第1回目:DXブームの終焉―DXという言葉は役割を終えつつあるのか―
ここ数年、日本では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を聞かない日はありませんでした。
経済産業省のDXレポートをきっかけに、多くの企業がDX推進を掲げ、IT企業はDXソリューションを販売し、自治体や金融機関もDXをキーワードに様々な支援策を展開しました。
しかし2026年現在、私は一つの転換点に来ていると感じています。
DXという言葉が終わるという意味ではありません。
「DXというブーム」が終わり、本来あるべき姿へ戻り始めているということです。
DXは目的ではなかった
そもそもDXとは何でしょうか。
本来はデジタル技術によって企業や社会を変革することです。
つまり目的は「変革」であり、IT導入ではありません。
ところが日本では、
・クラウド導入
・ペーパーレス
・電子契約
・RPA
・生成AI導入
これらすべてがDXと呼ばれるようになりました。
もちろんこれらは重要です。
しかし、本質は業務改善の手段であり、DXそのものではありません。
いつしかDXという言葉は、
「IT導入の総称」
のように使われるようになってしまいました。
DXは一種のブランドワードになった
2020年頃から、多くのIT企業がDXを掲げ始めました。
システム会社も
「DX支援」
コンサル会社も
「DXコンサル」
SaaS企業も
「DXプラットフォーム」
という表現を使い始めました。
DXという言葉は非常に便利なブランドになりました。
投資家への説明でも、
株式市場でも、
補助金でも、
「DX」
という言葉が頻繁に使われるようになります。
もちろん、本当にDXへ取り組んだ企業も数多くあります。
しかし一方で、
「DXと言えば売れる」
という空気が生まれたことも否定できません。
世界はすでに次のステージへ進んでいる
一方、世界では何が起きているでしょうか。
現在、世界のキーワードは
AI
生成AI
エージェントAI
フィジカルAI
IoT
ロボティクス
自動化
デジタルツイン
です。
つまり、
「DXをどうするか」
ではなく、
AIによって産業そのものをどう変えるか
という議論へ移っています。
これは日本政府も同じです。
現在、多くの政策では、
AI
ロボティクス
自動化
サプライチェーン
産業競争力
といったテーマが中心になっています。
DXだけを語る時代ではなくなりつつあるのです。
実は日本には最初から答えがあった
興味深いことがあります。
実は日本政府は最初から、
DXだけを目指していたわけではありません。
日本には以前から、
Society5.0
そして
Connected Industries
という国家構想がありました。
Society5.0は、
サイバー空間とフィジカル空間を融合し、
AI、
IoT、
ロボット、
ビッグデータを活用して社会課題を解決する未来社会です。
Connected Industriesは、
企業・人・機械・データがつながる新しい産業モデルです。
つまり、
AI
IoT
ロボット
自動化
データ連携
これらを社会全体へ広げることが、本来の目標だったのです。
DXはその途中にあるプロセスの一つに過ぎません。
DXの次に来るもの
私はこれから、
DXという言葉が消えるとは思っていません。
しかし、主役ではなくなると考えています。
これから主役になるのは、
AI
フィジカルAI
IoT
ロボティクス
オートメーション
そして産業全体をつなぐConnected Industriesです。
企業が本当に競争力を持つためには、
IT化ではなく、
AIと現場が融合した新しい産業モデルへ進化する必要があります。
次回予告
第2回では、
いま世界中で急速に進む
AIとフィジカルAI革命
について解説します。
なぜ今、
ロボットメーカー、
自動車メーカー、
製造業、
物流、
建設、
介護までがAIへ大きく舵を切っているのか。
そして、その流れが日本企業へどのような影響を与えるのかを分かりやすく解説します。
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