今週試したいAI 5選ーー国産AIを無料で使ってみる
今週のAIニュースは、新しいモデルの発表が5本以上ありました。Gemini 3.7 Flash、Grok 4.6、DeepSeek-V4-Pro、GPT-5.6 Solの高速モード、そしてGoogle AI Studioの課金まわりの変更。数だけ見ると、追いかけるのが嫌になる週です。
ただ、週末に実際に手を動かすなら、効くのはそっちではありません。今週いちばん増えたのは「賢さ」ではなく、あなたが自分で押せる設定とボタンのほうでした。無料で開くようになったもの、これまで消せなかった印を消せるようになったもの、記録するかどうかを自分で決められるようになったもの。
というわけで今週は、新しいツールを増やす日ではなく、押せるようになったボタンを1つ押す日にします。試すのが軽い順に並べました。1番はメールアドレスだけ、5番はAPIキーを持っている人向けです。
今週試したいAI 5選
1. 国産AI「Sakana Fugu」が、無料で開くようになった
何ができるか:Sakana AIが8月13日、Sakana Chatを更新し、上位モデル「Sakana Fugu」を無料で試せるようにしました。Fuguは複数のAIモデルを動的に組み合わせて処理する「オーケストレーター」型で、同社は複雑な指示や、複数の手順をまたぐ作業で有効だとしています。あわせてPythonの実行(サンドボックス上)、HTML・Word・スライドのプレビュー、PDFやOfficeファイルの読み込みも追加されました。
週末の試し方:chat.sakana.ai を開いて、手元にあるPDFを1本渡し、「この資料をもとに、社内共有用の要約スライドを作って」と頼むところまでをやってみてください。ITmediaによると、Fuguを選ぶにはメールアドレスの登録が必要です。日本語モデルの「Sakana Namazu」も同時に更新されているので、同じ資料を両方に渡して読み比べると、国産モデルの現在地が体感でわかります。
2. Geminiで作った画像から、右下の「透かし」を外せるようになった
何が変わったか:Googleが8月14日、Geminiで生成した画像・動画・音楽に入る目に見える透かしを、ユーザー側でオフにできるようにすると明らかにしました。設定の「Media Watermark」で切り替えます。対象はNano Banana・Omni・Lyriaの各モデルで、Geminiと動画編集ツールFlowから順次、数日かけて広がるとされています。
ただし、消えるのは「見えるほう」だけです。SynthIDという目に見えない透かしと、C2PAの来歴メタデータはファイルの中に残り続けます。つまり「AIで作った事実」が消えるわけではなく、見た目のロゴが外れるだけです。ここを取り違えないでください。なお、AI表示を法律で義務づけている国では、このオフ設定は使えないとされています。
週末の試し方:資料やSNSに使う画像を1枚作って、透かしの有無で見え方がどう変わるかを確かめる。そのうえで「自分は表示を残す運用にするか、外す運用にするか」を先に決めておくと、あとで迷いません。
出典:Google will now allow users to remove visible watermark from its AI generations(TechCrunch) / Google's Gemini app adds a toggle to disable AI watermarks(Digital Trends)
補足:この件は担当役員のX投稿が起点で、8月15日時点でGoogle公式ブログの告知記事は確認できていません。展開途中の機能のため、設定が見当たらない場合は順次到着を待つ形になります。
3. ChatGPTがMacの操作を覚えるようになった。試すなら「除外」を先に決める
何ができるか:OpenAIが8月13日、Mac版ChatGPTデスクトップアプリに「Computer History」を追加しました。許可したアプリやサイトでのクリック・キー入力・アプリ切り替えといった操作イベントをテキストで記録し、次にChatGPTへ頼むときの文脈として使える機能です。「さっきやっていた作業の続きを」が通じるようになる、と考えるとイメージしやすいと思います。
先に確認しておくことが3つあります。既定はオフで、自分で有効化しない限り何も記録されません(Business・Enterpriseは管理者の許可も必要)。対象はChatGPT Pro・Business・EnterpriseのmacOSアプリで、EEA・スイス・英国では現時点で使えません。そして記録されるのは操作イベントで、スクリーンショット・画面録画・マイク入力・システム音声は取得しない、と公式は明記しています。
週末の試し方:オンにする前に、除外するアプリを先に決めてください。パスワード管理ツール、個人のメッセージアプリ、家計や医療まわりのサイトあたりが候補です。メニューバーから一時停止でき、直近10分・1時間・1日単位で履歴を消せるので、「止め方と消し方を先に1回やってみる」→そのあとオンの順番が安全です。
4. Googleスプレッドシートの表を、話しかけて「ミニアプリ」にする
何ができるか:Googleが8月13日、Google Sheetsに「Sheets canvas」を追加しました。行と列のデータを、自然言語の指示だけでインタラクティブなミニアプリの見た目に組み替える機能です。「学習記録のトラッカーにして」のような頼み方で、コードは書きません。キャンバス側と表側の変更は互いに同期し、共有も通常のシートと同じです。
週末の試し方:スプレッドシートを開き、「Ask Gemini」サイドパネルから「Create canvas」を選ぶだけです。家計簿、読書記録、副業の売上表など、すでにある表を1つ渡してみてください。ゼロから作るより、手元の表が別の顔になるほうが違いがわかります。
対象は限定的です。Google AI Pro・Ultraの契約者(英語)と、Google Workspace Business/Enterprise Standard・Plus、Google AI Pro for Educationアドオンが対象で、順次展開とされています。無料アカウントでは、まだ見えません。
5. APIキーを持っている人向け:AI Studioの「自動補充」を先に見る
何が変わったか:Google AI StudioでGemini APIを有料利用する場合、前払い(Prepay)の扱いを確認する場面が増えています。Googleの公式ドキュメントでは、Gemini APIの課金プランとしてPrepayとPostpayが説明され、Prepayでは事前にクレジットを買い、API利用分が残高から差し引かれます。残高が0になると、同じ請求アカウントにひもづくAPIキーが止まる仕組みです。
ここで見るべきなのは、前払いか後払いかそのものではありません。auto-reload、自動補充です。残高が減ったときに自動で買い足す設定を入れていると、前払いでも「止まる前に補充される」運用になります。便利ですが、上限を見ないまま入れると、止まってほしい場面で止まりません。
週末の試し方:AI Studioを開いて、Billing画面で3つだけ見てください。いまのプランがPrepayかPostpayか、残高がいくらか、auto-reloadがオンか。オンなら、補充額と月の上限も確認します。APIを使っていない人は飛ばして構いませんが、APIキーを1本でも作ったことがある人は、今日いちばん実務的な確認です。
週末に試すなら、この順番
全部やる必要はありません。5分・10分・30分で分けるとこうなります。
5分:3番のChatGPTで、まず「止め方と消し方」だけ確認する(オンにしなくても設定画面は見られます)
5分:2番のGeminiで、透かしのオン/オフを自分の運用としてどちらにするか決める
30分:1番のSakana Chatに、手元のPDFを1本渡して要約させる
30分:4番のSheets canvasで、すでにある表を1つミニアプリにする(対象プランの人のみ)
10分:5番のAI Studioで、Prepay残高とauto-reloadの有無を見る(APIキーを持っている人のみ)
迷ったら3番目、Sakana Chatだけで十分です。メールアドレス1つで、いま手元にある資料が別の形になる——今週いちばん、費用対効果の良い30分だと思います。
今週の流れを一言でいうと
モデルの発表は相変わらず多い週でしたが、実際に自分の手元で変わったのは「押せるスイッチが増えたこと」でした。記録するかどうか、透かしを残すかどうか、無料で開くかどうか。選ぶ側の判断が、少しずつこちらへ戻ってきています。
明日以降に見るべきポイント
Geminiの透かしオフ設定が、日本のアカウントにいつ届くか。またGoogle公式ブログでの正式な告知が出るか
ChatGPTのComputer HistoryがPro以外のプラン、あるいはWindowsへ広がるか
Sheets canvasが日本語・無料アカウントに降りてくるか
API課金のPrepay化が、他のAI開発ツールにも広がるか。広がるなら「止め方」と「自動補充の上限」が、モデル選びと同じくらい重要になります
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日々の細かい動きは、平日の毎朝このnoteで1本ずつ追いかけています。週末にまとめて拾いたい方は、この土曜の枠だけでも足ります。
5つのうち1つでも、この週末に押してもらえたらうれしいです。「思ったより使えた」でも「うちの用途では変わらなかった」でも、コメントで教えてください。次の土曜の選び方に反映します。
参考になったらスキで教えていただけると、来週どのくらい実験枠や設定チェック枠を厚くするかの判断材料になります。
