第1回 事例に見るDXの真実 DX相談室 製造業編:IoT・AI・ロボティクスが工場を変える。本当のDXとは何か
製造業のお客様から最も多くいただく相談は、「DXを進めたいが、何から始めれば良いかわからない」というものです。
実際に現場へ伺うと、多くの企業では既にクラウド会計や勤怠管理システム、生産管理ソフトなどが導入されています。以前と比べればIT化は確実に進んでいます。しかし、それだけで「DXができた」と言える企業はほとんどありません。
経済産業省でもDXの必要性が叫ばれていますが、日本企業のDXがなかなか進まない理由があります。それは、多くの企業が「IT化」と「DX」を同じものだと考えているからです。
IT化は事務作業を効率化します。しかし、工場の生産性を大きく向上させるためには、現場そのものをデジタル化しなければなりません。
ある製造業では、生産設備の停止時間が長く、生産計画通りに製品を作れないという課題がありました。
担当者は設備が止まっていることは分かっていますが、「いつ」「どこで」「何が原因で」停止したのかは記録されていませんでした。
そこで設備にIoTセンサーを取り付け、設備の稼働状況をリアルタイムで見える化しました。
すると、今まで感覚で話していた内容が数値として見えるようになりました。
どの設備が頻繁に停止するのか。
どの時間帯に停止が多いのか。
どの製品を製造すると停止しやすいのか。
原因が明確になることで改善策も具体的になります。
さらに品質検査ではAI画像認識を導入しました。
これまで熟練検査員が目視で確認していたキズや汚れ、不良品判定をAIがサポートすることで、検査品質が安定し、人によるばらつきが大幅に減少しました。
AIは人を置き換えるものではありません。
熟練者の判断を学習し、誰でも同じ品質で検査できる環境を作ることが目的です。
さらに、人が毎日繰り返していた搬送や供給作業にはロボティクス・オートメーションを活用しました。
協働ロボットや自動搬送機を活用することで、人はより付加価値の高い改善活動や品質向上へ時間を使えるようになります。
ここで重要なのは、「人を減らす」ことではありません。
人が本来やるべき仕事へ集中できる環境を作ることこそDXです。
一方で、受発注や在庫管理、工程管理などはITツールによって効率化しました。
つまり、
ITは事務を効率化する。
IoTは現場を見える化する。
AIは判断を支援する。
ロボティクス・オートメーションは人の作業負担を軽減する。
これらが連携して初めてDXになります。
現場を見ずにITだけを導入しても、生産性は大きく変わりません。
現場を理解し、課題を見つけ、IoT・AI・ロボティクス・ITを最適に組み合わせることが、本当のDXです。
AIPAでは、このような現場改善型DXを数多く支援しています。
DXとは最新システムを導入することではありません。
現場で働く人が楽になり、生産性が向上し、企業の利益につながること。
それこそが「事例に見るDXの真実」なのです。
次回は建設業編として、AIによる職人技術の継承、IoT建機、AIによる3D測量など、建設業で進む本当のDXについてご紹介します。
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