見出し画像

AIの定期処理2本が、実行記録だけ残して何も出していなかった

6拠点・スタッフ約70名の会社を経営しています。自分の会社の実務を、AIで実際に直した記録を書いています。

今回は、AIに毎週の定期処理を任せた話です。失敗が3つ重なったので、順に書きます。

何が起きたか

うちでは、AIに毎週決まった仕事をさせています。当時は自分のPCで、2本を週1回動かしていました。

  • タスク巡回:管理表を読み、期限切れや放置を拾って報告する

  • 市場の巡回:業界のサービスの値上げや新機能を調べて記録する

ある日、管理表を開いて気づきました。全行の最終更新が6日前で止まっている。新しく決めたタスク4件も、載っていません。

調べると、2本とも同じ状態でした。

  • 実行の記録は、予定どおりついている

  • でも、成果物が1つも出ていない

  • 市場の巡回にいたっては、動かし始めてから一度も出力がなかった

その日、同じ巡回を手で走らせてみました。期限切れや放置のタスクが9件たまっていました。本来なら、毎週の報告で拾えていたはずのものです。

「動いた」という記録と、「仕事が終わった」は別物でした。私は前者だけを見て、安心していたわけです。

1回目の診断は外れていた

AIに原因を調べさせました。AIは仕様の説明を読み、こう結論づけました。

「PC側の定期処理は、外部サービスにつなげない。だから構造的に動かない」

筋は通って見えました。そこで、この診断を前提に手を打ちました。

  • 市場の巡回は廃止

  • タスク巡回はクラウド側へ移す

約2か月後、別の定期処理を組むときに確かめ直しました。使ったのは、時刻をファイルに1行書くだけの検証タスクです。

分かったのは、外部サービスを使わない単純なタスクでも、同じ症状が出ることでした。「外部につなげないから」では説明がつきません。

本当の原因は、ツールの使用許可でした。定期処理は予定どおり起動します。ところが最初の操作で「実行してよいか」の確認が出て、そこで止まる。許可を押す人がいない時間に、確認を待ち続けていたのです。

初回に一度だけ手で実行して許可を通せば、動くことも確かめました。廃止した市場の巡回も、本当は直せた可能性があります。

振り返ると、1回目の診断で抜けていたのは反例を当てる手順です。「外部につなげないから止まる」なら、外部を使わないタスクは動くはずです。それを1本試せば、その日のうちに崩れていました。

移した先でも、報告が見られていなかった

クラウドに移したタスク巡回は、きちんと動いていました。報告はメールの下書きに置く設定です。

誤診に気づいた4日後。別の件を調べる途中で、定期処理を棚卸ししました。そこで妙なものが見つかります。

同じタスク巡回が、クラウドとPCの両方で、毎週同じ時刻に走っていたのです。

なぜ気づけなかったのか。報告先がメールの下書きだったからです。下書きは、自分から開きに行かないと目に入りません。私は、開きに行くこと自体を忘れていました。

動いていても、報告が目に入らなければ、存在しないのと同じです。下書きへの報告は、事実上の無報告でした。

どう直したか

4つ変えました。

  1. 初回は手で1回実行する。許可の確認をその場で通してから、定期実行に任せる

  2. 報告は「目に入る場所」に出す。フォルダにファイルで残し、同時にAIの画面にも出す。画面の一覧に未読の印が付くので、開き忘れが起きにくい。メールも下書きも使わない

  3. 二重の片方を止める。クラウド側を止めて、PC側に一本化した

  4. 新しく組む前に、置き場所をすべて見る

4つ目は、棚卸しの途中で分かったことです。うちの環境には、定期処理の置き場所が3か所ありました。そのうち1か所は、AIから一覧が見えません

実際に一度、AIがそこを見ないまま「その処理は登録されていない」と答えました。見えない場所は、人が画面を開いて確かめるしかありません。

学び(再現できる形で)

  • 定期処理は「動いたか」ではなく「成果物が出たか」で見る。 実行記録は、仕事が終わった証拠にならない

  • 原因の診断は、小さな検証で確かめてから手を打つ。 今回の誤診は、1行書くだけのタスクで崩れた

  • 報告は、見に行く場所ではなく、目に入る場所に出す。 見に行く前提の報告先は、忙しい日から順に忘れられる

  • AIの「無い」は、見えている範囲での「無い」。 見えていない置き場所がないかを先に確かめる

定期処理を新しく組んだ日は、次の3つを確かめるようにしています。

  1. 手で1回実行し、許可の確認を全部通したか

  2. 成果物のファイルができていて、日時が今日になっているか

  3. 報告が、自分が毎日開く画面に出ているか

3つとも、見るのに1分もかかりません。

3つの失敗に共通するのは、見た気になっていたことです。

実行記録を見て、動いたと思った。仕様を読んで、原因が分かったと思った。報告先を設定して、届いていると思った。

どれも、成果物を1回見に行けば崩れる思い込みでした。定期処理を任せるときは、最初の1回だけは人の目で出口まで確かめる。うちでは今、そうしています。

――

AIに任せた仕組みを点検する話は、ほかにも書いています。

AIへの指示書に「始めるとき」しか書いていなかった。管理表7件のうち3件が現実とズレていた

AIに全自動を任せる直前でやめた。候補6件のうち1件は、機械に触らせてはいけない行だった

同じくらいの規模の会社でAIを使う方へ。続きはフォローで届きます。

いいなと思ったら応援しよう!