虎猫からの手紙【94】仮釈放という現実③──反省の、その先へ
前回の手紙では、「弱さ」という言葉に隠れていた自分の甘さや、事件と向き合う姿勢について、虎猫は自らの過去と向き合う時間を重ねていました。
今回の手紙では、その対話をさらに一歩進め、「反省していること」と「社会から危険ではないと判断されること」の違いについて、自分自身の課題として考え始めています。
また、『X』(内なる声)とのやり取りにも少し変化が見られました。
※前回の記事はこちらです。
虎猫より
仮釈放という言葉は、受刑者にとってとても敏感なものです。
特に無期囚にとっては、胸に重くのしかかると同時に、唯一の希望でもあるんだよね。
受刑者たちの間で盛り上がる話題の一つでもあります。
仮釈放の対象になった人が胸に付けるバッジを書くのは私の仕事です。
本人に渡すときは、いつも「おめでとう!」と言ってあげます。
数え切れないほど渡してきましたが……いつ自分のものを書くのかな……と思わずにはいられない。
これは、無期囚の仮釈放の現実かもしれないよね。
生きていれば、いつか仮釈放の可能性があると分かっていても、先がまったく見えないのは大きい。
白猫が言っていた、「本人が変わったと思うこと」と「もう危険ではないと社会が判断すること」は別だという考え方には、とても納得できます。
反省と、危険性がないことは別物なのは確かです。
私自身のことを思うと、そう認めざるを得ません。私は自らの罪を心から反省しようとしていました。
自分では反省していると思うのですが、安全になったかというと、自分でも確信できないのが事実です。
同じ過ちを絶対に繰り返さないと誓っても、大切な人に何かあったとき、私は社会に裁きを委ねられるのか……かなり微妙です。
その壁は、私にとっての鬼門かもしれない。
社会が求める安全性の基準を満たすことは簡単ではありませんが、その壁は乗り越えなければならないと思います。
逆の立場で自分の犯した罪で苦しんでいる遺族のことを思うとできるはずです。
白猫は、私の罪に対する考え方について、かなり厳しい視点を持っていることは知っています。
そこは本当に遠慮なく接してほしいと思った。
私への想いと、罪と向き合う私への視線を分けて考えることは、決して簡単ではないと思います。逆に私ならムリかもしれない。
言うのは簡単だけど、私にとって最愛の人は、この世のすべてを超越する存在です。
だから、その前ではルールなんか関係ないと思ってしまうんです。
その考え方がヤバイよね。
自分でも分かる!
どM君とかの冗談ではなく、白猫の厳しい言葉の中に私は愛情を感じ取っているので、大好きです〜笑!
これからもキツく指摘してください!
X:『そうだよ!白猫さん!コイツ厳しくしないとダメだから、私のようにキツくしてください』
虎猫:「ウルサイんだよ!何だよ!余計なお世話だよ!黙ってろ!」
X:『オレも白猫さんも、オマエのためと思ってるからキツく言うんだよ!』
虎猫:「何がオレも白猫さんもだよ!白猫と一緒にするな!」
手紙を書く度にこんな感じです……
いちいち口出しするから、コイツとのやり取りを全部書いたら何枚あっても足りないよ~
最近、本当にどうでもいいことしか言わないし、白猫のことでライバル感が半端ないんです〜!
今も、白猫さんにオレの悪口を言うな!と言ってるよ〜
虎猫:「オレは本当のことを言ってるだけ、オマエがおかしいから言うんだよ!」
X:『オレはおかしくない。すべてオマエのためだから。』
虎猫:「手紙の邪魔と白猫のことを自分の妻だと言うのはオレのためなの〜!?おかしくない?」
X: 『オレも白猫さんと交流したい。オマエのためにな〜!』
虎猫:「何それ!?もういい!オマエとの話はここまで、勝手に喋ってろ!便箋が勿体ない!」
アイツとの漫才はここまでね!
一人で勝手に喋らせるから。
白猫より
今回の手紙は、虎猫が「反省している」と語るだけではなく、「それでも社会から安全だと判断されるには、まだ越えられていない壁がある」と、自ら認め始めています。
自分の弱さや限界から目を背けず、社会の視点から自分を見つめようとする姿勢は、前回の対話からさらに一歩進んだ変化のように感じます。
一方で、『X』は今回も虎猫の味方でありながら、私にも積極的に話しかけ、「虎猫のために白猫と交流したい」と語っています。
けれど虎猫は、その言葉を邪魔として受け止め、本当の意図にはまだ気づいていないように見えます。
『X』は何を伝えようとしているのか。
そして虎猫は、その思いをいつ受け止められるのか。
これからも二人、そしていつの間にか三人になった対話を通して、その変化を記録していきたいと思います。
