THE KEBABS「新譜」を聞いて「ハッピーのワゴンセールかよ」と思った話
人気と実力を兼ね備えるバンドマン達が、気まぐれに集まるテイスティーなロックバンド「THE KEBABS(ザ・ケバブス)」の3rdアルバム「新譜」の感想。
会場限定発売のアルバムである。サブスクにはない。4月のレコ発ツアーはチケットが取れず涙を飲んだので、発売からだいぶ遅れて入手した。
既にライブで聞いている曲がほとんどなので、書きたいと思った曲を中心に気ままに綴る、ひとりよがりな脳内ジャーニー。
【THE KEBABS「新譜」】
1. ジェットが飛ぶぜ
2. ハワイの暮らし
3. フタバスズキリュウ
4. お布団の中から
5. やっぱチョキ
6. ときめき肉まんパーティ
7. あつあつ肉まんパーティ
8. パリは燃えているか
9. 幸せのワゴンセール
10. どうぶつがいっぱい
🔹ハワイの暮らし
作詞:田淵、作曲:佐々木&田淵

◇突然のラモーンズ
CD発売前のインスタライブで披露された時、突然ぶち込まれた「Hey Ho Let's Go」(ラモーンズ)のフレーズに吹き出してしまった。
オマージュはケバブスではよくあるが、「ここでそのフレーズが来るんだ?」と意表を突かれて面白かったから。
まんま「Hey Ho Let's Go」でいいじゃないかと思ったけれど、歌詞カードを見たら「あいらんどレッツゴー」だった。島へ行こう。
先に歌詞があって、語呂の良さからヘイホーのフレーズを連想したのかもしれない、知らんけど。そういう軽い思い付きがケバブスっぽくて良い。
「THE KEBABSは忙しい」という曲もあるほどメンバーは忙しい。「ジェット乗ってハワイなんかでholiday!」したくなる気持ち、わかる。
「あの子が泣いているなら 金で助けにいくんだ」「そんな金はどこにもねえ」と佐々木に歌わせるのが、佐々木キャラっぽくて良い。

「好きな女を喜んで金で助けたい、それは成功者のマインドだ」と私の好きな心理系インフルエンサーが言っていた。
ですよね。そんな金はどこにもなくてもな。
◇突然のドヴォルザーク
「サマバケ」と共通点がある。夏のバケーションソングだから対になっているようだ。
共通点① 浩之のセリフ
サマバケ:「夏だぞぉ」
ハワイの暮らし:「常夏だぞぉ」
共通点② 田淵の口笛
6月のスクービードゥーとの対バンでは、「ハワイの暮らし」「サマバケ」と連チャンしたので、夏らしさ満点で高揚した。
田淵の口笛のメロディーがクラシック音楽である。バイオリンの音色で有名なやつ、ドヴォルザーク(ユーモレスク)だ。
この曲はドヴォルザークが休暇中に作った曲だそうなので、チョイスしたのかもしれない。一般的にバイオリンの音色で聞き慣れているフレーズが、口笛で聞こえてくると引っかかる、良い意味で。
イントロにふよふよ漂う、「コンピューターおばあちゃん」的なポップさもあり、クラシックも混ぜつつ、現実逃避や諦めのようなニュアンスが爽やかに歌われていて好きだ。
余談だが、近頃私は東京で通勤して働く意味がわからなくなっている。
ハワイでなくても、どこか地方に移住してあくせくせずに生きることへの憧れがある。聞きながら、自然豊かな地域に思いを馳せてしまう。
🔹やっぱチョキ
作詞・作曲:佐々木&田淵

◇グーからのチョキ
「やっぱチョキ」は、アルバム「セカンド」収録、新井さん作曲「ジャンケンはグー」の兄弟曲と思われる。
「ジャンケンはグー」ができた時、「ケバブスにこんなタイプの曲ができたのか」と愉快に嬉しく思ったが、それを上回る驚きだ。
インスタライブで聞いた時、山下達郎を想起する極上のシティポップを感じたが、スクービードゥーとの対バンで初めてライブで聞き、「スクービーっぽいな」とも思った。
「サイド・バンドでも張り切るやつら」の後ろで鳴っている楽器のリズムは、スクービードゥー「Get Up」のAメロのリズムを思い出す。私がスクービーのファンになったきっかけの、大好きな2002年のナンバー。
CDで聞いても、イントロから目ん玉飛び出しそうな美メロシティポップで笑った。どうしたケバブス(いいぞもっとやれ)。ケバブスの曲を聞いてこのような爽やかな気持ちになったことが今だかつてなくて不思議だ。新しい。
佐々木が、和田アキ子ばりに「かッ!」って言ってるの面白いなと思った。歌詞を確認したら「CUT」だった。「誓約書かッ!」じゃなくて「誓約書、CUT!」なのか。勢いのある発声が好きだ。
勢いのある発声と言えば、TenTwentyの「うらら」も、耳から聞いた時は「da da da…」かな?と推測したが、妙に「ダッダッ…」と「ッ」が耳に残るなぁと思った。歌詞を確認したら「だって」だった。「っ」の威力。
◇突然のRHYMESTER
インスタライブではラップ部分まで披露していなかったので、私はスクービーとの対バンで初めて聞いてびっくり仰天した。田淵のラップに。
わりと本格的だったので、「RHYMESTERか?」と思ったほど。
「Mummy-Dを意識」とライブのMCで話していたので、妙に納得してしまった。ウケ狙いというわけではなく、ちゃんとリスペクトが入っている。
特に「Ah まだ尺がある」のパートがやばい。Victoryへ向けての高まりが本気クオリティーだ。遊ぶ時ほどマジでやるやつら。オレたちは無邪気なダブルピースのままフリーズ(フラッシュバック、夏。)。
ブギー・バックとか楽園ベイベーとかDA.YO.NEとかも似合いそうではないか、とケバブスの可能性を感じる。
◇新井さんのギター

イヤホンで聞くと、右だけから聞こえる、新井さんのまろやかなエフェクトの効いたギターが心地良過ぎる。まるまる1曲通して、右のギターにだけフォーカスして聞くという楽しみ方も気に入ってしまった。
スクービーとの対バンでも、アウトロの軽やかなギターに釘付けになった。
ケバブスで新井さんに期待されがちなのは速弾きである。
もちろん新井さんの速弾きはすごい。本人も、そこが求められる大きな要因であると理解しており、日々の鍛錬も欠かせないと話していた。
私は忘れない、いつかの夏に配信で見た新井さんのストイックなモーニングルーティン(運指練習)を。スターことフルカワユタカに「気持ち悪い」と、独特の愛情表現をさせるほどに。
でも、速弾きだけが新井さんの武器ではないよなぁ、とケバブスの曲がバラエティに富むにつれ実感する。
スクービーとのライブで、「やっぱチョキ」のアウトロをキラキラとご機嫌で鳴らしていた新井さん。あんな可愛い姿も、もっと見たい。
「新譜」に新井さんが作った曲はなかったが、どの曲も忙しい中でギターのアレンジ考えたんだなぁと思って、なんだか嬉しかった。
速弾きの曲が過剰にセトリ入りしていると、新井さん大変そうだなと余計な心配をしてしまうし、イケイケでフロアが熱気むんむんになっているケバブスより、軽やかに横ノリで弾むケバブスの方が今の私にはフィットする。
今一番ライブで聞きたい曲になった。
🔹幸せのワゴンセール
作詞・作曲:佐々木&田淵

◇ケバブス流「純恋歌」
インスタライブで初めて聞いた時、湘南乃風を彷彿とさせるラップが印象的だった。CDで聞いたら、本当にケバブス流の「純恋歌」だった。
田淵のラップが「やっぱチョキ」と全然違う。RHYMESTERと湘南乃風ぐらい違う(そのまんま)。極端な歌い分けは、お遊びバンドだからこそできる技なのかもしれない。
歌詞も「純恋歌」を意識したように思える。
「純恋歌」はベタベタなラブソングだが、「幸せのワゴンセール」はいい感じにヌケがあってケバブス流になっている。そこが好きだ。
「純恋歌」の歌詞と見比べてみよう。
<純恋歌>
「おいしいパスタ作ったお前」
「ずっと一緒だよな」
「一目惚れ」「ベタ惚れ」
<幸せのワゴンセール>
「ペペロンしか許さねえパスタ」
「きっと明日明後日明明後日一緒なんだ」
「一目惚れ越えてずっと惚れ」
ペペロンしか許さねえ、というやんちゃな台詞は子供っぽさがある。子供が好むメニューじゃないかもしれないが。

「ずっと一緒だよな」よりも、「きっと明日明後日明明後日一緒なんだ」の方が、明日何して遊ぼうかという目の前のことに夢中な子供のような無邪気さがある。
ピチピチ・チャプチャプ蛇の目でのお迎えや、独り占め特等席確約という言葉選びのせいか、純真無垢な子供が「お母さん大好き!」と叫んでいるようにも聞こえる。
田淵が書くケバブスの歌詞は、シンプルなせいもあってか、インナーチャイルドを感じることがある。
※歌詞が共作の時は、歌唱パートが担当だと理解しているので、ここは田淵の作詞だと仮定。
◇俺はサモエド

「俺はサモエド」が衝撃だった。今年聞いた歌詞の中でナンバーワンである。「俺はサモエド」ってフレーズ、どこから出てきた?
しかもワンワンと佐々木が吠えた。サモエド、アルファロメオの韻もええ感じだ。
※歌詞が共作の時は、歌唱パートが担当だと理解しているので、ここは佐々木の作詞だと仮定。
佐々木パートは、犬の鳴き声や車のクラクション、キュートなハモリなど裏で細かな仕掛けも鳴っていて、全体的になんだかキュンとくる。
田淵ラップパートとの対比があって、それがまた良いなと思う。
ギターソロ「ひろきのワゴンセール」、ドラムソロ「ひろゆきのワゴンセール」もいいね。ほんわか。浩之さんも、強く激しくだけが見せどころじゃないからね。
◇「ハッピーのワゴンセール」という概念

お前に会えたら手軽にニコニコ
ハッピーのワゴンセールかよ
最初「ハッピーのワゴンセール」と言うフレーズにやや違和感があった。ハッピーを安売りしていいのか?と。
幸せは追い求めるものではない。
「幸せの青い鳥」で広く知られる通り、しあわせはすぐそこにあるものである。その辺にゴロゴロ転がっている。
ってことは、ワゴンセールぐらい、お手軽なものとして表現しちゃうのは名案ではないか。
なるほどなぁ。
意外と真理をついている。世界中の人が、それぐらい肩ひじ張らずにご機嫌に生きられたらいいのにね。そしたら、永遠に手に入らない幻を追いかけなくてすむのにね。
ライブでまだ聞いたことがないので、聞ける機会を楽しみにしている。
🔹どうぶつがいっぱい
作詞・作曲:田淵

◇上野にジャーニー
ライブで初めて聞いた時からとてもお気に入りだ。2023年の年末、「暮暮」ツアーだったと思う。歌詞とメロディーがシンプルで、一緒に口ずさみたくなる曲ナンバーワン。
大サビの「A journey to the stars」を初めて聞いた時、なんだっけこれ?とすぐに思い出せず、自宅で風呂に入っている時に「ゴダイゴか!」と思い出してめちゃスッキリした。
「zoo zoo」の下りはECHOES参照だと思われる。個人的には蓮井朱夏(菅野美穂)バージョンに最も馴染が深い。うきうきしてとても良い。♪zoo zoo Yeah〜
「A journey to the stars」は、あまりにもまんまのためか、インスタライブで「山手線うんぬん」という歌詞に変わっていた。
歌詞を確認したら「山手線でジャーニー!」に変わっていた。譜割りが全く異なるので収まりが悪い。私は変わらず「A journey to the stars」と脳内で歌ってしまう。
ジャニー!トゥザスター!って、かっこいい譜割りだな。英語と日本語は、メロディーの乗せ方が全然違うんだなぁと実感できる好例だ。

PUFFYも少々混ざっている。
「カニ食べ行こう その前にジャーニー上野にジャーニー」、ここのメロディーも最高なんだよなぁ、ってここもゴダイゴのパクリだった。
◇日比谷でジャーニー
6年前に「日比谷音楽祭」でゴダイゴのタケカワさん(vol)、ミッキー吉野さん(key)、亀田誠治バンドで「銀河鉄道999」「ビューティフル・ネーム」「モンキー・マジック」を生で聞けたの超感動した。
初生ゴダイゴだった。ゴダイゴ尊い。一生ものの思い出だ。そんな思い出を聞く度に想起する。

🔹お布団はエロいやつだった

テンプテーション♡
ブルーハーツのような正統派パンクロックな「ジェットが飛ぶぜ」(作詞・作曲:田淵)は、田淵の歌唱が爽やかさと少々の切なさが混ざったような、なんとなく04 Limited SazabysのGENを連想するようなテイストに感じる。
ザ・ビーチ・ボーイズの「サーフィン・U.S.A.」を彷彿とさせるギターフレーズと音色にも心弾む。切なさを感じるのは「生きたい」と連呼する歌詞のせいかな。
「ロックは死んだかも知れない」と言いたくなるのもわかる。でも、死んじゃいないとも思う。
先日ハルカミライのライブを見た。3年前に初めて見た時に「こういうロックバンドが今もいるなんて、おばちゃん嬉しくなっちゃう!」とときめいたが、やっぱりロックは今も生きている、と思った。
「パリは燃えているか」(作詞・作曲:田淵)は、初めて聞いた時から、ずっと何かに似ていると思っていて思い出せなかったが、やっとわかったオフスプリングだ。Uh-huh uh-huh!って言いたくなるね!思い出せてスッキリ。
「お布団の中から」(作詞・作曲:佐々木)は、ライブで初めて聞いた時に「パジャマ」とか「六本木で会いたい」って聞こえたので、オフトゥンでぬくぬく夢の中で妄想デート♡的な可愛らしい曲なのかと思っていたが違った。大人のリアルにエロい歌だった。さすが佐々木だ。
お布団の中でも「俺はサモエド!」「ワンワン!」とか言って欲しい(黙れ)
田淵が「肌着さえ纏わないエナジー」って歌うのもエロくて良い。「パジャマ」と「肌着」だとだいぶエロさが違う。
「ときめき肉まんパーティー」(作詞:佐々木&田淵、作曲:田淵)は、一緒にデスティネーション!って歌っちゃう親しみやすさに心弾む。ライブも良いが、音源化のクオリティも気に入った。「ロバート・デ・ニーロ」系の爽快感。
佐々木の「ほくほく」という低めのテンションがツボる。
「あつあつ肉まんパーティー」(作詞・作曲:佐々木&田淵)も妖艶で楽しいが、異常気象の夏に聞いていると「…暑苦しい!」と息苦しさを感じる。熱気むんむんのライブハウスが思い浮かぶ。
ときめきとあつあつの対比、おもろい。
🔹誰よりあいつは首が長い
今作のお気に入り歌詞ベスト3。
「俺はサモエド」(幸せのワゴンセール)
「ハッピーのワゴンセールかよ」(幸せのワゴンセール)
「誰よりあいつは首が長い」(フタバスズキリュウ)
「誰よりあいつは首が長い」、当たり前の事実を佐々木が真面目に発しているだけでかっこよさと面白みがたまらない。じわる。
「フタバスズキリュウ」(作詞・作曲:田淵)は、サビにどうしてもA flood of circleの「ゴールド・ディガーズ」を感じる。田淵作だけど。

うん、そうだね!
アルバムの流れとして、最後の「幸せのワゴンセール」「どうぶつがいっぱい」がほんわかして余韻が残って好きだ。
アルバム「セカンド」のラストも、ほのぼのとした「夢がいっぱい」で、同じようなふわりとした幸福の余韻がある。世代問わず馴染む、「みんなのうた」みたいな普遍的な親しみやすさ。
そんなわけで、「新譜」を聞いて「ハッピーのワゴンセールかよ!」という温かな気持ちになった話。
新曲10曲(+ライブCD20曲)で7,000円の大人価格だけど、いっぱい聞いた分ハッピーになるから、ワゴンセールで買ったみたいなものだよね!



こっちはスクービーとの対バン記録だよ。
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