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  • 穴(新潮文庫)

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穴(新潮文庫)

5つ星のうち3.5 (194)

仕事を辞め、夫の田舎に移り住んだ私は、暑い夏の日、見たこともない黒い獣を追って、土手にあいた胸の深さの穴に落ちた。甘いお香の匂いが漂う世羅さん、庭の水撒きに励む寡黙な義祖父に、義兄を名乗る知らない男。出会う人々もどこか奇妙で、見慣れた日常は静かに異界の色を帯びる。芥川賞受賞の表題作に、農村の古民家で新生活を始めた友人夫婦との不思議な時を描く二編を収録。

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【単行本】小島
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カスタマーレビュー
5つ星のうち3.5 194
5つ星のうち3.7 99
5つ星のうち3.8 48
5つ星のうち3.8 25
5つ星のうち4.3 6
価格 USD 3.88 USD 3.88 USD 4.16 USD 13.40 USD 15.51
【新潮文庫】小山田浩子 作品 奇妙な黒い獣を追い、私は穴に落ちた。仕事を辞め、夫の実家の隣に移り住んだ私の日常を夢幻へと誘う、奇想と魅惑にあふれる物語。 その工場はどこまでも広く、仕事の意味も敷地に潜む獣の事も、誰も知らない……。夢想のような現実を生きる労働者の奇妙な日常。 夫。彼岸花。どじょう。娘──。ささやかな日常が変形するとき、「私」の輪郭もまた揺らぎ始める。芥川賞作家の比類なき15編を収録。 豪雨災害に見舞われた農村にボランティアとして赴いた私がふと目にした、花の世話をする住人らしき女性。その周りだけ、違う時間が流れていて――被災地、自宅、保育園といったさまざまな場所で出会う何気ない出来事をつぶさに描いた中短篇の他、広島カープをめぐる奇談連作も収録。海外でも注目を集める作家の最新作品集。 海外でも翻訳多数の気鋭作家が、コロナ禍で露わになった日常の「キワ」を緻密に描く。超絶ミクロ描写にハマること必至の最新連作。

登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B01N7KS1FQ
  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社
  • アクセシビリティ ‏ : ‎ 詳細はこちら
  • 発売日 ‏ : ‎ 2016/8/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ファイルサイズ ‏ : ‎ 583 KB
  • Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) ‏ : ‎ 有効
  • タイプセッティングの改善 ‏ : ‎ 有効
  • X-Ray ‏ : ‎ 有効にされていません
  • Word Wise ‏ : ‎ 有効にされていません
  • 本の長さ ‏ : ‎ 137ページ
  • Page Flip ‏ : ‎ 有効
  • Amazon 売れ筋ランキング: Kindleストア - 36,203位 (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
  • カスタマーレビュー:
    5つ星のうち3.5 (194)

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194グローバルレーティング
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お客様のご意見

お客様はこの小説について、以下のような評価をしています: ストーリー展開が悪く、展開がなく終わったという意見があります。また、穴に潜む虫が何を言いたいのかよくわからないと指摘しています。内容については、広島市在住の作家がどうしても読んでおきたい作品だと感じています。 一方で、内容が期待外れだったという声もあります。 全体的に、面白く楽しい本で、現在の世の中をうまく表現していると評価されています。 ただし、著者の宣伝文句に期待外れであったという指摘もありました。
お客様の投稿に基づきAIで生成されたものです。カスタマーレビューは、お客様自身による感想や意見であり、Amazon.co.jpの見解を示すものではありません

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5人のお客様が内容に言及し、3人が肯定的、2人が否定的です
お客様はこの作品について意見が分かれています。広島市在住の作家としてどうしても読んでおきたい作品であり、楽しい本だと評価しています。また、現在の世の中をうまく表現していると感じています。一方で、宣伝文句に期待外れだったという指摘もあります。
楽しい本で現在読んでいます。 現在の世の中をうまく表現していると思いました。 むつかしい漢字があるので時にはフリガナも必要です。もっと読む
作品の主張したいことが全くわかりません 何故、これが文学作品??? 期待外れでしたもっと読む
広島市在住の作家で、芥川賞受賞作は広島県人としてはどうしても読んでおきたい作品でした。読んでみて、作家が何を言いたいのか自分にはもやっとして、よくわからなかったというのが、正直な感想です。もっと読む
これが賞を取った作品? あまりにも突拍子的、空想的。宣伝文句に期待外れ。 わたしが文化人でない凡人かも。もっと読む
5人のお客様がストーリー展開に言及し、0人が肯定的、5人が否定的です
お客様はこの小説のストーリー展開について不満を感じています。なんてことないストーリーで、展開がなく終わりました。虫が何を言っているのかよくわからず、何の話なのか焦点が定まっていないという意見もあります。また、「穴」だらけの小説だという指摘もあります。
...読んでみて、作家が何を言いたいのか自分にはもやっとして、よくわからなかったというのが、正直な感想です。もっと読む
どのように展開するのか、期待して読み進めましたが、、展開なくおわりました。 穴に潜む、虫が何を言わんとしているのか、よくわからなかった。 敷地に住むニートの兄の存在も、実在なのか幻なのか。 私には理解不可能でした。もっと読む
ちょっと奇妙な感じのお話し で、結局何の話なのか焦点が定まってない印象もっと読む
なんてことないストーリーもっと読む

日本からのトップレビュー

  • 星5つ中5つ
    2014年1月30日に日本でレビュー済み
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    楽しい本で現在読んでいます。 現在の世の中をうまく表現していると思いました。

    むつかしい漢字があるので時にはフリガナも必要です。

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  • 星5つ中3つ
    奇妙な話
    2023年6月5日に日本でレビュー済み
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    ちょっと奇妙な感じのお話し

    で、結局何の話なのか焦点が定まってない印象

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  • 星5つ中4つ
    主体性が無い女は穴に落ちる
    2015年7月11日に日本でレビュー済み
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    物語の前半は、派遣社員で働く私。

    同じ派遣社員の同僚から語られるグチが、

    リアルでちょっとイカレている。

    既に同僚は、ある種の穴に落ちている模様。

    後半では夫の転勤に伴い、

    派遣社員を止めて何もない田舎に引っ越した私。

    義家族の隣での生活が始まる。

    やる事もなく、だんだん自分を見失い、

    奇妙な穴に落ちる。。

    主体性なく流れるままに生きる女は、

    皆、自分を見失い、

    どこかの家に組み込まれてしまう。。

    実際には存在しない義兄の登場は、

    潜在意識からの警告だろうか?

    14人のユーザーが役に立ったと感じています
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  • 星5つ中5つ
    とても繊細です
    2015年12月16日に日本でレビュー済み
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    映画のカメラワークを描写しているような文章…時々どきりとする内容…だけど身近…でもなんだかハッピーエンド…繊細な表現力の著者に今後も期待します!…

    3人のユーザーが役に立ったと感じています
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  • 星5つ中2つ
    水増しした文章
    2014年2月14日に日本でレビュー済み
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     小山田浩子「穴」は第百五十回芥川賞受賞作品。私は眼が悪いので、最近はほとんど小説を読んでいない。芥川賞の発表のときに文藝春秋を買って読む程度である。だから、いまの小説の「文体」というものになじんでいないのだけれど……。

     読みはじめてすぐ、つらいなあ、と感じた。読みづらい。

     私は夫とこの街に引っ越してきた。五月末に夫に転勤の辞令が出、その異動先が同じ県内だがかなり県境に近い、田舎の営業所だったためだ。営業所のある市が夫の実家のある土地だったので、手頃な物件でも知らないかと夫が姑に電話をかけた。

     書き出しだが、最初の文は読めたが、あとは、うーん、つらい。ことばに「音楽」がない。「音楽」のかわりに、「説明」がある。「転勤」「辞令」「異動」は、同じことをいいえ変えているにすぎない。「県内」「県境に近い」「田舎」も、私は同じことを書いていると感じる。ことばが進んでゆかない。停滞している。しかもその停滞が、「名詞」の言い換えにすぎない。動いているのに、動いても動いても同じところにいるという不条理な停滞ではなく、動きはまったくないのに「名詞」を書き換えることで動いているように見せかけている。「営業所のある市」「夫の実家のある土地」も同じ。情報量が少ないのに情報量が多いふうに装っている。情報の少なさを「名詞」の書き換えでごまかしている。

     こんな比較は間違っているのかもしれないが、森鴎外や志賀直哉だったら半分のことばで書いてしまうだろう。小山田の文章は「散文」になっていない。「事実」をつかんで、「事実」を積み重ねて進むという散文精神が抜け落ちている。

     「じゃあうちの隣に住めば?」「隣?」「うちの借家があるじゃない。ついこの間空いたのよ」姑の声はよく通り、夫の脇にすわっている私にまでその声が聞こえた。

     「名詞」が重複しない場合でも、同じである。

     「ついこの間」は、ひどく説明的である。読んでいて、いらいらしてしまうくらい、もたついていて、とても母と息子のやりとりとは思えない。「ついこの間」なんて説明はしてもらわなくてもいい。ないほうが「ついこの間(突然)」という感じがわかる。書かなくていいことが、小山田の文章には多すぎる。「声はよく通り」「脇にすわっていた私にまで(略)聞こえた」も、書かなくてもわかることがわざわざ書かれている。省略したのは「その声が」ということばだが、ないほうがことばの運びが速くて、軽く読めるでしょ?

     まあ、速い文体を避けた。現実にはりつくような文体を作り上げた、と言えるのかもしれないけれど、私には、ただぎっしりとことばを埋めたみたという感じしかないなあ。

     ことばに飛躍がなく、飛躍のつくりだすリズムがなく、ことばが「音楽」として響かない。私は黙読しかしないが、このしつこい説明にげんなりした。声で聞いたりしたら、さらにげんなりするだろう。小山田は自分の書いたものを声にして読んでみたことがあるのだろうか、と疑問に思った。こんなにまだるっこしくては、舌がもつれてしまう。のどが疲れてしまう。

     私は卓上のメモに『一戸建て?』と書いて夫に見せた。夫はうなずき、手を伸ばしてそのメモに『にかいだて』と書いた。

     これは映画の一シーンにすればおもしろいだろうなあと思う。でも、小山田のことばではスピードが遅すぎて、影像がスローモーションになってしまう。「書いて夫に見せた」と書かなくても「書いた」で十分夫に見せたことはわかる。夫に見せたくて書いているのだから「見せた」と書かれると、「シーン」を見ている(現場に立ち会っている)というよりも、ただことばを聞かされていると感じてしまう。「事実」を明確にするためにことばを動かすというより、ことばを動かすために「現実」を利用しているという感じ。「小説」を読んでいるというより、小説になる前の「未整理のことば」を読んでいる感じといってもいい。「手を伸ばして……」の部分で言えば「そのメモに」がのろのろしすぎている。説明が多すぎて、つまずいてしまう。せっかく『にかいだて』とひらがなまでつかって「現実」を明確にしているのに、「そのメモに」などと書いてしまう神経がわからない。「そのメモ」以外の何に書くのだろう。手まで伸ばしているのに。

     私は卓上のメモに『一戸建て?』と書いた。夫はうなずき、手を伸ばして『にかいだて』と書いた。

     省くと速くなるでしょ? 「書いた」という動詞が「見せるために」(声に出して聞く替わりに)を含んでいることは、状況から「わかる」でしょ? 「肉体」で「わかる」ことを小山田はことばで説明するから、その説明を読んでいる間、「肉体」の動きがスローモーションになる。「肉体」のなかで融合しているものを、わざわざ「頭」で分離して、文字を読まされている感じがしてしまう。

     こんな文章が芥川賞でいいのかなあ。

     好意的に読めば。

     このくだくだしい文体、現実に触れるというよりも、現実の表面を何度も何度もなぞることで、ことばと現実の間に何も入れないようにしておいて(何も紛れ込ませないようにしておいて)、「黒い獣」「穴」という非現実(説明を省略した何か)を印象づける--ということかもしれない。

     こりゃあ、知能犯だね。確信犯--ととらえれば、まあ、そうなのかもしれないが、でも、選考委員はこれくらいの「確信犯」に「まいりました。おみごと」と言ったわけ? 選考委員の理想の文体(?)は、こういう「頭でっかち」のしつこさ?

     なんだかげんなりするなあ。

     あ、私の感想は、ぜんぜん好意的に読めば、になっていないね。好意的になろうにも、書くとすぐにいやになってしまう。

     でも、一か所くらいは、おもしろいと書いておこう。

     葬式の「一本花」の部分、参列した老人のことば、

    「お花がね、こういう時は一本。いっぽんにするのよ。それがこのへんの決まりなのよ」「よそじゃ知らんが」「あらよそじゃ違うの?」「よそのことなんか知らんが」「とにかくいっぽんばなよ」

     だけはおもしろかった。ここには「よそじゃ知らんが」「よそのことなんか知らんが」と、ほぼ同じことばが繰り返されている。しかし、ことばは同じなのに「感情」がまったく違っている。「感情」が違うことで、ことばに「音楽」をつくりだしている。この瞬間に、ことばでは説明できない「肉体」がみえる。あ、「わかる」と「肉体」が納得する。こういう言い方を、ひとはするものである。そして、そういう言い方をするときの「人間」の顔や形がぱっと浮かんでくる。そういうことを言う「おばあさん」を「肉体」が思い出してしまう。

     小説とは、たぶん、同じことばなのに「意味が違う」と感じさせることばの運動のことなのだ。「意味が違う」のに、説明抜きで「わかる」と感じさせてくれることばなのだ。ここに書かれている「会話」のように。

     この、ことばにならない「わかる」が響きあって、小説の「音楽」をつくる。それを聞くのが「小説」の楽しみというものだ。

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  • 星5つ中3つ
    よくわからない?
    2014年2月11日に日本でレビュー済み
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    これが賞を取った作品?

    あまりにも突拍子的、空想的。宣伝文句に期待外れ。

    わたしが文化人でない凡人かも。

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  • 星5つ中1つ
    「穴」だらけの小説
    2014年2月24日に日本でレビュー済み
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    これは「穴」(足りないもの)がいろいろある小説だ。

    まず、エコノミー(簡潔さ)がない。

    最初の契約社員同士の会話が長すぎる。

    引っ越しの描写も長すぎる。

    けっこうあくびが出る。

    後の展開の前提であることはわかるし、「日常」の描写そのものが無意味であるわけでもないから、長さ自体が問題ではない(饒舌でぐいぐい引っ張っていく作家だっている)。

    文章にメリハリもなければあざやかな手際もないのに、無駄に長いことが語りのエコノミーに反する。

    オリジナリティがない。

    奇妙な獣との出逢いから「異界」へ、そこには蝉やらコメツキムシやら蟻やらムカデやら「虫」がいっぱい(過疎地なのになぜか子供もわらわらと出てくる)。ルイス・キャロルやカフカの影響を作者は隠そうともしていないけど、模倣としてもあまりに凡庸。

    そもそも「日常の中の異界」にはもう飽き飽きだ。

    おかしな獣や過疎地にあふれる子供の群、さらに存在そのものがあやしい「義兄」なんか出さなくても、「日常の中の異界」は描ける。最近、柴崎友香が『週末カミング』でやったことを見てみたまえ。

    要するにこの作品に(作家に)決定的に欠けている「穴」は「筆力」なのだ。

    だとしたら、致命的?

    しかし、一方では「巧さ」の芽吹きが随所にあるのもたしかだ。ちゃんとした編集者がちゃんと鍛えれば、いい作品が書ける可能性がないではない。

    ……でも、今時ちゃんとした編集者なんていないか。

    芥川賞作家に「筆力」のない作家がこんなに山ほどいるのはまともな編集者の不在が最大の原因だ。

    この作品を担当した編集者も「百枚書かないと芥川賞の選考対象にならないから百枚書いて」と馬鹿なことを言ったに違いない。

    作家をほんとうに育てようという編集者なら「同じ話を今度は三十枚で書いてみろ」と命ずるはずだ。

    編集者も作家も大衆文学作家の「書き方」を勉強すべきだ。彼らは実にエコノミカルに書く。しかも表現力は豊かだ。

    作家の筆力とはこういうものだ、と教えてくれる。

    20人のユーザーが役に立ったと感じています
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  • 星5つ中4つ
    ほぼ誰にも似ていない素晴らしさ
    2014年3月11日に日本でレビュー済み
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    「穴」『新潮』2013年9月号所収

     夫の転勤で非正規の仕事を辞め、大雨の日に夫の実家の隣に建つ借家に越してきた視点人物の『私』はその家で殆ど何もすることがない生活に気付いてしまう。

     途中で生命連鎖の話が出てきて理に落ちるのかなとヒヤヒヤしたが、結構強引にそれを回避し情にも流れなかったのは流石。薄気味の悪い描写が多い中で葬式の場面でご近所の(もしかしたら殆どが架空の)老人たちがワラワラと現れるシーンが出色。

    「いたちなく」『新潮』2013年7月号所収

     三が日も過ぎた頃、視点人物『僕』の許に若い妻を貰った友人からの引越しと結婚の報せが届く。築五十年の家を買い、リフォームしたところまでは良かったが、いたちの出現に悩まされているという。不妊に悩む妻を伴いシシ鍋をご馳走になりに友人宅に向かう視点人物夫婦だったが…… いたちに対する処置が豆知識になっていて面白いが、話としては妻の不妊がその輻輳に繋がってゆく。

    「ゆきの宿」書き下ろし

    「いたちなく」の続編。友人の妻が子を産んだ。『僕』の妻はいつの間にか友人の妻と懇意になっていて彼女の母が現れるまで――また『僕』の友人と連絡が取れるまで――ずっと病院で付き添いをしたのだったが……

     前話に登場する意地悪婆さん(ババア)が趣向を変えて再登場して生命連鎖の妖精(?)役を担う。

     一冊を通してテーマが明確になっているが、その分インパクトに欠けてしまったのが残念。

    4人のユーザーが役に立ったと感じています
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