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トラックボールだって自作したい。


トラックボール"だって"ということは、トラックボール以外は既に自作しているということでもある。実はトラックボールも今回が2度目にはなるのだけど、前回は木から球体を削りだしたと言う方がきっと正しい。トラックボール以外というのは、無論キーボードやキーキャップといったいわゆる自作キーボードのことだ。単なる消費ならまだしも、自作をしても尚自作していない他所から調達してきたパーツに満足できない僕はどこかおかしいのかもしれない。しかしものづくりを通して、日々精神が変容し感覚が研ぎ澄まされていくようなカタチでの"自らの向上"が、消費なんか比べ物にならないくらいの充足を僕にもたらしてくれるのも確かで、モノを作ることの気持ちよさはきっとこんなところにもあるのだろう。孤独でありつつ非常に濃密な対話でもある。今の人はもっとこう頭を捻ることを言うけれど、昔の人の言う"考える"って言葉は恐らくこれに近い。

自作キーボードというものに、またはその文化に、手を出して以来ずっとその沼に足を引き摺られ続けている。因みに不快感の解消を自分でやるのを文化、他人にやってもらうのを文明と言うんだそうな。自作キーボードには必ずそれを作った人の文化が宿っている。だからいいんだよね。
好きなことはやらずにはいられないと言うけれど、ここ1年近くほぼ毎日、自作キーボードは僕を楽しませてくれている。小人キーというキーボードを作ってからというもの、さらにその勢いは加速している。元々タッチタイピングだって出来なかったのが嘘みたいだ。時々こう言う予定外の流れに思いっ切り飲み込まれてみるのがいい。

誰が読んでくれているか分からないから、僕の代表作なんて言うのは気が引けるんだけれども、小人キーの写真でも貼り付けておこうか。

小人キー夜
少し前の写真だから、鉄球を使うのにトラックボールケースを逆さまに付けている。
今は新しいXIAOカバーを用意しているからそのままの向きでOK!
小人キー素
トラックボールの色は編集で着色
小人キー陽
黄色の染め球を基に少し本体に寄せるように色味を編集

トラックボールの色をそれっぽく編集しちゃってるものもあって、後々の内容が少しブレることもあるから、あまり気にしないでほしいんだけどね。
まぁ、僕の理想形はこんなところかな〜って作ってみた画像だと思ってくれればいい。人様に見せられるようなちゃんとした写真があんまりなくってだ、、

こちらで販売中!!


そもそも小人キーって何だよって人に説明しておくと、横から見た時に漢字の"人"みたいな形になる"キーボード"の"小"型版ということで小人キー。親指ユニットを折り曲げることでキーボードに角度を付ける、いわゆるテンティングってのが出来るなかなかおかしなキーボードだ。おかしなキーボードとは言ってみたが、一般的なキーボードから考えたら、むしろおかしなところしかないと言い切ったっていいくらいか。僕は野暮だから全部挙げてやろうか?

・キー数40(Macbookは大体80くらいある?) おかしい。
・カラムスタッガード(行ではなく列でキーがズレている) おかしい。
・トラックボールが付いている。おかしい。しかも2個。おかしい。
・左右分割 おかしい。
・16mmピッチ(19mm程度が一般的)の狭ピッチ おかしい。
・変形する。おかしい。
・キーキャップのエッジが円弧を描いている。おかしい。

こんなんだからこれを愛用している人や制作者本人だってここに追加してやってもいいのかもしれない。嘘だよ。ありがとう。愛してるぜ😘
自作キーボード界隈だともはや上4つはおかしくも何ともなくって、僕もいくらか毒されているんだろう。これらを列挙するのに少し苦労してしまった。

で、この小人キーに採用した色は、いくらか気になるフィラメントを買ってみて僕がいいな〜ってときめいたものから厳選したもので、これまた少しクセが強い。黒かと思ったら少し青みがかっていたり、白かと思えば何だかくすんでいる。真っ黄色なんて言うまでもないだろうか。こんな色たちを選んじまったもんだから、見た目にこだわり始めるとトラックボールの選択肢はほとんどなく、結果的に自分の首を絞めることになってしまった。
そもそもトラックボールというとラメラメメカメカしたものが一般的だ。メーカーさんのやることだ。きっとそれが一番良かったに違いない。
しかし、分かりやすい例が浮かばなかったせいで悪口みたいになっちゃうんだけども、小中学生の頃の裁縫箱だとか、家庭科で作ったエプロンの、ドラゴン!!ファイヤー!!みたいな、一歩間違えるとそういう雰囲気になりやすい。それがいいとか悪いって話をしたいのではないのよ。でもまぁ僕の気分ではなかったし、僕以外の人たちだって、だからこそ鉄球を持ってきたり、球を染めたり、透明な球を特注で作ったりしているんだと僕は見ている。Xでも見ている限り実際にそれらの評判はかなりいい。

例にも漏れず、僕も自分で球を染めたこともあるんだけど、窓際でPC作業するってことも影響してか、何ヶ月か経つとすっかり色が抜けちゃうことがあるもので、どうしたもんかなぁと思っていた。鉄球を使えば綺麗にまとまるんだけどもそれだけじゃねぇ…手汗耐性も低いし何だか滑りも悪いしだ。
しかし、僕の趣味で変な色でキーボードを作っちまったんだ。小人キーの色味や質感にドストライクなトラックボールなんて誰も出すはずもない。自分で何とかするしかないだろうってことで実際にやってみたからそれについて書いてみる。これでようやくタイトル回収出来たかしら?


とりあえず3Dプリンタで球を出力し、ひたすら削るってことから始めた。球をそのまま3Dプリンタで造形すると下側が荒れて(気まぐれでした掃除でちょうど捨てちまってこの辺の写真がない🙇‍♂️)、それが最後の最後まで凹みとして表面に出てきちゃうもんだから写真のようにサポートなしで荒れない、それでいてビルドプレートから途中で剥がれない形に一旦落ち着いた。とりあえずひたすらに削っていけばいつかは球になるんだ。こんなにも落ち着くことはない。脳筋プレイは嫌いじゃないしだ!

トラックボールの種
これをただひたすらに削る。
作った球を装着
作った球を装着2
作業場が荒れすぎてて床で撮影、、

先に載せたイメージ画像の通りのものが出来上がった!これはちゃんと現物だからね〜!?
少し大変だけど、これなら色落ちもしない。というかもし色落ちするとしてもキーボードのケースやキーキャップと同じ素材だから、同じようなスピードで色が抜けていくはずで、差が生まれにくいと言う方が正確だろうか。"見た目には"大大大満足なたまたまを作ることに成功した。

そんな時にこんなコメントをいただいてしまった!

確かに半球ずつでのプリントは試していなかった。しかし半球ずつの造形には接着という問題がくっ付いてくるから、ひたすらに削れば必ず球体が現れてくるあの種を捨てるのには正直少し弱い気もしていた。いい感じにウェーイとテンション上がっているところに水を差されるようなところも多分にあるから、機嫌が悪かったら確実に無視していただろう笑笑 が、beekeebさんから出ている19mmトラボの重さやその操作感が僕は気に入ってて、3Dプリンタで作った球では見た目のために重さを犠牲にしてしまっているって気分も正直あった。ここで、これらの点と点とがバチっと繋がり、半球ずつ造形し中心に鉄球(重り)をぶち込んだらいいんでねぇの?とユリイカしてしまった。これなら半球ずつ造形することへの気分的抵抗を余裕で乗り越えられるぞと!tatatataan4696さん本当にありがとう!!

こういうことでさぁね。
こういうことも出来るには出来る。
球単体では超可愛い。シャチかな!?
装着すると微妙!?


手っ取り早くトラボの作り方を知りたい人はこちらから

そしたら、トラックボールの作り方を諸君にお伝えしよう。

先に道具とか細かいことを紹介されてもまるでイメージが湧かないはずだから、まずは大まかな流れをサクッと掴んでしまおうか。

3Dプリンタで作った皮に…
鉄球という餡を詰め…
接着剤を流し込み…
完全に閉じる。
乾燥させたらひたすら研削・研磨!!
お好みの質感に仕上げてちょうだい!!
完成!!

と、こんな感じ。超可愛い!しかもずっしりと重みもあり、操作感もなかなかよくて最高と!!

では、もう少し具体的な話をしていこう。


モデリング、3Dプリンタでの造形

先の写真で見た通り、ざっくりと言えば半球を半球でくり抜いたものを作ればOK

気持ち悪い色で恐縮なのだが、ざっくりと色分けしておいた。

赤 : 後で削る場所。目標の19mmより大きければOK。僕の場合は直径19.5mm〜20.0mmの間で検討中。特に接着に自信のない人は大きめの方がいいかな。溶かして接着するもんだから溶かしすぎちゃうことが時々あってね。

白 : 重りの鉄球がハマる面。使用する鉄球の直径(僕は直径15mm鉄球を使用)に合わせてサイズを決めればOK。各々の3Dプリンタやフィラメント等の状態によっては鉄球のサイズ±0.1〜0.2mmオフセットしてあげる必要があるかもしれない。最悪接着剤で溶かせばいいし、結果的に鉄球が動かなければなんでもOK!

青 : 半球同士を接着する際に溶かす部分。半球の底面を押し出して作った円柱形。説明の都合上画像ではかなり伸ばしてあるが、接着の際に鉄球が支えて球が閉じ切れないのだけは避けたいので設定する項目。反対に、閉じた後に鉄球が中で動いてしまう場合は数値が大き過ぎるかもしれない。僕は0.1mm〜0.2mmくらいでやっている。

黄 : 3Dプリントする際のバリ対策の面取り。使用する3Dプリンタのノズル径の数値をそのまま持ってこればおそらくOK。別になくてもいいけど、鉄球がバリに引っかかって狙った位置に鉄球を持ってこれないことは避けたいので一応やっておく方がいいかなと。まぁ自分でカッターで削るのでもOK。特に困っていないので半球の外側は処理していない。

3Dプリンタ : A1mini
フィラメント : PLA
ノズル径や造形時の設定は現在検証中。


接着

サポートを外す。
どうせ溶かすので、そんなに神経質になる必要はない。
接着剤をサポート痕に流し込み10秒ほど待つ。
サポート痕が溶けてきたら鉄球を入れる。
ぎゅっと閉じ、少しのむにゅっとした感触があればバッチリ!
サポート痕を鉄球のカタチに変形させ、30秒〜1分ほど待つ。
そしたらもう一度半球を開いてほんの少し隙間を空ける。
手で開けられない場合は何か薄いものを突っ込んで隙間を作る。
隙間に接着剤を1周ぐるっと流し込む。
すると半球同士が溶け、隙間が埋まり始める。
(写真で見て分かるように隙間を広めに取っているからもう少し詰めちゃっていい。
隙間が小さくても毛細管現象ってのでちゃんと広がってくれる。)
そしたらまたぎゅっと押さえて、むにゅっとが1周ぐるっと出てたらOK!!
出来れば3日ほど乾燥するのが好ましいかな!?(こちらも現在検証中)
乾燥を待たないと後で接着面だけが収縮してきて
ベアリングに引っかかり操作性が悪くなる。


使用したもの
・鉄球 直径15mm(大体14g)
・アクリサンデー アクリル接着剤
・シリンジ(アクリサンデー付属のスポイトは扱いが難しいため)
・薄くて硬いもの(サポート痕を溶かして鉄球を固定した後、再度半球間に隙間を空ける際に必要になるかも)

割と有害なガス?が出るみたいなので、しっかりと換気をした上で防毒マスクや保護ゴーグル等装着。


研削・研磨

乾燥が終わったらひたすらに削っていく。

まずは荒めのカップ型ビット#80で手削り。
ここである程度まで球形にしておくと、後の作業でのキュルキュル音が軽減できる。
もう少し細かい目#240のカップで研削
それが済んだらより細かな耐水ペーパーで研磨していく。
この時、球や耐水ペーパーは常にビッチョビチョにしておくこと。

耐水ペーパーの番手は400→800→ 1500→3000→5000といった具合に大体倍になるように変えていく。800〜1500番くらいまで仕上げたあたりで歪みがないか、カップに引っかかる箇所がないかを確認・研削しておくとなかなか綺麗に仕上がりやすい。ここでも球はビッチョビチョに濡らしておくこと。

完成!!
色によっては多少マットめに仕上げるのもあり!


使用したもの
・丸玉研磨用ダイヤモンドカップ#80と#240
・耐水ペーパー400〜5000番

僕は家にあったミニ旋盤を使ったけれど、6mmビットが入ればきっとなんでもいいんでしょう。僕が参考にしたkompekiさんはドリルドライバーを使ってる。

まぁ手削りの際には粉が舞うので防塵マスク、それから耐水ペーパーを使う時はエプロンなんかもあるといいかも。


今後の課題

言うてももうかれこれ30個以上球を作っているもんだから、綺麗に磨き上げたり、接着出来るようにはなってきた。しかし、3Dプリンタを用いることから積層痕が悪さをしてくることがあったり、いまだに接着面の収縮対策は完璧とは言い難いところがある。
最悪、全体的に1000番前後のヤスリで荒らすとか、レジンやパテで凹みを埋ことまで考えないといけないかもしれない。とりあえずのところは時間がかかろうと今の方針の延長で、接着後数日置いた後、ある程度のところまで削ったら再度置いておく(乾燥)って手順を踏んでみるとかはあるのかな〜と思っている。積層痕問題も0.2mmノズルよりも0.4mmノズルの方が仕上がりが綺麗な気がするからじゃあ0.6mm、0.8mmはどうなんだろう?ってことは試してみたいところだ。


とまぁトラックボール制作について書いてみた。僕もまだ検証中のところがたくさんあって、今後ここに書いたことよりもっといい方法があったわ〜なんてこともきっとあるだろう。とりあえずこれを骨組みとして、何か新たな発見があったら書き換えてみるつもりだ。

今後、より一層に色とりどりの球が見られることを期待して、ここにこれを公開する。トラックボールだって自作出来る!!

五十川 十一

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