映画「ファーストキス」で考える、夫婦のあり方。
子連れ帰省の際に、やりたいことを詰め込んでみた。
その一つ、ひとりレイトショーがなかなかよかった。そして映画「ファーストキス」は、素晴らしかった。
今日はそんなお話。
私と映画を振り返る
映画の思い出は、大学生の頃に遡る。
駅前に小さなTSUTAYAがあって、長い時は1時間以上入り浸り、5〜10作品をまとめて1週間レンタルして見漁っていた。
パッケージの表面・裏面を見て、読み込んでじっくり選ぶ。
古き良き時代から最近のものまで、映画の時間!と決めて鑑賞するのは、今思い返しても何にも変えがたいお気に入りの過ごし方だった。
その頃すでに映画レビューアプリ"Filmarks"は存在し、映画好きな人たちの評価を見ながら作品選びをするのは楽しくて、鑑賞後は自分でも評価を書いたりした。
もちろん、気になる新作があれば映画館へ足を運ぶ。席が空いていればいつでも観れる気軽さがよかった。
映画マニアというほど語れるものはないが、身近に映画のある生活をしてきたとは思う。
今の私にとって、映画館で鑑賞すること自体、特別で輝かしい思い出だ。
子どもがいると、自分のタイミングでやりたいことをできないのがほとんど。観たい作品があってもお目にかかれることは少ない。
ポップコーンを片手に、息を澄まして観られる時間が欲しい。そんなチャンスが突然、やってきた。
夜の映画館、という特別感
『子どもを寝かしつけた後の平日21時から
人のまばらな映画館で観るレイトショー』
言葉にしただけで、たまらなく贅沢なことだとわかる。
子どもの寝かしつけとお留守番を実母に頼み、手に入れた自由時間。上映される作品だけに集中し、帰りの夜道は運転しながら余韻に浸る。
「自分のために自分のやりたいことをする」ということが、いかに貴重だったのかを実感しながら、特別な今を噛み締めて、映画鑑賞を楽しんだ。
映画「ファーストキス」
一言で本当に良かったから、語らせてもらう。

結婚して15年目で夫の駈を事故で亡くしたカンナ。駈とは長年倦怠期で、不仲なままだった。
残されたカンナは第二の人生を歩もうとしていた矢先、タイムトラベルする術を手に入れ、過去に戻り出会う直前の駈と再会する。
若き駈の姿を見て、やっぱりこの人のことが好きだったともう一度恋に落ちたカンナは、15年後に起こる事故死から駈を救うべく動きだす。
坂本裕二・脚本の本作は、やはり見逃せない。
最近多いタイムトラベルものだけど、悠に想像を超えてくる。
ああ、なんて素敵な映画なのだろう。
今はこれ以外の言葉が見つからない。
「恋愛は良いところを探すことで、結婚は、悪いところを探すこと。結婚は相手の嫌なところが4Kではっきり見える。」
価値観も生き方も違うからこそ惹かれ合う。
けれど、日常の中のささいなズレが積み重なり、気づけば取り返しのつかない距離を生む。
お互いを思いやっているのに、その方向が少しずつズレることで、チクチクと相手の心を傷つけていく。ほんのささいなひと言、何気ない行動。
現実世界の静かなすれ違いが描かれることでスタートする。
どこかで聞いたことがあるような話だけれど、相手を思いやる努力を忘れてしまえば、その沼に片足をつっこんでしまうのは簡単なことだ。
けれど、思い返して欲しい。
恋愛の先に結婚があるということは、相手を好きになった"あの日あの時の気持ち"で始まっているはず。
「君と出会える人生でよかった。」
「もう一度、あなたに会いたい。」
きっと相手がいなくなった時、感じる寂しさは愛おしさなんだと思う。
いつか終わりが来るのなら、それまでの何気ない日常で愛を伝えたい。いいことばかりではないからこそ、互いを思いやり、支え合える人生にしたい。
やり直しがきかない過去を省みて、不完全な自分と他人であることを理解して。
そんなふうに胸に手を当ててみたりしながらも
心がじわっと温かく、優しくなる感じ。
きっと何度でも観たくなる。
私にとっても大切な作品と出会えた。
この余韻がとても良いので、しばらく、いや、もう数日は浸っている。まるで随分と前から気に入って観た映画のような、ノスタルジックな感覚まである。
ハッピーなエンディングでなくても、爽やかで清々しく前向きな気持ちになれるのは、優河の曲の力もあるかもしれない。
この曲を聴いて、映画館で動いた感情を思い出す。
そしてまた、今日も大切な人を大切に、小さな心がけを大事にして過ごそうと思うのだ。
