書けない原因を調べてみた⑦|SNSと比較
はじめに
「ちょっとだけ休憩しよう」
そう思ってSNSを開きます。
フォロワーさんの新刊告知。
「今日は1万字書けました!」
「イラスト完成しました!」
「もう脱稿しました!」
「書籍化のお知らせです!」
「いいね1万ありがとうございます!」
……すごいなあ。羨ましいなあ。
そう思いながら、スワイプする手は止まりません。
スマホを閉じた頃には、さっきまで書く気だった自分がどこかへ消えていました。
「みんなすごいな」
「それに比べて私は……」
そんな経験、ありませんか?
私はあります。というか、何度もあります。むしろ日常です。
私はずっと、「SNSを見ているから時間を無駄にしているだけ」なんだと思っていました。
でも心理学を調べてみると、SNSで疲れる理由は、時間だけではないようです。
ということで今回は、創作者目線で「SNSと比較」について調べてみたいと思います。
比べてしまうのは、人として自然なことらしい
「比べるのをやめよう」
そう思っても、なかなかやめられません。
調べてみると、それも無理はないようです。
心理学者レオン・フェスティンガーは、人は自分を理解するために、他人と比較する性質を持っていると考えました。これを【社会的比較理論(Social Comparison Theory)】と呼ぶそうです。
つまり、
「私だけ比べてしまう」
ではなく、
人はそもそも比べる生き物。
ということなんですね。
だからSNSを見て落ち込むのも、ある意味では自然な反応なのかもしれません。
SNSでは「上」を見続けやすい
ただ、SNSには少し特徴があります。
タイムラインには、
賞を取った作品。
重版のお知らせ。
ランキング入り。
「5万字書けました!」
そんな『嬉しい報告』がたくさん流れてきます。
もちろん、それ自体は素敵なことです。
素直に素晴らしいと思います。
心理学では、自分より優れた相手と比較することを【上方比較(Upward Comparison)】と呼びます。
上方比較は、
「私も頑張ろう!」
という力になることもあります。
一方で、
「私は全然ダメだ」
という落ち込みにつながることもあります。
私の場合は……残念ながら後者の日のほうが多いかもしれません。
うーん、もっと心が広くなりた~い。
他人の「完成品」と、自分の「途中」を比べていた
調べながら、一番ハッとしたことがあります。
私は、他人の完成原稿と、
自分の一行目を比べていました。
SNSに投稿される作品は、多くの場合、何度も推敲され、完成したものです。
でも私が見ている自分は、
「まだ設定も決まってない」
「一文字も書けない」
そんな途中の自分。
これでは勝負にならないですよね。
完成品
と
制作途中。
比べる場所が違っていたのです。
SNSを閉じたら、少しだけ書けた
研究では、SNSの利用時間や使い方と、幸福感や気分との関連が調べられています。
もちろん、「SNSは悪!」という話ではありません。
私も創作仲間と話したり、新刊を知ったり、励ましてもらったり。
SNSには助けられていることも、たくさんあります。
ただ、
「見たあとに苦しくなる」
そんな日は、少しだけスマホを置いてみる。
ロックを掛ける。別の部屋に置いてみる。
ゲームを起動して中断出来ない状態にしてみる。
(私はウマ娘のオート育成、ツイステのオート授業をぶん回しています)
すると不思議なことに、
「あ、100文字くらいなら書けそう」
と思える日があります。
比較する相手がいなくなると、自分の物語に戻りやすくなるのかもしれません。
おわりに
今回、心理学を調べてみて一番印象に残ったのは、
「比べること」そのものが悪いわけではない。
ということでした。
人は比べる生き物。
だから落ち込む日があっても、不思議ではありません。
でも、
「昨日の私」と比べることはできる。
昨日より100文字多く書けた。
昨日より机に向かえた。
昨日より少しだけ主人公が動いた。
そんな小さな変化なら、ちゃんと見つけられる気がします。
私は今でも、SNSを見て落ち込む日があります。
「みんなすごいなあ」
「私なんて……」
そう思う日は、たぶんこれからもあるでしょう。
でも以前より、
「今日は、SNSを閉じる日のほうがよかったのかもしれない」
そう考えられるようになりました。
もしこの記事を読んでくださったあなたが、
「みんなは書けているのに、自分だけ書けない」
そう感じているなら。
それは才能の差ではなく、
完成した誰かと、
まだ途中の自分を比べているだけなのかもしれません。
たまにはスマホを閉じて、自分の物語だけを見つめる時間を作ってみる。
その1時間が、誰かを追いかける時間ではなく、自分の作品を育てる時間になるかもしれません。
書けない理由は、これだけではありません。
創作者目線で「書けない」の正体を、またひとつずつ調べていけたらと思います。
また一緒に考えていただけたら嬉しいです。
書けない私が、もがきながら前に進もうとした記録も別の記事にまとめています。
「書けない時間」を過ごしているあなたに、少しでも寄り添えたら嬉しいです。
書けないことを、責めないで。
この本を読んだら、少しだけ進めるかもしれません。
「書けない原因」を調べてみています。
よければ過去作もぜひ🍀
📖書けない原因を調べてみた①|完璧主義
📖書けない原因を調べてみた②|先延ばし
📖書けない原因を調べてみた③|脳の疲れ
📖書けない原因を調べてみた④|睡眠
📖書けない原因を調べてみた⑤|「やる気が出ない」の正体
📖書けない原因を調べてみた⑥|自分に厳しすぎる
参考文献
① 社会的比較理論(Social Comparison Theory)
Leon Festinger (1954). A Theory of Social Comparison Processes.
https://psycnet.apa.org/record/1955-03829-001
② 上方比較・下方比較のレビュー
Jerry Suls, Ladd Wheeler (2000). Handbook of Social Comparison.
https://link.springer.com/book/10.1007/978-1-4615-4237-7
③ SNS利用と幸福感・比較
Verduyn, P., et al. (2017). Do Social Network Sites Enhance or Undermine Subjective Well-Being?
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0963721416667608
④ SNSとメンタルヘルスのレビュー
APA Monitor
https://www.apa.org/monitor
⑤ 日本語で読める解説
日本心理学会
https://psych.or.jp/
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