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【北斎最晩年の深淵】葛飾北斎『骸骨図』。死の直前に天才絵師が見つめた、奇妙にユーモラスな闇の世界

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今回は、世界的な天才絵師・葛飾北斎が、90年という長い生涯のまさに最晩年に到達した、怪しくも美しい「肉筆画(紙に直接筆で描いた一点ものの絵)」の傑作を紹介するよ。 北斎といえば『富嶽三十六景』のダイナミックな富士山や大波が有名だけど、彼が人生の最後にたどり着いた境地のひとつが、なんとこの「骸骨」の世界だったのだね。

まずは、おじいちゃんになった北斎が魂を込めて描いた、この不思議な空間を覗いてみてほしいのだ。

『骸骨図』

夜の竹林、こうこうと輝く満月の下で、ぽつんと佇む一体の骸骨。手には怪しげな光を放つ提灯を持っているのだね。 一見すると不気味なホラー画のようだけど、どこかコミカルで、じわじわと愛着が湧いてくる不思議な魅力がないかな?


明代の怪奇小説が織りなす「死者との境界線」

この作品は、北斎の完全な思いつきではなく、明の時代に書かれた怪奇小説『剪燈新話(せんとうしんわ)』の一節を題材にしていると言われているのだよ。小説の中に登場する幽霊や怪異のエピソードを、北斎流の解釈で不気味かつ美しくビジュアル化したものなのだね。

物語の背景を知ると恐ろしく思えるけれど、北斎が描くこの骸骨のポーズに注目してほしいのだ。 心なしか、腰に手を当てて「やぁ、待たせたね」とでも言いたげな、ちょっと気取ったポーズをしているように見えないかな? 冷たい死の象徴であるはずの骨に、まるで生きている人間のような生命感とユーモアを吹き込むあたり、さすがは北斎なのだ。


執念すら感じる「骨」のリアリティと静けさ

じっくりと画面の細部を見ていくと、晩年になっても全く衰えることのなかった北斎の超絶テクニックが光っているのだ。 あばら骨の1本1本、背骨の絶妙なカーブ、陰影、そして骨盤の立体感まで、驚くほど緻密に描き込まれているのだね。北斎は生涯を通じて「世界のすべてを描き尽くしたい」という凄まじい執念を持っていたけれど、人間の内側にある骨に対してもその探求心は変わらなかったのだ。

暗い背景の中で、鮮やかな赤や青があしらわれた提灯だけがぽっと浮き上がっていて、それが静寂な夜の空気感をいっそう引き立てているのも心憎い演出なのだよ。


年に一度、北斎の命日にだけ会える奇跡

実はこの貴重な肉筆画、普段はどこの美術館に行っても見ることができないのだ。 現在は東京の台東区にある「誓教寺(せいきょうじ)」というお寺に大切に所蔵されていて、毎年、北斎の命日である4月18日頃にだけ特別に一般公開されているのだね。

北斎が亡くなったのは弘化6年(1849年)の4月18日。死の間際に「あと5年、いやあと10年生きられれば、本物の画家になれたのに」と言い残した逸話は有名だけど、この『骸骨図』を見ていると、彼が死の恐怖すらも楽しんで、あの世をスケッチしているような気がしてくるのだ。


🎨 「ずんだもん美術館」のあとがき

死の直前に北斎が到達した、ユーモアとリアリズムが同居する骸骨の世界。 彼にとって「死」とは恐れるものではなく、新しく描きに行く未知のキャンバスのようなものだったのかもしれないのだね。

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