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ニ-チェ全集 (9) (ちくま学芸文庫 ニ 1-9)
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- ISBN-104480080791
- ISBN-13978-4480080790
- 出版社筑摩書房
- 発売日1993/6/7
- 言語日本語
- 本の長さ496ページ
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房
- 発売日 : 1993/6/7
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- ISBN-10 : 4480080791
- ISBN-13 : 978-4480080790
- 商品の重量 : 200 g
- Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 113,241位 (本の売れ筋ランキングを見る)
- ドイツ・オーストリアの思想 - 93位
- 西洋哲学入門 - 190位
- ちくま学芸文庫 - 384位
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カスタマーレビュー
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日本からのトップレビュー
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日本型ニヒリズムの真っ只中にあって読むべき偉大な書
2023年3月3日に日本でレビュー済みニーチェにとってシルヴァプラナ湖畔での永劫回帰思想の襲来は衝撃的な体験だったに違いない。この前後の健康状態は我慢強いニーチェをして「生命力が最低点に突き当たった数年」と言わしめるほどの最悪のものであった。この時期のニーチェの身体は最低の状態であったが知性や感性は最も研ぎ澄まれた状態にあり、ツァラトゥストラの四部はそれぞれ10日前後の短い期間で一気に書き上げられているとのこと。
毎日が同じことの繰り返しで、万人は着実に一歩一歩死に近づいていく。生きることが無意味で、永劫の時間だけが意味もなく経過するなら、人生の労苦は一切が徒労に終わる。バラモン教(ア-リア人)では、そこから解脱することに人生の意味を見出した。キリスト教(ユダヤ教、イスラム教も同じ)では永遠に続く時間概念を否定し、時間を天地創造から最後の審判まで直線的に限定することで、人生の意味を見い出し、ここにギリシャ人、イスラエル人にとっての人生の苦悩に福音をもたらした。
ルッター派の牧師の長男として生まれたニ-チェは、この神によってもたらされる福音の他力性や禍因性に抵抗し、神のアンチテーゼとして超人を産出する。超人の告知者であるツァラトゥストラの「神は死んだ」という言葉と、絶対神であるヤハウェ(アラ-)に対抗する新しい時代の理想的人間の象徴である超人をもって、中東の一民族によって創出された唯一神という幻想による奴隷的支配から人類を解放することを提起した。
絶対的真理やあの世(背後世界)の否定と創造的生(カオスかつディオニュソスなるもの)の肯定。人生は審判のためでも、来世のためでもない。生は真理に拘束されたり罪深いものとされるような対象ではなく、むしろ生の主体者である自己との相関関係によって、あらゆるものの価値や意味が認識者によって創出されていくようなダイナミックな運動であると主張する(生の遠近法)。
考えようによっては最後の審判や輪廻やカルマは、現世の生の価値を審判や来世や彼岸に求める思想とも解釈できるがニーチェはこれにも異議を唱えた。
生の意味や価値は生を認識の実験とする者にとっては自己完結的なものとなる。キリスト教的直線時間も仏教的円環時間も神仏からの客観的(俯瞰的)視点をベースとした時間概念であることは変わりない。生の主体者の主観でとらえた時間には過去も未来も存在としては空虚なものとなり、現在の瞬間にこそ、すべての時間が集約される。
永劫回帰とは、生の主体者から見た主観的な時間概念でもあり、現在の瞬間に過去・未来が集約され、瞬間が永遠になり、永遠が瞬間になりうるような直観であり、時間も含めたあらゆる価値は、生の主体者である「今に生きる自己」に還元され、自己が世界を解釈することによって創出された存在の一切を「然り」という聖なる言葉をもって全肯定する「運命愛」に至る。
無垢なる遊戯、破壊と創造の反復運動こそが生そのものである。既成権威との闘争や自己内外の既存価値や既成概念の破壊による新たな創造が自己超克(絶えず自己を上書きしていく運動)であり、人として生まれた特権とも言える。
「さあ!さあ!そなたら、高等な人間たちよ!今や初めて、人間の未来という山が陣痛に苦しんでいる。神は死んだ。今やわれわれは欲するのだ、──超人が生きんことを。(ツァラトゥストラ 高等な人間について」より)」
神が死んだ今、価値や意味は相対的なものとしての自由度をもち、既に神から与えられた人生の意味や価値に生の目的はなく、生そのものがやがて生まれる理想的人間の象徴たる超人のための運動となる。神なき時代にあっては、かつての神に対する契約や忠誠は既に地に落ち、隣人愛は不完全な自己愛の変形となり、かつて天上に支配者として君臨した神に対する愛を抱く必要もなく、将来生まれるであろう超人を愛するべきである(遠人愛)とツァラトゥストラを通じて語る。自らを進化(自己超克)させる抵抗(重力の精)に向かい、これに打ち克つことによって自己拡大していくことこそ、生物としての本来あるべき生のベクトルでもあり運動(力への意志)でもある。
人として生まれた特権は世界に意味や価値を創出しつつ自己超克し続けることであり、絶対的な真理やトップダウンの善悪二元論道徳は、本来ダイナミックであるはずの生や個性豊かで多様な側面をもつ人間ならではの特権を画一化し弱体化させるばかりか、畜群動物へと後退させるようなマイナス要素があるということを看破した。
国の目標と個人の目標が合致し、欧米に追い付け追い越せを旗印とした物欲の時代。高度成長期にはエコノミックアニマルと揶揄されようが物の豊かさが幸せの指標であるかのような価値観を共有していた。国として、個人として、確たる目標や目的、アイデンティティーさえ喪失し、未だ敗戦のルサンチマンが燻るも、かつての国家神道の反省から、過度の宗教アレルギーやごくゆるやかな宗教観のデメリットとして人生の苦悩に対峙する力に欠けた日本型ニヒリズムの真っただ中にあって『ツァラトゥストラ』は「似たり寄ったりの耳をもつもの(悦ばしき知識 第381番)」にとって聖書に代わる福音書や指針となるような、今後数百年以上は読まれ続ける偉大な書籍である。
追記:あるサイトで出版社ごとの和訳を比較したことがあり、和訳は白水社版が好みだったが、訳注が最も充実していること、全集があることを加味すれば、これからニーチェを読んでみようと考えている読者にとっては、ちくま学芸文庫版がお薦めです。
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いままでこの本を知らなくてよかった。
2015年4月23日に日本でレビュー済み訳注はともかく、翻訳は素晴らしい。おそらく読者は永遠を彷徨うだろうが、ではツァラトゥストラはなにを「しるし」と言ったのか。本当に永遠回帰をくりかえすうちの曙光の射す場所が「しるし」なのか。ではなぜ他の者は去り、ツァラトゥストラだけがその獅子のいる曙光さす場に残っていた、いられたのだろうか。なぜ誰も気付こうとしないのか。
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訳
2016年9月7日に日本でレビュー済み岩波版の次にこちらを購入。岩波版で簡単な表現にされてしまっていたところも細かく訳されていて参考になりました。
瑣末なことですが、個人的に二人称が気になりました。
この書は新約聖書のパロディであるという側面があるため、どうしても「きみたち」というカジュアルな二人称には違和感を禁じえませんでした。また原文に忠実であるために「きみたち」がひとつの文章の中に幾度となく出てくる箇所が多数あるのですが、ひらがなであるためところどころ非常に読みづらく感じました。
また「偉大な天体」は「大地」と同様に死んだ神(これまでの最高価値)より上位に据えようとする意図があるはずなので、
これに対して「おまえ」という二人称を当てるのも本来の意図から考えるに正しいとは思えませんでした(これは手塚訳も同じです)。
あとは「シシ」。なぜ「獅子」としなかったのか理由があるなら知りたいところでした。
訳注も技術的な側面からのアプローチが多く、作品理解を深めるのに役立つものとは思えませんでした。
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ニーチェ様
2015年3月9日に日本でレビュー済み中古本と思えぬ位綺麗な本です。ただ内容が難し過ぎて作者がへそ曲がり過ぎて、中々前に進まないのだ。
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通釈が世界一の豊饒さ
2024年7月8日に日本でレビュー済み西洋にとっては激震だったこの書物も、東洋の土壌にはしっくりくる。それもそのはず、ツアラストラは拝火教の創始者、東洋の人。天を仰ぎ見、天国を夢見る前に大地を見よ!と語りかけるこの書物。日本の『ツアラストラ』は文庫でも通釈が世界一の豊饒さ。秋の夜長にいかがでしょう。
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ここに描かれるのは、人間を復讐から救済するための無限の旅である。
2010年10月9日に日本でレビュー済み三十歳で故郷を捨てて山に入り、「人間が復讐から救済されること、これこそ、わたしにとって、最高の希望の橋」(上巻177頁)と悟ったツァラトゥストラは、自分の得た智慧を伝えるために、居心地のよい自分の洞窟を離れて、人びとのもとへ降りていく。それが没落であると知りながらも・・・・・。
ツァラトゥストラの教えを理解する人間はなかなか現れない。ようやく見つけた理解者たちに対しても、ツァラトゥストラの信者になるのではなく、「自らを見出せ」と厳しく突き放して、ひとり再び山に戻っていく。一つの挫折である。その後、何度も挫折を繰り返しながらも、ツァラトゥストラは人びとの中に入り、自分の智慧を伝えようともがく。
しかし、その繰り返しが生きるということの本質であり、何度でも繰り返す覚悟が必要なのだ。
《これが生であったのか?》それならば《さあ!もう一度!》(下巻332頁)
ルサンチマンのはびこる大衆社会の到来を予見したニーチェは、ツァラトゥストラの口を通して、自分のつかんだ最高の思想たる「永遠回帰」の思想を語る。人びとを復讐から救済するために。
社会を変えるためには、理想を掲げて発言し、行動し続けるしかない。どんなに絶望的な企てであっても、それが永遠に続く挫折の連続であったとしても。ニーチェは、そのことを『ツァラトゥストラ』で後世の人びとに託したのであろう。
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原文に忠実な優れた翻訳
2010年6月1日に日本でレビュー済み2010年時点で現存する各種の翻訳の中では、最もドイツ語原文に忠実な翻訳です。原文と対照してみると、"auch", "doch" なんていう副詞のひとつひとつまで丁寧に訳出されているのがよくわかります。一方、膨大な訳注は、この書を理解するのにあんまり役に立つものとは思いませんでした。ただ、文庫版になったときに追加された訳注は、グロイター版全集に付されている注解をそのまま翻訳したものですが、これはドイツ語が読めない読者には閉ざされていた情報を広く日本語の読者に公表したという意味で、有意義だと思います。翻訳の質の高さと、こういう有意義な情報を収録しているという点で、現時点ではこの古典のいちばんお勧めできる翻訳です。
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難解ですが。
2017年3月30日に日本でレビュー済みツァラトゥストラについては、はじめに岩波文庫版を通読。賛否両論あることは承知しておりますが、取っつきやすさでは岩波版でしょう。巻末の訳者による解説が簡潔ながら要点をおさえ、一読の価値あり。これに中央公論新社から出ている『ニーチェ-ツァラトゥストラの謎』を併せて読めば、細かい注釈無しでも勉強になります。いきなりから細かい解釈論に捕らわれすぎるのでは読書欲を削がれかねませんし。しかし、作品と真摯に向かい合えばいずれは徹底的に読み込むことになります。ツァラトゥストラ探求を究めるなら現時点では本書だと考えます。膨大な量の注釈は、浅学非才の私にはこれだけでもツァラトゥストラへの旅路を思考の迷路に変えてしまいかねない難解なものですが、ツァラトゥストラに至るまでのニーチェをつぶさに辿ること無しには、『神は死んだ』という有名な一節に表されるキリスト教による西欧社会の集団的平等化への強烈なアンチテーゼを提示したニーチェの意図を理解出来ません。注釈のひとつひとつに呻吟することを通して、生半可なニーチェへの取り組みを拒絶する学者の凄味というものを教えられたこの訳者の強靭な力業の前に、これまで積み重ねてきた読書から獲得した教養の真贋が試されました。これからも思い出したように書架から取り出して、生涯に渡ってツァラトゥストラと格闘することになりそうです。そして、ニーチェというと戦時中のナチスの行為規範性への影響が指摘される訳ですが、人間とは生来からして明と暗、善と悪に表される対向する二面性を併せ持つものであり、それはニーチェの主要著書を繙いても明らかです。ニーチェの独白のある一面のみに着目して、行動原理と位置付ける為政者の側の魯鈍な頭こそ非難されて然るべきでしょう。それを責任転嫁と呼ばずして何とするのか。ニーチェに限らず、思想と政治の全体主義化にまつわる論点を如何に克服すべきかは私たち後代に生きるものの務めであり、その意味で功罪相半ばするこの思想家を知る上で貴重な個人全集を遺して下さった今は亡き訳者の偉業に感謝します。
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