第2回 AIを説明できる人から、AIで課題を解決できる人へ
前回は、AIPAが資格取得そのものをゴールとしていないことについてお話ししました。
AIPAが目指しているのは、AIやIoT、DXについて「知っている人」を増やすことだけではありません。
その知識を使って、
企業の課題を発見し、解決策を考え、実行できる人材を育てること。
今回は、この「知識」と「実践力」の違いについて、もう少し具体的に考えてみたいと思います。
AIの知識だけではDXは進まない
例えば、ある製造業から、
「人手不足なのでAIを導入したい」
という相談を受けたとします。
AIについて知識のある人であれば、生成AI、画像認識、機械学習、需要予測など、さまざまな技術を紹介することができるでしょう。
しかし、AIPAが考える実践人材は、すぐに技術の説明を始めるわけではありません。
まず、
「どの工程で人が不足しているのですか?」
「現在どのくらいの作業時間がかかっていますか?」
「人でなければできない仕事は何ですか?」
「データは蓄積されていますか?」
「現場の方は何に困っていますか?」
と確認します。
なぜなら、AI導入そのものが目的ではないからです。
目的は企業の課題を解決することです。
調べていくと、AIよりもIoTを使った方がよい場合もあります。
RPAで十分な場合もあります。
業務手順そのものを変更した方が効果的な場合もあります。
場合によっては、デジタル技術を導入する前に、業務を整理することの方が重要かもしれません。
これが「技術起点」と「課題起点」の違いです。
AIPAが重視する「課題起点」
企業のDXでは、
AIをどう使うか
から考えるのではなく、
企業にどんな課題があり、その解決にどの技術が使えるか
という順番が重要です。
AIPAではこの考え方を非常に大切にしています。
DXというと、どうしても新しい技術が注目されます。
しかし経営者が求めているのは「最新技術を導入した会社になること」ではありません。
売上が増える。
コストが下がる。
生産性が向上する。
人手不足が解消される。
顧客サービスが良くなる。
新しい事業が生まれる。
こうした具体的な成果です。
したがってDX人材には、技術知識だけでなく、経営者の言葉と技術者の言葉をつなぐ能力が必要になります。
「正解を覚える」から「答えをつくる」へ
試験では、通常は正解があります。
Aなのか、Bなのか、Cなのか。
しかし実際の企業経営には、必ずしも一つの正解があるわけではありません。
同じ業種でも、
企業規模、
人材、
資金、
地域、
顧客、
設備、
経営戦略、
企業文化
によって最適な答えは変わります。
だからこそ実践では、覚えた知識をそのまま当てはめるのではなく、状況に応じて考えなければなりません。
AIPAが育成したいのは、まさにこの
「答えを覚えている人」から「答えをつくれる人」
への成長です。
技術と経営の間をつなぐ
今後、生成AIをはじめとするテクノロジーはさらに使いやすくなります。
技術そのものを利用するだけなら、専門家でなくてもできる場面が増えていくでしょう。
だからこそ、人間に求められる能力も変わります。
「AIの操作方法を知っている」
だけでは差別化になりにくくなります。
それよりも、
「この会社なら、この業務に使えば大きな効果が出る」
「ここを自動化すれば人材をもっと付加価値の高い仕事に配置できる」
「このデータを活用すれば新しいサービスがつくれる」
と考えられる人材の価値が高まっていきます。
AIPAが資格教育の中で重視しているのは、こうした視点です。
専門家とは「難しいことを知っている人」ではない
私たちは専門家について、もう一つ大切な考え方を持っています。
専門家とは、単に難しい知識をたくさん持っている人ではありません。
本当に優れた専門家は、
専門知識を、相手が使える形に変換できる人
です。
経営者には経営者の言葉で説明する。
現場には現場の言葉で説明する。
技術者には技術の言葉で説明する。
そして、それぞれの人をつなぎながら改革を前に進める。
こうした能力こそ、これからのDX人材に求められるとAIPAは考えています。
AIを説明できる人から、AIで課題を解決できる人へ。
知識を持つ人から、価値を生み出す人へ。
それがAIPAの目指す人材育成です。
次回は、AIPAが考える「実践力」とは具体的にどのような能力なのかを、さらに掘り下げます。
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