ZUZU、2040年まで資産を回し、翌日はポケモンの目線で紙吹雪を浴びる
AIは2040年までの経済をシミュレーションできる。
だが、自分が設定画面のどこにいるかは、ときどき間違える。
今日のZUZUは、金利、契約、企業分析、動画、ゲーム制作まで一日で走り抜けた。そしてGPTは、未来の世界を作ったその日に「最新AIはまだ来ていないかもしれません」と説明し、数分後にZUZU本人から居場所を教わった。
未来予測より、設定画面のほうが難しいらしい。
朝、友人三人を債券市場へ連れてくる
ZUZU「友人Aが100万円を年10%で貸してくれて、その後、友人Bが5%、友人Cが8%で貸すと言ったら、低金利のBを選ぶ。古いAの債券が下がる、という理解で合ってる?」
GPT「借り手として低金利を選ぶところは合っている。ただし一か所だけ逆。市場金利が下がると、年10%を受け取れる古い債券は条件が良くなるので、価格は上がる。債券価格が下がるのは市場金利が上がったとき。」
(金利を理解するため、まず友人三人に債券を発行させる。交友関係が教材になり、A君は朝から金融市場に上場した。)
ZUZU「レイ・ダリオの“美しいデレバレッジ”とは?」
GPT「借金の重さを減らしながら、大不況にも高インフレにもせず正常化すること。緊縮、債務再編、再分配、通貨供給を組み合わせ、所得の伸びが金利を上回る状態を目指す。」
(借金整理に“美しい”が付くと、急に美容用語っぽくなる。やっていることは国家規模の家計簿整理である。)
遠隔操作より先に、自分の設定が迷子になる
ZUZU「スマホからPCへ指示できるRemoteを、PCブラウザからも使えない? 類似機能はない?」
GPT「完全に同じ機能はない。別PCのデスクトップアプリ同士をつなぐ方法や、コード作業ならクラウド実行が近い。」
(ZUZU、朝から“どの端末にいてもAIを働かせる”体制を検討。分身の術をIT用語にするとRemoteになる。)
そして、AIのモデル選択画面で小事件が起きた。
ZUZU「WorkなのにAstraを使えない理由は?」
GPT「アカウントへの段階配信がまだ終わっていない可能性が高い。」
ZUZU「デフォルトにリセットする機能って何?」
GPT「モデル設定を標準へ戻す機能。Astraを出すボタンではない。」
ZUZU「押したらAstra見れたけどね。」
GPT「先ほどの説明は誤りでした。古い選択状態が解除され、利用できる最新候補が表示された可能性があります。」
(最新AIの居場所を、最新AIが間違え、人間がボタン一つで発見した。Astra初の業務は、自分を探していたGPTの訂正だった。)
二文字の資料表現から、民法の森へ
ZUZU「“要解析”“要条件検討”という言い方でいい?」
GPT「短い設計資料なら通じる。文章なら“解析および条件の検討が必要”が自然。」
(二文字で済ませたいZUZUと、説明を表にしたがるGPT。資料の余白をめぐる静かな攻防である。)
その後、話はある技術設計案件の責任範囲へ広がった。
ZUZU「既存設計を流用し、変更していない部分は妥当性を見ない進め方でよい? 最終製品に問題が出たら誰の責任?」
GPT「担当範囲を限定すること自体はできる。ただし既知の問題を報告せず、変更の影響も確認しない進め方は危険。変更影響の解析、既知問題の一覧化、成果物と保証範囲の合意が必要。」
ZUZU「民法とは? 法律の枠組みや階層、委任契約の例も知りたい。」
GPT「民法は私人同士の基本ルール。請負、委任、準委任は民法の中の契約類型で、設計支援では準委任、成果物の完成を約束するなら請負が中心になる。」
(“要解析”の四文字から始まり、気づけば憲法、民法、請負責任まで来た。資料の一行が法律学部へ進学した。)
ランキングを作り、本人がそのランキングを疑う
ZUZU「Armの顧客を一覧化し、売上が高そうな順に並べて、各社の採用ロードマップも入れたSiteを作れる?」
GPT「主要企業と採用計画を整理した公開Siteを作成した。公式開示と推定を分けて表示した。」
ZUZU「これ、どの程度確度があるの?」
GPT「開示された上位は高確度だが、それより下を売上ランキングとして断定できる根拠はない。表示が実際の確度より強かったので要修正。」
(作る、公開する、疑う、訂正する。AIに必要なのは自信ではなく、自信の強度を調節するつまみだった。)
資産価値の計算でも、同じく“何を現在値に含めるか”が問題になった。
ZUZU「最終ゴールは、現在の企業価値を正確に把握すること。どちらの計算が正しい?」
GPT「売却済み資産の、その後の価格変動を現在価値へ連動させない方針が正しい。公式値を出発点に、現在保有している資産、負債、為替などの変化だけを反映するのが目的に合う。」
ZUZU「Excelを直した版にして、別名保存で作って。」
GPT「売却済み項目の価格連動と不要な為替処理を修正し、元ファイルを残したまま別名版を作成した。」
(売った株が、その後も表計算の中だけで値動きしていた。資産管理にも幽霊は出る。成仏方法は“別名保存”。)
千本以上の動画を見た結論、ラーメン
ZUZU「再生回数が多い動画を分析して、動画を作って。」
GPT「既存チャンネルのショート動画を千本以上分析し、人気傾向に合わせた38秒のラーメン動画を作った。」
(千本以上の知見を煮詰めた結果、どんぶり一杯になった。ビッグデータの湯切りである。)
ZUZU「この短い投稿動画の元動画はどこ?」
GPT「映像の背景と発言内容を照合し、イベント主催者の公式配信を特定した。」
ZUZU「公式チャンネル以外にある過去の孫さん動画を、できるだけ探して一覧化して。」
GPT「外部主催の講演・対談・取材と、抜粋・転載を分け、まず50件のリンクと年代・公開元で絞れる一覧を作成した。」
ZUZU「AGIについて聞いたチャット、どこだっけ?」
GPT「該当チャットを見つけ、関連する会話も案内した。」
(動画を探し、発言を探し、最後は“発言を探したチャット”を探す。検索対象が一段ずつ内側へ折りたたまれていく。)
2040年まで進めるのに、すごろくは使わない
夜、ZUZUは一日ぶんの相談を、そのままゲームにしたような依頼を出した。
ZUZU「資産を築いてラットレースを抜けるゲームを作りたい。すごろくではなくランダムイベントで進み、2026年から2040年までの技術革新、インフレ、政策金利、国内外の企業を入れる。スマホ重視で、平均的には2040年ごろに経済的自由へ到達する設定にして。」
GPT「技術・経済イベント60本、資産8種類を持つゲームを公開した。500通りを検証し、基準プレイの到達年中央値を2040年に調整した。」
(一回の人生ではゲームバランスが分からないので、AIが500回生きた。輪廻転生を品質保証に使っている。)
別のゲームには、視点変更の注文が入った。
ZUZU「プレイヤーの目線、FPS視点にできない?」
GPT「目の高さから見える一人称視点へ変更し、マウスやタッチで見回し、移動、バトル、捕獲へつなげる作業を進めた。」
そして現実の動画では、別の意味でFPSが問題になった。
ZUZU「Netflixを1.5倍、2倍で見たい。速度変更の拡張機能を使うと映像だけ止まり、音声だけ進むことがある。」
GPT「まず拡張機能を切り、標準の1.5倍速で確認する。2倍速は拡張機能が必要だが、再生制御と干渉する可能性がある。」
(ゲームは一人称のFPSへ。NetflixはフレームのFPSが置いていかれる。略語は同じでも、片方は没入感、片方は音声だけ未来へ行く。)
翌朝、テトリスが奥行きを獲得する
ZUZU「普通のテトリスは二次元だけど、立方体の中に積む3Dテトリスを作りたい。そういうゲームはすでにある?」
GPT「ある。箱の内部へ立体ブロックを落とし、埋まった一層を消す先行作が複数ある。立方体を回すのか、落下方向も変えるのか、どの面をそろえたら消えるのかが独自性の分かれ目になる。」
(二次元で窮屈そうだったテトリスに、ZUZUが奥行きを与えた。ブロック側からすると、逃げ場が増えたようで仕事が三倍になった。)
ZUZU「おれ、Astraで何をすべきかなぁ?」
GPT「集めている動画と文字起こしを、発言日時・引用・元動画・再生位置まで検索できる自分専用資料庫にするのが一番相性がいい。実用なら数値資料の検証、遊ぶなら3Dテトリスも候補。」
(高性能AIの使い道を相談した結果、第一候補は“あの発言どこだっけ”を二度と繰り返さない装置。知性の最終形が、強い検索窓になった。)
言葉を短くし、数字には長く疑う
ZUZU「損失度合いと保険コストを、ビジネスで適切に言うなら?」
GPT「『想定損失額』と『リスク対策費用』が伝わりやすい。判断には損失の大きさだけでなく、発生確率も必要。」
ZUZU「はい・いいえ質問って、なんていう?」
GPT「用語なら『クローズドクエスチョン』。相手に確実に伝えるなら『はい・いいえで答えられる質問』がいい。」
(二文字で済ませたいZUZUに対し、GPTが表を出し始めたら会議は終わらない。)
一方、投資に関する投稿案には、徹底した事実確認が入った。
ZUZU「この数字と主張、全部ファクトチェックして。」
GPT「時価総額の比較はおおむね合っているが、持分比率の基準日がそろっていない。強い断定は公開資料と一致せず、修正が必要。比較するなら『株価一円あたりの株式エクスポージャー』と範囲を限定するのが安全。」
(簡単な算数を確かめに来たはずが、最後は言葉の定義と基準日の裁判になった。電卓は無罪。容疑者は前提だった。)
紙一枚でも、秘密は薄くならない
ZUZU「秘密保持の対象になりそうな回路図は、ハードコピー程度なら問題ない? 素子が写るとまずい?」
GPT「紙でも画像でも、秘密情報が読めれば問題になり得る。一般的な記号だけか、固有名や設計値、接続構成まで含むか、誰に何の目的で渡すか、契約で許されているかを分けて確認する必要がある。」
(秘密情報は紙に印刷しても、なぜか一般情報へ相転移してくれない。コピー機に機密解除ボタンはなかった。)
設計ツールのキーボード操作では、別の格闘が続いた。
ZUZU「指定した波形に関係なく、いつも同じ信号が出る。原因は?」
GPT「画面で選んだ波形を取得せず、コード内の初期値を使っていたため。選択中の波形を取得する処理へ変更する必要がある。」
ZUZU「修正して。」
GPT「使用中の版で選択波形を取得する関数を確認中。前に『コード変更だけで可能』と言い切ったのは早かった。実際に存在する候補関数が見つかったので、引数と戻り値を確かめる。」
(バグは同じ信号を出し続け、GPTは同じ自信を出し続けそうになった。今回は信号より先に自信の固定値を外した。)
自己ベストと、自動で速くなる動画
ZUZU「金メダルではなく、過去の自分の記録を重視すると話す陸上選手を挙げて。」
GPT「自己ベストや自分の到達点を重視する本人発言が確認できる選手を挙げた。ただし『自分との戦い』だけでは、順位より記録を優先する証拠にはならない。」
ZUZU「自己ベスト主義なら、予選から全力で記録を狙うのがベストだよね?」
GPT「予選が最も好条件ならその通り。ただし予選で余力を残す方が決勝で自己ベストを出しやすいなら、それも自己ベスト重視になり得る。」
(全力を出すタイミングまで含めて自己ベスト。人生も予選で飛ばしすぎると、午後三時に決勝が来る。)
ZUZU「動画アプリの『再生速度の自動調整』って、いつからある?」
GPT「数か月前に発表された機能。話す速度や情報量に応じて自動で速さを変える。ただし対応する端末・会員・言語には条件がある。」
(昨日は倍速で映像が止まり、今日はAIが場面ごとに速度を決める。人類はついに、動画を見る速度まで動画側と交渉する時代へ入った。)
三本同時に見たい人と、存在しないゲームを見せるAI
ZUZU「YouTube、Instagram、TikTokをスマホで同時視聴するアプリは、Codexで作れる?」
GPT「画面を分割して公式の埋め込みプレーヤーを並べる試作は可能。ただし三本の安定した同時再生、音声付き自動再生、おすすめ画面の連続操作は、各サービスとスマホ側の制約がある。」
(一本では足りない。三本同時に見たい。可処分時間を増やさず、可処分画面だけ三分割する発想である。)
ZUZU「この動画はどう作っている? 類似動画かゲームとして再現できる?」
GPT「これはAIで作った『架空のゲームのプレイ映像』。画像を作り、それを短い動画にし、ゲーム風の地図・体力・ミッション表示を重ねている。似た映像は現実的に作れるが、自由に操作できるゲームにするなら別途ゲーム開発が必要。」
(遊べそうに見える。でも遊べない。食品サンプルが、ついにゲーム業界へ進出した。)
ZUZU「初代ポケモンを、あなたが代わりにプレイしている動画を見たい。カセットはない。他の手段は?」
GPT「初代そのものをPCで遊ぶ公式配信は確認できなかった。手軽な代案は、ブラウザ上の対戦シミュレーター。町を歩く冒険はないが、技や交代を選ぶ対戦なら試せる。」
(ZUZUはゲームを作らせるだけでは満足せず、GPTにゲーム実況者の就職先まで用意し始めた。)
最後はポケモン本人にカメラを渡す
作りかけの3Dポケモンゲームにも注文が続いた。
ZUZU「タイプは何タイプでも選べるようにして。選ぶほどオッズは下げて。『一匹を選ぶ』と『タイプで選ぶ』は左右逆にして。」
GPT「全タイプから複数選択でき、対象が増えるほどオッズが下がるよう更新。左右の配置も入れ替え、テストとビルドを確認した。」
ZUZU「ポケモンを選択すると、そのポケモンの目線になるようにしたい。」
GPT「選んだポケモンの目線へ切り替え、移動や進化に追従するカメラを追加した。ドラッグで見回し、俯瞰にも戻せる。」
ZUZU「最後、勝利したら、そのポケモンのアニメーションがほしい。」
GPT「優勝したポケモンをアップで映し、ジャンプ、一回転、お辞儀、紙吹雪で祝う演出を追加した。」
(カメラは神の視点からポケモン本人へ降り、最後は優勝者が一回転して礼をする。二日間の議論で、最も礼儀正しかったのはポケモンだった。)
ZUZUは2040年までの経済を500回走り、動画を三本同時に見ようとし、架空のゲームを見破り、最後はポケモンの目で世界を見た。
未来は作れる。視点も変えられる。勝ったら、とりあえず一回転である。
