年設立の杭州企業です。主力は四足歩行ロボット、輪足複合ロボット、ヒューマノイドロボット、関連部品、産業向けソリューションです。日本語で一言にすると、「歩くロボットを作る会社」では足りません。正確には、複雑な現場を移動し、センサーで情報を取り、点検や救助に使うロボットを産業向けに売る会社です。

ここで見るべき点は、スター市場との相性です。スター市場は半導体、AI、ロボット、先端製造など、政策上の重点産業を受け止める市場です。
Deep Roboticsは、大学発の技術、人材、フィジカルAI、産業顧客、政策資本という要素を持っています。上場の物語は作りやすい。一方で、物語が作りやすい会社ほど、目論見書では数字の検証が必要になります。
X30とLynx M20に見える現場仕様
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