【楽園へのプロローグ】ポール・ゴーギャン『ボワ・ダムールの水車小屋の水浴びをする少年たち』。ひろしま美術館で出逢える、独自の野生が目覚める前の瑞々しい一瞬
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今回は、南国のタヒチを愛し、原初的な美を追い求めたポスト印象派の巨匠、ポール・ゴーギャンが1886年に制作した瑞々しい名作『ボワ・ダムールの水車小屋の水浴びをする少年たち』を紹介するよ。 この極めて貴重な初期の傑作は、広島県にある「ひろしま美術館」に所蔵されていて、緑豊かな美しい美術館の中でいつでも本物と対峙することができるのだね。

ゴーギャンといえば、濃烈な色彩でタヒチの女性を描いたイメージが強いけれど、このキャンバスには、彼が自分だけの芸術を見つける直前の、どこか懐かしく素朴な光景が広がっているのだ。
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芸術の桃源郷「ポン=タヴァン」との出逢い
この作品が描かれたのは、ゴーギャンがフランス北西部のブルターニュ地方にある小さな村、ポン=タヴァンに初めて滞在した時期なのだね。

当時のゴーギャンは、都会のパリでの経済的な困窮や、従来の印象派の表現に行き詰まりを感じていたのだ。そんな彼が救いを求めて移り住んだのが、古き良き伝統や素朴なキリスト教信仰、そして手つかずの大自然が残るブルターニュだったのだよ。 タイトルの「ボワ・ダムール」とは、現地を流れる川沿いに広がる「愛の森」という意味の美しいロマンチックなスポットなのだ。都会の喧騒から離れたこの静かな森こそが、ゴーギャンの凍りついていた創作意欲を優しく溶かしていったのだね。
印象派の光と、内に秘めた独自のスタイルの融合
絵の中を旅するようにじっくり見渡してみると、のどかな夏の日の記憶が生き生きと蘇ってくるよ。

黄金色に輝く川岸で、思い思いに水浴びを楽しむ少年たちの裸体が配されているのだね。左側で砂浜に座り込む少年、中央で体を拭いているような二人組、長閑に佇む子供たち。彼らの肌は、周囲の自然の光を浴びて温かく健康的なトーンで表現されているのだ。
この時期のゴーギャンは、まだ師であるピサロから学んだ印象派風の細かい筆跡(ステッチのようなタッチ)を随所に残しているのだね。背景の水車小屋や木々の緑、白く泡立つ川の水の表現には、光のチラつきを捉えようとする印象派のテクニックが見て取れるよ。
しかし、注目してほしいのは少年たちの輪郭線なのだ! 印象派が光の中に形を溶け込ませようとしたのに対し、ゴーギャンは少年たちの体をくっきりとした線で囲み、やや平面的に配置し始めているのだね。これは、後に彼が確立する「総合主義(シンボリズム)」という、独自の装飾的な美の世界への第一歩なのだよ。
🎨 「ずんだもん美術館」のあとがき
後にタヒチへと旅立ち、激しい色彩の楽園を描くことになるゴーギャン。彼がその「野生の才能」を完全に爆発させる直前、ブルターニュの優しい光の中で子供たちの無垢な姿を捉えたこのキャンバスは、巨匠の進化のプロセスを伝える奇跡の一枚なのだね。ひろしま美術館の穏やかな空間で、この絵から溢れるせせらぎの音をぜひ感じてみてほしいのだ。
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