見出し画像

虎猫からの手紙【93】仮釈放という現実②──甘さの自覚と、言葉の重さ

以前、無期懲役の仮釈放について調べた内容をもとに、虎猫と現実的な準備について話し合いました。

その中で私は、虎猫の考えにいくつか気になった点があり、率直な思いを伝えました。

今回は、その手紙を読んだ虎猫からの返事です。

※前回の記事はこちらです。


虎猫より

仮釈審査の話で、気になったことを率直に書いてくれてありがとう!
「なぜ事件を起こしたのですか?」に対して、
「自分の弱さが全てを招いた」との答えに違和感を覚えたのね。

確かにそうだよね。
「弱さ」の一言では、「弱さ」のせいにしているように聞こえてしまうよね。

私自身も、事件について何を言っても、言い訳にしか聞こえてこないです。理由を一つずつ並べて説明することはできません。

自分でも、理解できない部分があるのです。
とはいえ、どんな理由であろうと、私がしたことは絶対に許されることではないのは分かっています。私の行為は、社会では赦されないことです。

「弱さ」と「罪を犯すこと」は違う。
それはもっともです。
弱さだけで人の命を奪う行為にはならないのもその通りです。

私は、何を言っても他人に対してだけではなく、自分自身に言い訳をしているようにしか聞こえてこないから、身勝手さ、未熟さ、人間性の醜さ、愚かさ、ズルさなど、当時の私の卑怯極まりない人間性を挙げて、それが事件を起こしたと言いたくなかったのです。

私は、自分の欲求や身勝手な考えで起こした事件の重大さ、被害者の無念、遺族の悲しみや苦しみを想像しながら向き合い、一生背負っていく覚悟でした。

二度と絶対にこのようなことはしないと、自分自身に深く誓った!
こういう言葉は、自分自身を慰め、自分を許そうとしているように、私は内心では思っていました。
何を言ってもただの言い訳でしかないから、「全ては私の弱さが招いた」としか言えなかった。
これも立派な言い訳にしか聞こえてこないよね。
弱さに逃げ込む、弱さを盾に責任を押し付ける……

白猫が感じた違和感は正しかった!
私は、自分の罪の重さ、自分という人間の醜さから逃げようとしている。
「弱さ」のせいにして!

すると『X』(内なる声)が、
『オマエは自分から逃げられないだけじゃない、白猫さんからも絶対に逃げられない。
オレからもだ!』

虎猫:「オレは全く逃げるつもりはなかったし、白猫の感じた違和感は理解できた。でも、自分ではそんなつもりはないと思ってたよ!」

X:『いや!オマエは逃げているんだよ!
楽なほうに逃げてるんだよ!
オマエは自分では事件のことすべてと向き合ってきたつもり、すべてを受け入れたつもり、自分自身の成した行為の責任をテメエという人間の卑劣さとして受け止めているつもりだが!いざ、真正面から聞かれると、オマエはまたその苦しい醜い自分と向き合うのを無意識に避けている。
いや!臆病的に逃げているんだよ!
よく考えてみろよ!イヤだろう!苦しいだろう!嫌いだろう!あの醜いオマエが犯した事件の全貌と向き合っている時の苦しみが!
人の人生、命を奪った気持ちをオマエは無意識に封印しようとしてるんじゃねぇのかい!
だから、白猫さんの質問に対して、中途半端に答えたんだろうが!』

虎猫:「中途半端なつもりはなかったが、確かに弱さの一言で括りをつけた。オマエの言う通りだよ。オレは楽なほうに逃げている。甘さの表れだ。」

X:『白猫さんは、そこを見逃さなかっただろう!オマエには逃げずにちゃんと答えてほしかったんだよ!』

白猫の指摘も、『X』の指摘も正しかった。
弱さは言い訳にはならない。
私より弱い立場に置かれた人でも、罪を犯さずに逆境を乗り越え、立派に生きている。

また、自分自身に対する認識の甘さを思い知ることになった。
背負っている罪の重さから、無意識に目を背けようとしていた。

私は、起こした事件の責任を人生の最期まで背負って生きていかなければならない。
その当たり前のことを忘れかけていた。
償いという覚悟が、まだ甘かったよ。
言ってくれて、本当に感謝している。

私は、白猫の指摘や突っ込みが好きです。
甘い言葉よりずっとね。

X:『オレには言い返せないだろう。オレだってすべてオマエのために言っているのだから。』

虎猫:「確かにそうだけど、オマエの言葉がキツイんだよね。」

X:『オマエには優しい言葉が通用しないから、オレがこういう喋り方になったんだろうが。』

虎猫:「分かった!手紙を書いているから静かにしてくれる?」

X:『オレは好きなときに喋るから、忘れるな!
オレの言葉はすべてオマエのためにあるからな!』

変な感じの手紙になったけど、大丈夫!?

誰と喋っているのか訳が分からなくなる〜!

再犯率リスクの自己分析で、私が崩れる条件は、「白猫が被害を受けたこと以外にない」と書いたけど、これは愛を示す言葉でもないのです。
自由の身ではないので、白猫が被害を受けても私は何もできずに崩れるしかありません!
だから、一緒に消えるだろう!

X:『オレが許せない!白猫さんは絶対にそんなことは起きないから心配するな!
そして、白猫さんに心配かけるような言葉を喋るな!』

また始まったけど……

虎猫:「私はありのままの気持ちで白猫と向き合いたいから、カッコつけるとかはしないよ!」

X:『オレが白猫さんは大丈夫だと言ったから大丈夫だよ!オレの言葉を白猫さんに伝えろ!』

『X』が、白猫は大丈夫だって〜笑!

虎猫:「なんで断言できるの?」

X:『………!』

無言モード突入…!?

話を戻すね。
私はもう、人の命は奪わないと誓ったのです!
それは絶対に守ると思っています。
でも、白猫が被害を受けて、私が何もできないままだったら、残りの選択は一つだけです。
一緒に消えます。だから心配しないで、仕返しはしませんが、この世に一人でいることはできません。

私の中に危うい回路が残っていることは認めます。人様の大切な命を奪った私がこの考えを持っているのは、すごく矛盾していることは分かっています。
でも、白猫がいなかったら、理屈でもなんでも関係ない!
警察や法律、社会の仕組みなんて勝手にやればいい!
最愛の人が被害を受けたら、黙って相手が裁かれるのを見ている強さは残念ながら私は持っていません!
その壁は、私にはまだ越えられない。
でも、人に被害は与えないよ!

ここまでの話は例え話だけど、またしても私は自分の「弱さ」を思い知ったね。
こうして考えるだけでも感情が熱くなってしまったよ。
その瞬間は、社会のルールだとか、どうだっていいと思ってしまいました。

これからも違和感を感じたら、遠慮なく突っ込んでくださいね。怒ったら怒ってください〜

X:『そうだよ!白猫さん!コイツはオレの言うことより、白猫さんの言葉のほうが聞くから。』

虎猫:「ウルサイんだよ!ずっと無言モードにしろよ!で、なんで白猫が大丈夫なのか分かるの〜?」

『………』

はい!それでいい〜笑!


白猫より

虎猫は「弱さ」という一言が、無意識のうちに自分を守る表現になっていたかもしれないことを、改めて見つめ直していました。

そして今回も『X』は虎猫に厳しく問いかけています。その姿は、虎猫自身が自分から逃げないための声であるように感じました。

もう一つ印象に残ったのは、『X』が私にも語りかけていることです。

いつの間にか、虎猫と『X』、そして私の三者で対話をしているような、不思議な感覚になっていました。

それが何を意味するのかは分かりませんが、今後は3人での会話が増えていくのかもしれません。

また、『白猫さんは大丈夫だ』と断言しながら、その理由を聞かれると無言になってしまう『X』には思わず笑ってしまいました。
理由があるのなら、いつか私にも教えてほしいものです。

一方で、「私が被害を受けたら、一緒にこの世から消える」という虎猫の想いには、立ち止まって考えたいです。

この考え方を依存と受け止める人もいるかもしれません。でも私は、それだけで片づけられるものではないと思っています。

虎猫にとって、白猫との関係が、生きる力や未来を考える大きな支えになっていることは、これまでの手紙を通して伝わってきました。
その生き方や想いを、私は受け止めています。
虎猫の性格や、生きてきた人生を知っているからこそ、その想いに至る理由は理解できます。
しかし、「だから一緒に消える」という結論までは、私は簡単には整理できません……。

それでも、人をここまで大切に思う気持ちの深さは、否定できるものではないと思います。
その愛が向かう先については、今後も問い直していく余地があると感じています。

虎猫にはこれからも遠慮せず、感じたことや違和感は率直に伝え続けます。それもまた、一緒に歩んでいくための、大切な対話だと思っています。

その積み重ねが、虎猫が自分自身と向き合い続ける力となり、より誠実に生きていく歩みにつながることを願っています。



いいなと思ったら応援しよう!