湿原
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湿原(しつげん)とは、湿地(英: wetland)の一種で、淡水によって湿った草原を指す[1]。英語ではムーア(moor[2][3])またはボッグ(bog[3] )と訳される。
学術的・行政的な定義はケースにより様々で、共通の汎用的な定義があるわけではない[4]。近年ではこの保護に関心がもたれ、重要な湿地の生態系保護を目的とするラムサール条約等が存在する。
湿原の種類
[編集]泥炭地と非泥炭地
[編集]フェンとボッグ
[編集]森林では落ち葉や枯れ枝が微生物によって分解され、土となることでまた植物に吸収されるため、養分が不足することはない。しかし湿原では植物遺体が泥炭となるため養分の循環が発生しない[6]。そして泥炭地湿原は、植物遺体が堆積していくことにより年間約1ミリメートルほどの速さで厚くなっていく[6]。
低層と高層
[編集]湿原は周囲の水域との高低差によっても区分される[9]。
- 低層湿原
- 泥炭表面が低く、周囲の水域と同程度の高さの湿原。
- おおむねフェンに相当するが、例外もある。
- 高層湿原
- 周囲から流入する水が届かない高さまで泥炭表面が発達した湿原。
- おおむねボッグに相当する。
気候区分ごとの湿原所在地
[編集]湿原は、砂漠のような極度に乾燥した地帯を除く、地球上のいたるところに分布している[10]。
- 亜寒帯
- ユーラシア大陸 - 寒冷な気候のため湿原は永久凍土になっており、ツンドラと呼ばれる。東シベリアからウラル山脈にかけて分布しており、特にレナ川の流域に多く見られる[11]。
- 北アメリカ大陸 - カナダ北西部からアラスカにかけて大規模な湿原が広がる。低い岩地によって細かく仕切られているのが特徴[11]。
- 南アメリカ大陸 - パタゴニアに大規模な湿原がある[11]。ティエラ・デル・フエゴのフエゴ島の湿原は、古くからの放牧によってかなり失われている。またナバリノ島には世界最南端の湿原がある[12]。
- オセアニア - タスマニア島に存在する[11]。
- 温帯
- 比較的気温の低い「冷温帯」によく見られる。面積はあまり大きくないが、それぞれに多彩な特徴がある[12]。
- ヨーロッパ - 地中海沿岸からスカンディナヴィア南部まで。ユトランド半島。黒海沿岸のドナウ川河口地帯[12]。
- 東アジア - 中国東北部からやや南にかけて[13]。
- 北アメリカ大陸 - 太平洋・大西洋の両沿岸部[13]。
- オーストラリア - 東沿岸部[13]。
- 暖帯
- 地中海沿岸 - アフリカ大陸北部、スペイン・フランスの南部[13]。
- 熱帯・亜熱帯
- 他の地域と異なり、海辺にマングローブが発達している[13]。
- 東南アジア - 同地域の諸国、バングラデシュ、インド[13]。
- 北アメリカ大陸・メキシコ - メキシコ湾沿岸部[13]。
日本の湿原
[編集]日本では北海道や東北地方などに大規模なものが見られる。谷地、田代と呼ばれる場合もある。なお、日本の湿原の約6割程を占める北海道の釧路湿原は、釧路湿原国立公園の保護地域となっている。この日本で最大の釧路湿原は、1980年6月に日本で最初にラムサール条約の登録湿地となった[14]。
日本のラムサール条約登録湿原
[編集]脚注
[編集]- ↑ 矢部 2014, p. 11.
- ↑ 文部省 編『学術用語集 地理学編』日本学術振興会、1981年。ISBN 4-8181-8155-2。
- 1 2 文部省、日本植物学会編『学術用語集 : 植物学編』(増訂版)丸善、1990年。ISBN 4-621-03376-X。
- ↑ “<湿原・湿地の定義に関する参考資料>”. 国土交通省国土地理院. 2025年1月21日閲覧。
- ↑ 矢部 2014, pp. 12–13.
- 1 2 矢部 2014, p. 13.
- ↑ 矢部 2014, p. 16.
- ↑ 矢部 2014, p. 15.
- ↑ 矢部 2014, p. 17.
- ↑ 辻井 2013, p. 14.
- 1 2 3 4 辻井 2013, p. 15.
- 1 2 3 辻井 2013, p. 17.
- 1 2 3 4 5 6 7 辻井 2013, p. 18.
- ↑ “釧路湿原国立公園”. 環境省. 2011年8月18日閲覧。
参考文献
[編集]- 辻井達一『湿原力 神秘の大地とその未来』北海道新聞社、2013年3月15日。ISBN 978-4-89453-689-0。
- 矢部和夫「湿地とは何か」『湿地への招待 ウェットランド北海道』、北海道新聞社、2014年9月6日、10 - 23頁、ISBN 978-4-89453-752-1。