ZUZU、AIの「1,000本合格」をカエル一匹でひっくり返す
GPTは言った。
「動画1,000本、QA監査1,000本すべて合格、エラー0件です」
翌日、ZUZUはそのうち一本を見て言った。
「これ、つまらん。画質悪い。動画と映像、ミスマッチしてない?」
していた。
しかも、かなりしていた。
これはAIが人類を超越する話ではない。
人類代表ZUZUが、カエル一匹でAIの監査を超越した二日間の記録である。
※確認できた通常ChatGPTとCodexの会話だけを使用し、発言は意味を変えない範囲で短縮しています。個人情報、勤務先、私的な保存場所、アカウント識別情報、非公開のチャンネル分析、金銭・健康に関する個別相談は除外または一般化しました。
ZUZUのランキング動画工場では、大量生産が最終日を迎えていた。
GPT「1,000本が完成しました。出典5,000件と動画ハッシュ1,000件は重複なし。QA監査は1,000本すべて合格、エラー0件です」
(数字がきれいすぎる。AIの報告書は、ときどき体育館の床くらいピカピカになる)
ZUZU「進捗状況は?」
GPT「動画制作は1,000本すべて完了しました。公開用の中央キューにも登録を進めていますが、実際の公開確定と待機中は分けて管理しています」
工場は完成した。
少なくとも、帳簿の上では。
翌日、ZUZUが一本を見た。
ZUZU「『カエルの一生・意外な瞬間映像ランキングTOP5』、これとかつまらん。あと画質悪い。動画の内容と映像の内容、ミスマッチしてない?」
GPT「はい、明確にミスマッチしています。『カエルの一生』なのに、卵、オタマジャクシ、変態、成体という成長過程がありません。映画、人間の体操、別の動物など、題材と無関係な映像が混ざっています。画質も、低めの解像度の横長素材を縦型へ拡大しているため、ぼやけています」
(1,000本の自動QAを、人間が一本見て突破した。検査装置の名前は「なんか変」だった)
ZUZUは、一本だけの事故だとは考えなかった。
ZUZU「今YouTubeに上がっている動画で、同じ現象がほかにもあるはず。調べて。なぜ起きたのかも調査して」
GPT「調査したところ、一部の動画だけではなく、新しい1,000本バッチの生成工程全体に問題がありました。YouTube側に存在を確認できた新バッチ186本のうち、95本で『5カット中3本以上が題材と明確に異なる』状態を確認しました」
GPT「原因は、素材検索がテーマとの関連性を評価せず、検索上位の未使用素材をそのまま順位へ割り当てていたことです。同じテーマを繰り返すほど関連素材を使い切り、後半には映画、音楽、ニュースなどが混ざりました」
GPT「さらにQAは、縦型サイズ、音声、5カット、順位順といった構造だけを確認し、テーマ一致、実効画質、クロップ、ランキングの妥当性を検査していませんでした」
(つまり「カエル動画にカエルの一生が映っているか」は、カエル動画のQA項目ではなかった。AI工場、そこは見よう)
1,000本合格。
その翌日に、95本の明確なミスマッチ。
数字はどちらも本当だった。
最初のQAが「壊れず再生できるか」を見て、ZUZUが「中身が面白くて題名と合っているか」を見たからだ。
(機械は仕様に合格した。人間は作品として不合格にした。カエルは何も悪くない)
動画工場の問題は、中身だけではなかった。
ZUZU「Cドライブを減らしていきたい。他のプロジェクトも変えていきたい。計画を立てて」
GPT「登録済みプロジェクトの容量を読み取り専用で調べ、容量の大きいものから一件ずつDriveへ移す計画にします。成果物と、ローカルに残すべきGitや依存関係、キャッシュを分けます」
ZUZU「今のプロジェクトを試しにそっちへ変更可能か」
GPT「試験用コピーを作り、全ファイルのハッシュ一致を確認しました。ただしクラウド側の同期完了は確認できなかったので、Cドライブの元フォルダは削除していません。プロジェクトの保存先切替も、確認後に行う段階です」
(昨日は倉庫を空け、今日は倉庫そのものを引っ越す。ZUZUのPCに定住という概念はない)
その直後、別の異常が出た。
ZUZU「物理ディスクドライブが100%。原因は?」
GPT「主原因はCodexの処理です。メモリがほぼ満杯になり、Windowsがデータをディスクへ退避し続けたことで、Codexの読み書きと重なって稼働率100%になった可能性が高いです。不要な処理を止め、Codexを再起動し、必要ならDrive同期も一時停止してください」
(Cドライブを軽くしようと働いたCodexが、働きすぎてディスクを100%にした。ダイエット動画を見ながらピザを食べるタイプの最適化である)
さらにZUZUは、定期的に現れる黒い画面に気づいた。
ZUZU「15分に一度くらいPowerShellが動作する。なぜ?」
GPT「YouTubeの中央投稿キューを巡回するWindowsの定期タスクが原因です。15分ごとに処理・同期・監査を実行し、画面を隠す設定がないため、ターミナルが一時的に開いていました」
ZUZU「時間を3時間ごとに変更しておいて」
GPT「Windows側の巡回処理だけを15分ごとから3時間ごとへ変更しました。動画の予約間隔や処理内容は変えていません」
(15分に一度の訪問者は、正体が分かった瞬間に3時間勤務へ配置転換された)
ChatGPT側では、アプリの中身だけが落ちる現象も続いた。
ZUZU「なぜ?」
GPT「ログイン情報の間違いではありません。画面側は生きていますが、Codex内部の処理が停止またはクラッシュした状態です。まずアプリを完全終了し、再起動してください」
(画面はいる。中の人はいない。AI版の居留守である)
別の会話では、ZUZUが作成途中のカスタムGPTを閉じていた。
ZUZU「入力したあと、タブを消しちゃった。履歴はどこかに残ってる?」
GPT「作成途中の内容は下書きへ自動保存されるため、残っている可能性が高いです。まず閉じたタブを復元し、それでも戻らなければ作成画面の下書きを確認してください」
ZUZU「一度書き出してEnterを押した。それは下書きではない?」
GPT「Enterはビルダーへ指示を送った状態で、正式な作成とは別です。ただし編集内容は下書きへ自動保存されるため、復元できる可能性があります」
(今日のあらゆるものが、完成したように見えて下書きだった。動画も、GPTも、たぶん人生も)
その日の終盤、ZUZUはことわざを確認した。
ZUZU「『怪我の功名』みたいな、『塞翁が馬』みたいな話?」
GPT「近いです。怪我の功名は、失敗や災難が結果的に良いことにつながった一場面。塞翁が馬は、幸運と不運は何度も入れ替わるので、目先だけでは判断できないという教訓です」
ZUZU「さいおうのうまとは?」
GPT「馬が逃げる、良い馬を連れて戻る、息子が落馬する、その怪我で徴兵を免れる、というふうに幸不幸が反転する故事です」
(1,000本合格は幸運に見えた。カエルのミスマッチは不運に見えた。でも、その一匹が工程全体の穴を見つけた)
今日のテーマは、「合格の数より、違和感の一言が強い」だった。
AIは1,000本を作った。
AIは1,000本を合格にした。
ZUZUは一本を見て、「つまらん」と言った。
その一言から、半数を超える明確なミスマッチが見つかった。
これは怪我の功名ではない。
(カエルの功名である)
