図面外注の費用を下げる|先に決める5つ

図面を外注するとき、依頼側が先に決めておくと安くなるもの

社外に図面を出すとき、同じ内容でも見積もりが倍近く変わることがあります。

差がつくのは、描く手間そのものではありません。「聞かないと進まない箇所」がいくつあるかです。受ける側は、その箇所ぶんの往復と待ち時間を見積もりに入れます。だから、依頼の時点で決まっていることが多いほど安くなり、早くなります。

2012年から2024年まで機械設計と作図をしていて、出す側と受ける側の両方をやってきました。受ける側から見て「これが決まっていると助かる」という項目を、依頼する立場の人向けに書きます。

1. 何に使う図面か(用途)

同じ部品でも、用途で必要な情報が変わります。

  • 加工先に出して部品を作る → 公差、材質、表面処理、基準面まで要る

  • 社内の検討用 → 形と主要寸法だけで足りることが多い

  • 客先への提出資料 → 見た目と分かりやすさが優先

  • 特許や申請の添付 → 決まった書式がある

「とりあえず図面にしてほしい」が一番見積もりづらい依頼です。用途が分かれば、どこまで詰めるかが決まるので、余計な作業が落ちます。

2. 元データの形式と、それが「正」かどうか

渡される元データは、だいたい次のどれかです。

  • 3Dモデル(STEP、IGES、ネイティブ)

  • 既存の2D図面(DWG、DXF、PDF)

  • 手描きのスケッチや写真

  • 現物

それぞれで手間がまったく違います。3Dモデルがあれば投影から始められますが、PDFしかない場合はトレースになります。写真や現物からの起こしは、寸法の確認から入るので一番かかります。

もう一つ大事なのが、渡すデータが最新かどうかです。「これが最新のはず」で渡されたものが実は一つ前の版だった、という事故は珍しくありません。図番と改訂記号を添えていただけると確実です。

3. 納品形式

先に決めておくと後戻りがありません。

  • DWG(編集できる形式で欲しいか)

  • DXF(他のCADに渡すか)

  • PDF(見るだけ・配るだけか)

  • 紙の原寸出力が要るか

「PDFでいい」と言われて出したあとに「編集したいのでDWGもください」となると、レイヤーや線種の整理をやり直すことがあります。編集する予定があるなら最初に言っていただくと、最初からその前提で作ります。

4. 図面の「書式」をどうするか

意外と時間を取るのがここです。

  • 貴社の図枠・表題欄を使うか、こちらの汎用図枠でいいか

  • 図番の採番ルールがあるか

  • 文字の大きさ、線の太さ、寸法の矢印の形に社内標準があるか

  • 第三角法か第一角法か

社内標準がある場合、サンプル図面を1枚いただくのが一番早いです。文章で説明されるより、既存の図面を1枚見るほうが正確に揃います。

5. 「決まっていないこと」を決まっていないと言ってもらえるか

これが実は一番効きます。

依頼の時点ですべてが決まっている必要はありません。決まっていないところがあるのは普通です。困るのは、決まっていないのに決まっているように渡されることです。

「この寸法は仮です」「ここはまだ検討中なので後で変わります」と書いてあれば、そこは最後に回して、確定してから描きます。何も書いていないと確定値として描き込んでしまい、あとで直す手戻りが出ます。

仮の箇所が分かっていれば、先に確定している部分だけ進めて、確定待ちの箇所は最後に埋めるという段取りが組めます。結果として納期が縮みます。

まとめ:依頼時に添えると良い5点

  1. 何に使う図面か

  2. 元データの形式と、それが最新かどうか(図番・改訂記号)

  3. 納品形式(編集する予定があるか)

  4. 図枠・表題欄の指定、あればサンプル図面を1枚

  5. 仮の箇所・未確定の箇所はどこか

この5つが揃っていると、見積もりの精度が上がり、質疑の往復が減ります。逆に言えば、揃っていない部分は受ける側が「たぶんこうだろう」で埋めるか、聞きに行くかのどちらかになります。どちらも時間とお金がかかります。

すべてを完璧に揃える必要はありません。「決まっているもの」と「決まっていないもの」を分けて伝えるだけで、だいぶ変わります。


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