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ニーチェ思想がアメリカでどのように受容されたのかを膨大な文献・資料を基に描く論考である。とても、簡単には読みきれないが、1881年時点におけるアメリカ人とニーチェ自身による手紙のやり取りの紹介から本書は始まる。『悲劇の誕生』以後のニーチェの著作の出版の評判が芳しくなかったことを伝えるが、ニーチェ思想とアメリカの関係については、ニーチェ思想をアメリカが受容するには比較的良好な条件が整っていたように思われる。
①「神は死んだ」と述べてキリスト教を批判したニーチェにとって、アメリカはカルヴィニズムの宗教的影響はみられるものの、西欧のようなカトリックの歴史的伝統が弱いので、ニーチェのキリスト教批判は受け入れやすい。
②西洋形而上学の歴史伝統がなく、粗野ではあるが、純粋素朴で無垢な、ニーチェが『ツァラトゥストラはこう言った』で述べた、超人への過渡的段階としての、獅子から子どもへの移行が容易に見てとれる。
③歴史が浅く、ニーチェの歴史への嫌悪と同じく、歴史的伝統を重視する気風がないこと。
こうして見ると、プラグマティズムがアメリカで流行したように、実用主義的で、現実的的で科学的なアメリカの思想的風土は、ニーチェ思想を批判的に受容するのに都合が良いのではなかったか?
著者は、ニーチェがアメリカで受容される前に、ショーペンハウアーの厭世主義が受容されたことを指摘しているが、これがニーチェ思想がアメリカで受容される契機となったのである。ショーペンハウアー→ニーチェ→プラグマティズムという思想的系譜を読み取ることが出来るとすれば、大変面白いことである。ここから先は読者に確かめていただきたい。
アメリカとニーチェの関係にスポットを当てる本書は大変面白い。
お勧めの一冊だ。
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